王者フェイスブック7位転落 - 働きやすさ失うと業績も悪化するのか、GAFAの動向

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グラスドア「働きやすい職場ランキング」2019年版で、昨年1位だったフェイスブックが7位へ、グーグルが5位から8位へ落ちた。アップルは84位から71位へ上昇したものの、かつて10位にまで上がったことを考えるとよい状況とはいえない。GAFA(ガーファ)の残る1社、アマゾンに至っては、100位にも入らなかった。GAFAの職場改善は見込めるだろうか、動向を探る。

 王者フェイスブック7位転落 - 働きやすさ失うと業績も悪化するのか、GAFAの動向

2019年版「働きやすい職場」ランキング

オンライン求人サービスのグラスドアが、働きやすい職場をランキング形式で紹介する「Best Places to Work」の最新版(2019年版)を発表した。北米と一部欧州地域の企業を対象として、従業員による評価をベースに順位を決めている。

グラスドアが大企業に分類している、従業員数1,000人以上の企業トップ10は以下のとおりだ。

1位:ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)
経営コンサルティング企業。2018年版では2位。

2位:ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)
企業向けオンライン・ビデオ会議サービス企業。2018年版では中小企業部門の5位。

3位:イン・アンド・アウト・バーガー(In-N-Out Burger)
ハンバーガーチェーン企業。2018年版では4位。

4位:プロコア・テクノロジーズ(Procore Technologies)
建設業向け管理ソフトウェアを手がける企業。2017年版の中小企業部門で32位。

5位:ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)
経営コンサルティング企業。2018年版では3位。

6位:リンクトイン(LinkedIn)
ビジネス向けSNSの運営企業。2016年にマイクロソフト傘下に入った。2018年版では21位。

7位:フェイスブック(Facebook)
世界最大規模のSNSを運営。2018年版では1位。

8位:グーグル(Google)
検索サービスの世界最大手。2018年版では5位。

9位:ルルレモン(lululemon)
ヨガウェアを中心とするアパレル企業。2018年版では6位。

10位:サウスウエスト・エアラインズ(Southwest Airlines)
航空会社。2018年版では23位。

出典:グラスドア / Best Places to Work

職場環境が芳しくないGAFA

社会に与える影響力が大き過ぎると批判されることの多くなった、GAFA(ガーファ/グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の一角であるフェイスブックとグーグルは、揃って順位を落とした。特にフェイスブックは前年1位からの転落で、個人情報の大量流出や米国政府との関係悪化といった一連のトラブルの影響だろうか。

以下で、GAFAの順位と各社の置かれている状況をみてみよう。

四面楚歌のフェイスブック

2017年以降のフェイスブックは、荒波にもまれ続けている。2016年の米大統領選挙に対するロシア政府の関与に利用された疑惑、フェイクニュース配信、ユーザー8,700万人分もの個人情報流出などを理由に、各方面から批判され続た7月に急落した株価も、持ち直すどころか下落傾向に歯止めがかからない。このような厳しい環境に囲まれていることが、働きやすさの低下を招いたのかもしれない。

出典:Yahoo! FINANCE / Facebook

確かに、フェイスブックは2019年版のBest Places to Workで前年の1位から7位へ落ちた。ただ、2015年は13位になったこともあり、今回の下落は一過性の落ち込みだった可能性もある。

気になるのは、同じくグラスドアが公開している、従業員から高く評価されたCEOのランキングだ。2013年版ランキングで1位に選ばれたCEOのマーク・ザッカーバーグ氏だが、2018年版では16位にまで落ちてしまった。

従業員からの評価が低いと、経営者は舵取りが難しくなる。現在のフェイスブックは、米国や欧州の議会との関係が改善せず、EU(欧州連合)のプライバシー保護規則「GDPR(EU一般データ保護規則)」にも脅かされている。働きやすい職場としての順位上昇は、しばらく困難だろう。

対CEO反発の強まるグーグル

2019年版Best Places to Workで8位のグーグルは、2015年版で1位に選ばれたものの、その後やや順位が下がったまま。CEO評価ランキングも、2015年にグーグル創業者で当時CEOを務めていたラリー・ペイジ氏が1位を獲得したのだが、その後は順位を落とし、2018年版では現CEOのサンダー・ピチャイ氏が45位とされた。

グーグルでは、社内でのセクハラ問題に対する経営陣の対応に従業員が抗議し、世界各地でストライキが実行された。また、中国政府の検閲を受け入れる検索エンジン「Dragonfly」の開発プロジェクトも従業員から反発を受け、抗議文の署名騒ぎへと発展した。

もちろん、グーグルにとってもGDPRは、個人情報にもとづくオンライン広告表示への悪影響が考えられ、フェイスブックと同様に大きな懸念だ。グーグルの働きやすさも、当面は改善が予想しにくい。そうした市場の見方は、株価にも現れている。

クックCEO率いるアップルは圏外へ落ちそう

2019年版Best Places to Workにおけるアップルの順位は71位で、2018年の84位から大きく上昇した。しかし、手放しで喜べる結果ではない。2012年の10位をピークに、そこから大幅な後退だ。CEOのティム・クック氏に至っては2016年の8位が最高で、2018年は96位へ落ち、ランキング圏外の声が聞こえてきた。

アップルの将来性も不安視されている。「iPhone」の販売低迷や、縮小するスマートフォンとPCの市場といった悪材料により、1兆ドル企業となった興奮はすっかり冷め株価は下がってしまった

出典:Yahoo! FINANCE / Apple

アップルとしては、PC、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチに続く次の収益源として、スマートスピーカー「HomePod」への期待が大きい。HomePodはAIエコシステム構築の鍵でもあるのだが、先行するアマゾンおよびグーグルの背中はまだ遠い。

しかも、アマゾン製スマートスピーカー「Amazon Echo」がアップルの音楽配信サービス「Apple Music」に対応するという発表は、「アップルがスマートスピーカー事業をあきらめたのか」と世界を驚かせた。今後のアップルから、職場に対する評価が高まるような情報は発信されるだろうか。

そもそもアマゾンはランキング外

GAFA最後の企業はネット通販、企業向けクラウドサービス、スマートスピーカーといった分野で他社を寄せ付けないアマゾンだ。資金力のある巨大企業だけに職場環境も素晴らしいと思いたいのだが、現実はまったく異なる。グラスドアのBest Places to Workで、アマゾンの名前は見当たらない。そのうえ、CEOのジェフ・ベゾス氏も高評価CEOランキングの圏外である。

確かに、アマゾンの労働環境は悪評が多い。その一方、アマゾンが開設する配送拠点「フルフィルメントセンター(FC)」は大きな雇用を生み出すため各地で歓迎されるし、北米で新設する計画の第2本社も注目されている。

批判にさらされ、事業所のある自治体から指導が繰り返されれば、アマゾンの職場環境は急速に改善へ向かうだろう。ランキング登場を期待したい。

働きやすい企業はCEOも高評価

グラスドアのランキングを見て感じるのは、働きやすい職場の企業トップは、高評価CEOランキングでも上位に入る、ということだ。たとえば、働きやすい職場ランキングで2位ズームのCEO、エリック・S・ユエン氏と、3位イン・アンド・アウト・バーガーのCEO、リンジー・スナイダー氏は、従業員から高く評価されたCEOにも選ばれている。

ユエン氏は経営者として「従業員が幸せなこと」をもっとも重視し、スナイダー氏は「従業員に耳を傾けることが最優先事項」と話した。両氏のこうした姿勢が、働きやすい職場を作るのだろう。

従業員が働きやすければ、企業の業績も上向くし、回り回ってCEOの評価も上がる。それは、従業員と経営者の双方にとってのメリットだ。好業績のためには、まず職場改善から、と訴えたい。

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