ファーウェイ排除、5G普及に影 - 2024年モバイル17%が5G予測も減速か

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2024年、世界のモバイル契約のうち17%が5Gとなり、データ・トラフィックは5倍に膨らむ。エリクソンがモバイル通信に関する最新の状況調査レポートを発表した。日本でも2019年よりスタートする5Gの2024年における普及率や人口カバー率などを予測している。ところが、ファーウェイ幹部逮捕が5G普及に影を落としている。

ファーウェイ排除、5G普及に影 - 2024年モバイル17%が5G予測も減速か

エリクソン、5G普及予測を発表

通信障害を起こしたものの……

12月6日にソフトバンクで大規模な通信障害が発生し、スマートフォンの通話や通信などができなくなった。

同社の発表によると、障害の原因はエリクソン製交換機のソフトウェア異常だったそうだ。当のエリクソンは、LTEネットワークの制御をつかさどるSGSN-MME(Serving GPRS Support Node - Mobility Management Entity)でソフトウェア証明書の有効期限切れが起きてしまい、障害につながった、と説明している。

エリクソンの通信設備を導入しているほかの通信会社でもほぼ同じタイミングで同様の障害が発生しており、影響は11カ国に及んだという。

エリクソンは5G普及をどう予測する?

エリクソンとは、スウェーデンの大手通信機器メーカーで、世界各地の通信事業者へネットワーク機器などを提供している。かつてソニーとの合弁会社ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズを通じてスマートフォンを販売していたこともあり、エリクソンという名前を聞いたことのある人は多いだろう。

そのエリクソンが、モバイル通信に関する状況調査レポートの最新版「Ericsson Mobility Report November 2018」を公表した。障害が起きたばかりで何とも間の悪いタイミングだが、レポートには次世代移動通信方式「5G」に関する予測などが掲載されていて、慌ただしくなってきた5Gの動きを把握したり、今後に備えたりするのに役立つ内容だ。

2018年の世界モバイル通信環境

将来予測の前に、まずモバイル通信環境を巡る現在の状況を確認しておこう。

エリクソンのレポートによると、2018年第3四半期の時点で、携帯電話およびスマートフォンといったモバイル通信機器の契約数は全世界で79億件。そのうち、スマートフォン契約が60%以上を占めていた。

国別では中国の15億4,500万件、インドの11億7,500万件が目立って多い。前四半期に比べ1億2,000万件増えており、前年同期比は3%増。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

同四半期中の増加が多い国は、中国(3,700万件)、インド(3,100万件)、インドネシア(1,300万件)。地域別では、中国とインドを除いたアジア太平洋地域の2,700万件、アフリカの1,400万件が多かった。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

エリクソンは、次世代の5Gを含め、現行のLTE(4G)、HSPA(3G)、CDMA2000 EV-DO、TD-SCDMA、Mobile WiMAXという方式のネットワークをモバイル・ブロードバンドと定義。その契約数は57億件で、同期中に2億4,000万件増え、前年同期比は15%増だった。

2024年のモバイル通信環境はどうなる?

商用5Gサービスは、10月1日に提供開始された米国ベライゾンの家庭向けブロードバンド・サービス「Verizon 5G Home」が世界初の事例となった。日本では2019年にサービスが始まる予定だ。エリクソンによると、中国や韓国、欧州でも順次5Gがスタートする。

LTEに比べ高速、低遅延、多数同時接続といった特徴を持つ5Gサービスが広まることで、モバイル環境はどう変わっていくだろうか。

世界の契約数89億件、17%が5G

エリクソンは、2024年末時点のモバイル契約数を89億件と予測し、その約17%に相当する15億件が5G契約だとした。また、モバイル・ブロードバンド契約数は84億件で、モバイル契約全体の95%近くが高速通信に対応すると見込んだ。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

また、2024年における各通信方式の人口カバー率は、5Gが40%強、LTEが90%強という予想。ちなみに、2017年のLTE人口カバー率は60%強だった。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

北米では5割超が5Gに

利用される通信方式は、地域によって大きく異なる見通し。2024年時点の5G契約率は、北米の55%が最高で、これに東北アジアの43%、西欧の29%が続く。

そのほかの地域は5G率が低く、LTEの割合が高い。たとえば、中欧および東欧のLTE契約率が86%、インドが81%、中南米が74%、東南アジアおよびオセアニアが63%、中東およびアフリカが42%といった具合だ。さらに、東南アジアおよびオセアニアと、中東およびアフリカは、2024年時点でも相当多くのWCDMA/HSPA契約が残る。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

トラフィックは5倍に膨らむ

5Gによる通信は高速なため、モバイル機器によるデータ・トラフィックも増えていくだろう。

エリクソンは、2018年に1ヶ月当たり27エクサバイト(EB)というモバイル・データ・トラフィックが、2024年末には136EBにまで膨らむとした。そして、そのトラフィックの25%が、契約率17%の5Gによるものだという。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

絶対的なデータ・トラフィックは、地域によって大きく異なる。ただし、どの地域も2024年に向けて急増するという。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

モバイル・データ・トラフィックの内訳は、やはりビデオ視聴の割合が多い。ビデオ視聴の全体に占める割合は、2018年が60%なのに対し、2024年は74%へと増える。

出典:Ericsson / Ericsson Mobility Report November 2018

ファーウェイ排除で5G普及に影

このようにエリクソンは、今後5Gが急速に普及し、モバイル環境に大きな影響を与えると予測した。ところがここにきて、予測が外れかねない状況になってきた。

5G対応の通信機器やスマートフォンを手がけている中国企業、Huawei(ファーウェイ)の副会長兼CFO(最高財務責任者)である孟晩舟氏が、米国政府の要請を受けたカナダ司法当局に拘束されてしまったのだ。

米国による経済制裁中のイランと不法取引をしたとの疑いだが、当然ファーウェイ側は強く反発している。孟氏がファーウェイ創業者の娘ということもあり、ファーウェイと米国どころか、中国と米国の関係悪化は避けられないだろう。

しかも、米国はファーウェイや同じく中国ZTEの製品を政府調達から排除することを検討し、同盟各国にも同様の対応を働きかけているらしい。日本政府も安全保障面で問題視しており、携帯電話キャリアなどの民間企業に機器調達先を配慮するよう要請する、との報道がある。日本以外にも、米国の動きに追従する国は現れそうだ。

今のところ、孟氏の保釈が認められた程度で、事態打開につながる好材料は見当たらない。5Gネットワークにおいてファーウェイなど中国企業の存在感は大きく、このままだと5G導入計画の見直しを迫られる通信事業者も出てくるだろう。当面は、米国や中国、ファーウェイなどの動きから目が離せない。

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