サッポロビールが飲食CtoCスタートアップ「キッチハイク」と提携したワケ

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柳谷智宣の連載「ホットベンチャー・ケーススタディ」。今回は、食コミュニティの構築を手がけるスタートアップ「キッチハイク」の取り組みを紹介します。2018年10月22日に、サッポロビールと業務提携し、「HOPPIN’ GARAGE」というプラットフォームを提供するというプレスリリースが出ました。これまでサッポロビールはオープインイノベーションを手がけているというイメージがなかったので驚きです。キッチハイクの共同代表である山本雅也氏と、今回の提携を進めたサッポロビール土代裕也氏にインタビューしました。

ーー「HOPPIN’ GARAGE」のマネタイズはどうなっていますか?

ポップアップが開催されたときの10%の利用料は発生します。しかし、そこを狙っているわけではありません。本質的にビールでつながるという価値が作れることを重視しました。

僕らは食がメインですが、ビールという新しいコミュニティに拡張できるというのがありがたいところですね。とにかく、ビール好きのユーザーがつながっていければいいなと。(キッチハイク 山本氏)

目先の細かいところは気にしていません。ビールって面白いよね、って思ってもらいたいと考えています。(サッポロビール 土代氏)

ーーオリジナルビールはどのくらい製造しているのですか? 一般販売は?

まずは売るのが目的ではありません。アイディアを応募してくれた人のストーリーが乗ったビールをできる限り多くの人におすすめしますが、製造したビールはポップアップで全部使って終わりになります。

第1回の『探検するハニーエール』の製造本数は40本です。極小ロットですね。これを作るために、我々とかデザイナーとかが本気でやっているのが、ある意味面白さだと思います。

もちろん、この様子はサイトに掲載されます。評判がよく、弊社の方でもうちょっとスケール化して発売した方がいいのではないかとなれば、実際に上梓していくかもしれません。この取り組みが回るほど「HOPPIN’ GARAGE」の認知度が上がっていき、知ってくれた方々が買ってくれるという形を狙っています。(サッポロビール 土代氏)

ーー月1のイベント以外に何をされていますか?

オリジナルで造るビールを振る舞う会は月1回ですが、それ以外にいろんなポップアップが開催されています。みんなでビアバーに行ってみようとか、ミートアップしたり、サッポロビールの社員の方がセミナーを開いたりしています。ここがCtoc文脈で、コミュニティに大きく寄与するところになります。

「HOPPIN’ GARAGE」をローンチして2か月ですが、すでに50件のポッポアップが開催され、延べ500人ほどが参加しています。3月までには延べ1,000人以上の参加を目標にしています。(キッチハイク 山本氏)

この短期間で、「HOPPIN’ GARAGE」に500人以上が参加しているのはすごいことだと思います。弊社は小さいイベントを高速で回せないので、こうやって関係人口が増えていくのはうれしいことです。(サッポロビール 土代氏)

ーー最後に、キッチハイクの今後の展開を教えてください。

CtoCサービスは、仕組みさえ作ればくるくる回ると思われることもありますが、実際そんなことはありません。あの手この手で、どういう仕組みが最適なのかというのはアップデートしている最中です。現在、毎月の参加者数は2,000人ほどですが、これを2年以内に100倍にするという目標があります。扱っているのは食やお酒をはじめとする、人のつながりという普遍的な行為なので、不可能ではないと思います。(キッチハイク 山本氏)

2年で100倍を狙うキッチハイク

インタビュー後記

筆者も、お酒が大好きでバーを都内3か所で経営しています。実は、数年前にキッチハイクの開催場所としてお店を何度か利用していただいたこともあります。加えて、サッポロビールがスタートアップと連携するというのも聞いたことがないので、リリースを目にしたときは興味津々でした。

今回直接お話を伺えましたが、もうお二人とも楽しそうでした。ビールを起点としたユーザーメインのコミュニティを作るということにフォーカスし、お互いの強みを連携させていました。広く人を巻き込み、すでにイベントを成功させています。応募ベースの初イベントはまだですが、きっと成功することでしょう。

大企業とスタートアップが無理のないかたちで連携し、スムーズな離陸をしたのがさすがです。やはり担当者の熱意がプロジェクトの成否を左右するなと感じました。お二人別々に質問しても、同じようなビジョンの答えが返ってくるのです。今後の「HOPPIN’ GARAGE」の展開に期待です。

筆者も「HOPPIN’ GARAGE」にオリジナルビールの提案を応募してみたいと思います。応募は、サッポロビールの「HOPPIN’ GARAGE」ページからできます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

記事中で紹介したサービス

キッチハイクは、山本雅也氏と藤崎祥見氏が2013年5月にローンチ。食文化の交流やコミュニケーションをテーマにしたサービスです。2016年4月からは、日常で料理をする人と食べる人をマッチングするサービスに転換し、現在ではみんなで食べるシーンを扱う「みん食」アプリとうたっています。料理人と食べる人だけでなく、みんなでビアパブに飲みに行くとか、行きたかったレストランにみんなで行くといった集まりが開催されています。会員は3万人を超え、毎月400回、のべ2,000人が集まっているそうです。