テクノロジーで野球はもっと面白くなる、楽天スマートスタジアムに注目!

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楽天は11月16日、宮城県仙台市にある「楽天生命パーク宮城」において、スマートスタジアム実現に向けた実証実験を行ったことを発表した。5G通信ネットワークを活用し、自動配送ロボットの遠隔操作やドローンによる撮影映像を用いたユーザー認証、360度カメラを用いた8KVRの映像配信など、新しい観戦体験の提供を模索する楽天の取り組みを紹介する。
テクノロジーで野球はもっと面白くなる、楽天スマートスタジアムに注目!

人気低迷?しかし野球観戦の市場は大きい

かつて、観戦するスポーツといえば「野球」という時代があった。その後、JリーグやW杯などの影響で、観戦で盛り上がるスポーツの代表格に「サッカー」が名乗りをあげた。

さらに、世界的な大会での日本選手の活躍により、フィギアスケートやテニス、ゴルフなど、テレビ中継などで観戦できるスポーツの選択肢が増え、一部では「野球離れ」が進んでいると指摘されている。

しかし、数字から見ると、球場で野球を観戦をする人は年々増加傾向にある。日本野球機構の発表によると、2018年セ・パ両リーグの観戦入場者数は25,550,719人で、1試合あたりの平均は29,779人。サッカーJ1の2018年入場者数が5,399,062人であることから見ても、野球観戦の市場はまだまだ大きいといえる。

各球団はスタジアムのエンタメ化、選手とファンの交流イベント、「カープ女子」などにみるブランド化などさまざまな施策を行い、野球ファン増加に注力している。

こうした中で、いち早く野球界に参入していた楽天は、球場の魅力向上にこれまでもさまざまな取り組みを行ってきた。球場内に観覧車やメリーゴーランド、子供むけのアトラクション、ご当地グルメを食べられるカフェまで、とにかく充実している。

出典:楽天イーグルスHPより

その楽天が、テクノロジーを活用したさらなる観戦体験を提供すべく、実証実験を行った。近い未来、野球観戦はどのように変わるのだろうか。

楽天が目指す「スマートスタジアム」とは

スマートスタジアムとは、先進的なIT技術の活用でスポーツ観戦において新たな体験を創出するスタジアムである。

海外ではスマートスタジアムが急速に広がっており、先駆けとしてはヤフーなどIT企業がスポンサーを務める、シリコンバレーの「リーバイス・スタジアム」が有名だ。

目の前で行われる試合データのリアルタイム配信、スタジアム内のチケットレス化・自動化、VRによる臨場感ある映像視聴などさまざまな可能性が広がるスマートスタジアム。

今回楽天は、ノキア、インテルと連携し、ノキアが保有するAir Scale 基地局および基地局設置・運用・最適化のノウハウ、インテル®社製のモバイルトライアルプラットフォームを利用した第5世代移動通信方式のOTA(over the air)による環境下で以下の実証実験を行った。

ロボットが注文した商品を自動配送

まずは5Gの大容量伝送と低遅延の特質を活用した自動配送ロボット実験。スタジアム内で注文した商品の配送だけでなく、高齢者や過疎化地域など、移動弱者のためのラストワンマイルにおける配送ロボット実用化などにもつながる技術だ。

これは楽天技術研究所(RIT)と宇都宮大学と連携して開発した「自動配送ロボット搭載の5G端末」と、ロボット上のカメラで撮影した4K映像を用いたものである。

実験で、リアルタイムでスムーズな遠隔操作、高精細な映像による本人確認などの遠隔管理ができることを確認できたという。

出典:プレスリリース

ドローンにの撮影映像から、スタジアムでのユーザー認証

次に「楽天ドローン」を活用した実験である。ドローンから撮影した映像を5Gネットワーク経由で伝送し、スタジアム内の人物特定などが実施できることを確認したという。

これにより、スタジアムでのエンターテインメントや、特定の人物への配送やサービス提供などが期待できるという。

出典:プレスリリース

スタジアム内の模様を360度の8K VRにて配信

また会場や会場外で転送されたデータをリアルタイムで観戦する試みも行われた。

5Gの特徴である高速大容量通信を活用し、360度カメラで撮影したスタジアム内の8K VR映像データを伝送。これによりスタジアムに足を運べない遠隔地の人も、リアルタイムで臨場感あふれる観戦が可能となるサービスが期待できる。

出典:プレスリリース

楽天にとってスタジアムは単なる娯楽ではない

楽天モバイルネットワークCTOタレック・アミン氏は、以下のように述べている。

「楽天は、2019年のMNOサービス開始に向けて、世界初の完全なるクラウドネイティブなネットワークを構築していきます。5Gにおいても、顧客目線に立ったサービスを、革新的な技術を用いて提供します。本実験では、より現実に近い環境下において、5G周波数の実用性を確認でき、楽天による5Gにおけるサービス展開への第一歩となりました」(アミン氏)

MNOのサービス提供を2019年10月に控え、ドコモ、ソフトバンク、KDDIの大手の中でどのように存在感を示すか。楽天にとって自社の技術や思想を体現できるスタジアム運営の意義は、単なる娯楽の提供だけではないだろう。

ともあれ、野球ファンにとっては、新しい観戦体験への期待が膨らむ話題だ。