ドローン同士が自動で衝突回避する実験成功、災害現場での運用に期待

最終更新日: 公開日:
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として、国立研究開発法人情報通信研究機構は1月24日、ドローン間の直接通信によりニアミスを自動的に回避する実験に成功したことを発表した。
ドローン同士が自動で衝突回避する実験成功、災害現場での運用に期待

「ドローン同士の直接通信」なぜ必要?

測量や農業などをはじめ、産業界で利活用が進むドローン。災害状況や被害の情報収集にも有効で、九州北部豪雨災害で適用されるなど、実用化が進んでいる。しかし、災害救助や報道のための有人ヘリとの衝突の危険性はかねてより指摘されてきた。

特に災害時には、一度に広範囲の情報を収集することが求められる。そのためには多数の飛行ロボットを群制御し、ドローン同士で衝突する危険性にも備えなければならなかった。そこで着目されたのが、「ドローン同士の直接通信」だ。

従来、ドローンを目視外で運用する場合に用いられてきた方法といえば、あらかじめプログラムされた飛行経路や飛行方法に従って自動で飛行させる飛行制御や、ドローンに搭載されたカメラなどのセンサーによって周辺状況を把握しながら操縦者が飛行制御する方法。これらの飛行制御方法では下記のような課題があった。

  • ヘリコプターや飛行機などの有人航空機や他のドローンとの予期しない接近には対応しきれない
  • 操縦者とドローンの距離が遠くなると対応できなくなる
  • 異なる操縦者が運用するドローンや有人機の位置を相互把握することも困難

ドローン同士や、ドローンと有人機との間での直接通信を可能にし、位置情報を相互に把握することでニアミスを防止し、同時に多数の飛行体を使った災害対応の安全性を高めることが求められていたのだ。(ちなみに、大型の有人航空機ではすでに実用化されている類似のシステムがあるという。)

ドローン同士の自動回避技術について実証実験

今回のドローン同士の自動回避技術についての実証実験は、2018年12月17日・18日に埼玉県秩父市のグランドで実施されたという。異なる操縦者が運用する複数のドローンに、ドローンマッパーと飛行制御装置を搭載し、ニアミスを自動回避できるかどうかが試された。結果は成功、着目すべきトピックスは下記2点だ。

・ドローン同士が互いに周囲のドローンの位置情報を把握できた
・ドローン自身が自動で、ニアミス回避や群飛行などの飛行制御を行った

最大3機のドローンがそれぞれの目的地に向かう際、自動で互いの接近を検知し、ニアミスを回避したあと予定の飛行経路に戻ることができた。最終目的地まで到達することを確認できたという。

ドローン同士の直接通信と衝突の自動回避技術が実現すれば、操縦者からドローンが見えない遠方での目視外飛行においても、ドローンを制御しやすくなる。複数機の安全運用にも大きく貢献する、画期的な一歩である。

引用:プレスリリース

具体的には、ドローンマッパー装置とドローンのフライトコンピュータを連携させた飛行制御装置を作り、ドローン同士の機体間通信で得られた位置情報をドローンの飛行制御に活用した。

ドローンマッパーによって共有される周辺のドローンの位置情報に基づき、接近を検知。接近したドローンの飛行方向等によって、自らの飛行速度や飛行方向を制御するコマンドをドローンのフライトコンピュータに出力、それに従い飛行する仕組みだ。

今後の展望

今回の実験は、1m/s(秒)というゆっくりとした飛行速度で実施された。次のステップとしては、飛行速度を上げた場合や同時飛行台数を増やした場合の性能検証や、ドローン同士だけだはなくドローンと有人ヘリコプター等が接近した場合など、様々なシナリオにおける動作検証および飛行制御を行うとしている。

今後の実用化や技術の国際的な標準化が進み、災害現場における飛行ロボット運用のさらなる飛躍が期待される。