1,000万人を超えたフリーランスが抱える「社会的信用」問題の背景とは

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副業・兼業も含めると、フリーランスとして働く人は1,000万人を超え、市場規模は拡大を続けている。しかしフリーランスで働く人の多くが「社会的信用」を得にくいという課題を抱えているという。国内初の「ITフリーランス専用クレジットカード」の提供開始を発表したPE-BANKの取り組みとともに、この問題の背景について考えていこう。

1,000万人を超えたフリーランスが抱える「社会的信用」問題の背景とは

フリーランスの経済規模は20.1兆円を超える

働き方改革で多様な働き方が広がり、フリーランスとして働く人も増えている。フリーランス協会が出しているフリーランス白書2018によれば、副業・兼業も含めるとフリーランス人口は1,000万人を超えるという。

経済規模にすると20.1兆円という試算もあり、今後ますます増えると予想される。

フリーランスの「社会的信用」問題

一方で、フリーランスとして働く人にとって、課題として話題になるのが「社会的信用」だ。

企業に属していないことや、収入が安定しないなどの理由から、ローンが組めない、クレジットカードが作れないなどの支障が出る場合が、今もあるという。

同白書にあるフリーランスで働く人1141名を対象にしたアンケートからも、実態が伺える。

フリーランスを続けていくうえで障壁になっているものについてたずねた設問では、収入が安定しない64.4%に次いで、社会的信用を得るのが難しいが39.0%となっている。

出典:フリーランス白書2018

下のグラフで額面だけ見れば、会社員の年収平均とさほど変わりがないようにも見える。しかしすべての管理を自分で行い、月々の収入に変動があることを考えれば、安心しきれる額と言えないのは明らかである

出典:フリーランス白書2018「Q2:現在の収入をお知らせください。」

自由に働くためにフリーランスという道を選んでも、こうした課題に直面したとき、働き方には無理が生じかねない。

国内初のITフリーランス専用クレジッットカードが誕生

ここで、SEやエンジニアなど、ITフリーランスのマッチングプラットフォームを運営する、PE-BANKの取り組みを紹介したい。

PE-BANKは働き方改革の概念などまったくない30年も前から事業を展開。フリーランスの働き方のリード企業とも言える。

同社は11月26日、ITフリーランス専用のクレジットカード「Pe-BANK VISAカード」提供について発表。2019年2月1日からのサービス開始に向け、会員先行募集を開始した。

出典:プレスリリース

同社によれば、このカードはフリーランスが時代に合った働き方をするための、福利厚生強化だ。

PE-BANKのスキルアップサポートなど各種サービスとの連携、ITフリーランスが加入できるPE共済会との提携・掛け金決済に対応。

さらに、国内最大級の貸し会議室検索サイト「会議室.COM」と提携し、貸し会議室やコワーキングスペースを利用する際に利用料割引などの特典も検討しているという。

【カード概要】
●最短5営業日で発行
●年会費永年無料
●ショッピング枠50万、キャッシング枠10万
●発行会社:東京クレジットサービス

また、現在先行募集特典として5,000円相当のポイントを付与。利用特典としてオンライン英会話レッスン料金や確定申告サポートなどの支払いを同カードで払うとポイントを付与などがあるという。

フリーランスという働き方をより自由に、そして当たり前のものにしていくためには、こうしたサービスの誕生は後押しになるだろう。

課題解決のために何が必要なのか

フリーランスの先進国アメリカでは、16,000万人の労働力人口のうち 5,730万人がすでにフリーランス化しており、2027 年には過半数を超えるという予測もあるという。

日本でもその流れは同様だろう。

特に高齢化が進む日本では、退職後に高齢者がフリーランスとして働くという生き方も増えてくると言われている。

また、労働力不足による人材確保は深刻で、副業・兼業も含めたフリーランスの労働力は企業も無視できなくなっている。

「新しい働き方が日本で広がるために必要なこと」について、以下にフリーランスで働く人のコメントを紹介する。

・年金や健康保険などが、フリーランスでも不利にならないような仕組みを作ることも大切。

・フリーは合わないと思ったときに、また会社員に戻るなり、別の働き方を探すなりの手段が執りやすい環境を整えること。

・日本はまだまだ大企業を中心に社会は形成されていて、大企業に勤務し、出世した人を「立派な社会人」とする風潮が根強く、どんなに個人の能力が高くても”入れ物”がないことがデメリットとなっている。

・フリーランスなのでどうしても下に見られアマチュア的にみられることが多くなかなか対等に見られることは少なかった。 
(フリーランス白書2018より引用)

社会的信用や地位向上へ、課題感を感じる人はやはり多い。イメージは簡単に変えられるものではないが、企業とフリーランスの双方にできることはある。

まず企業としては、フリーランスの人材を「プロ」として、対等な関係で仕事をするという意識を持つことだ。フリーランスは安価で都合の良い労働力ではないということを認識し、社内での共有を進める必要がある。

また、フリーランスとして働く人にも地道にできることはあるだろう。誠実に仕事をし、その実績を評価してもらえるよう、企業側に適切に伝えるスキルを持つことだ。

ただの娯楽だと思われていたユーチューバーが、ビジネスや社会に影響を与えるようになったように、自らがインフルエンサーの一人として、フリーランスの意義を発信し続けるのだ。

そして政府は、それを続けられる社会保障制度などを早急に整備し、多様な働き方を主導すべきである。