アリババ、米国ECを揺るがす - ブラックフライデー・サイバーマンデーを追う独身の日

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米国では感謝祭からクリスマスにかけてホリデーシーズンを迎え、商品購入が急増する。感謝祭の翌日「ブラックフライデー」、同翌月曜日「サイバーマンデー」はとりわけ盛り上がり、ネット通販が主流になりつつある昨今はサイバーマンデーの支出額がブラックフライデーを上回るほどだ。ここに、11月11日の中国発祥「独身の日」が影響を及ぼし始めている。アマゾンをはじめ米国のECサイトは岐路に立たされているかもしれない。
アリババ、米国ECを揺るがす - ブラックフライデー・サイバーマンデーを追う独身の日

盛り上がるブラックフライデー

3年ほど前から、「ブラックフライデー」という言葉を見かけるようになった。特に今年の11月は、ネットなどで目にしない日がないほどだ。1987年に起きた世界的な株価大暴落を指す「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と似ているので何やら不吉な金曜日かと感じるが、それとは正反対の歓迎される金曜日である。

ブラックフライデーとは

ブラックフライデーは、感謝祭(11月第4木曜日)翌日の金曜日(2018年は11月23日)のこと。米国では、感謝祭に家族が集まってお祝いをし、次の日に揃ってプレゼントを買いに出かける習慣があり、商店はこれに合わせてセールを行う。そのため、この金曜日はどのような店も黒字になることから、黒字の金曜日、つまりブラックフライデーと呼ばれるようになったらしい。

感謝祭からクリスマスにかけての米国はお祭り気分のホリデーシーズンで、1年でもっとも商品購入が活発な年末商戦の期間に入る。日本でもこの流れに乗り、最近になってブラックフライデー・セールが実施されるようになった。

ブラックフライデーと合わせて覚えておくとよい言葉として、「サイバーマンデー」がある。こちらは、感謝祭からの連休が明けた月曜日を示す(つまり今年は11月26日)。連休中に買い物へ行けなかった人たちが、月曜日に職場や自宅のPCでオンラインショッピングを利用する結果、ネット通販サイトの売上が急増するのだ。もちろん、インターネットの普及後に生まれた表現である。

日本でも認知度が上昇

日本でもブラックフライデーの認知度は急上昇している。凸版印刷が実施した調査によると、ブラックフライデーを「知っている」と回答する人の割合は61.8%で、前年の30.7%から倍増した。

出典:凸版印刷/電子チラシサービス『Shufoo!』、ブラックフライデーの調査

2018年感謝祭のネット通販、売上は?

2018年の感謝祭シーズンはどのような状況だっただろうか。サイバーマンデーが終わったばかりで詳細なデータはまだ公表されていないが、興味深いデータがあるので紹介しよう。

サイバーマンデーがもっとも売れた

1つ目はアドビシステムズが公開した「Adobe Analytics Retail Unwrapped」だ。11月初めから12月末までを対象にインターネット販売の売上高などを集計したレポートで、今年の最新データが確認できる。

それによると、11月22日の感謝祭当日、米国の消費者オンライン支出額は37億ドル(約4,209億円)で前年に比べ27.9%増えた。ブラックフライデーは62億ドル(約7,053億円)で同23.6%増、サイバーマンデーは79億ドル(約8,986億円)で同19.3%増だった。いずれも好景気を反映したのか、2017年に比べると大きく増加している。

オンラインに限った数字のせいもあるだろうが、サイバーマンデーの支出がほかの日より相当多い。連休で大混雑する実店舗へ行くことを避け、自宅などでプレゼントを吟味する傾向が強まっているのかもしれない。

出典:アドビシステムズ/Adobe Analytics Retail Unwrapped

また、11月1日からサイバーマンデー(11月26日)までの総オンライン支出額は、585億2,000万ドル(約6兆6,567億円)におよぶ。そして、どのようなデバイスで通販サイトにアクセスして商品を購入しているか調べたところ、以下の結果が得られた。

PC
- 支出額:357億ドル(約4兆609億円)
- 購入率:61%
- アクセス率:42%

スマートフォン
- 支出額:175億ドル(約1兆9,906億円)
- 購入率:30%
- アクセス率:49%

タブレット
- 支出額:53億ドル(約6,029億円)
- 購入率:9%
- アクセス率:8%

アクセス率はスマートフォンがPCを上回っており、通販サイトのUI/UXもスマートフォンに適したデザインにする必要性がありそうだ。ところが、購入率はPCが61%あるのに対し、スマートフォンは30%しかない。そのうえ、スマートフォンはアクセス率がPCより高いにもかかわらず、支出額はPCの半分にとどまっている。

つまり、多くの人がスマートフォンで通販サイトを閲覧するものの、購入せず離脱したり、実際の購入はPCから行ったりしているのだ。また、PCで閲覧してそのまま購入する人が多い可能性もある。

出典:アドビシステムズ/Adobe Analytics Retail Unwrapped

アマゾンは5日間で1億8,000件受注

もう1つ、アマゾンのプレスリリースを見てみよう。

米国では感謝祭に七面鳥(ターキー)の丸焼きを食べる習慣があることから、アマゾンは感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間を「ターキー5」と呼んでいる。この間に受けた注文総数は1億8,000万件を超え、過去最高となった。また、2018年のサイバーマンデーに限っても、1日当たりの販売数として過去最高を記録したそうだ。

中国「独身の日」が存在感増す

こうしたデータから、米国の小売業者にとって感謝祭がいかに大きなイベントであるか理解できるだろう。しかし、世界には文字通りケタ違いに大きな規模で展開されるセールが存在する。それは、中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日のイベントだ。

たとえば、中国ネット通販大手のアリババ(阿里巴巴)は、この1日だけで2135億元(約308億ドル、約3兆5,035億円)もの取引を行ったという。

出典:アリババ/NEW 11.11 GMV RECORD AS ALIBABA ECOSYSTEM GOES ALL-IN

米国オンライン支出も変化する?

しかも、独身の日は米国の消費行動にも影響を与え始めている。Business Insiderの報道によると、米国ユーザーは独身の日に18億2,000万ドル(約2,070億円)のオンライン購入をしていた。1日当たりの支出額はサイバーマンデーに比べ少ないものの、前年比29.1%増と大きく伸びた。

このまま増加が続けば、ターキー5の支出額が減少し、支出の重心が11月の初めへと動いて行く可能性もある。そして、独身の日が中国だけのお祭りにとどまらず、世界的ブームになるかもしれない。逆に、中国と米国のあいだで緊張が高まっている影響で、貿易政策の行方によっては中国系ネット通販の躍進が阻まれることも考えられる。

いずれにしろ、感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデー、独身の日というキーワードから目を離さず、1年後に備えよう。