育休者の復職支援、最も必要なのは「キャリアの棚卸」

女性向けキャリア支援事業を行うMYコンパスが1月31日に発表した調査レポートによると、育休女性の97%が「キャリアについての悩みや不安がある」ことが分かった。一方、育休中にキャリアや興味関心分野の学び・活動の時間を取ったという女性は約7割で、仕事から離れた環境でも自分の生き方・働き方を考えることに積極的な女性たちの姿が浮き彫りとなった。

育休者の復職支援、最も必要なのは「キャリアの棚卸」

調査は、育児休業の取得経験がある女性と、配偶者の海外転勤に帯同経験のある女性(駐在妻)、合計332名を対象として行われた。うち、育休女性は170名。本記事では、育休女性に焦点を当て、実情と対策についての考察をまとめた。

育休女性の97%が「不安」

「育休中に将来のこと、復職後のこと、自分のキャリアのことなどで、悩んだり不安になったりしたことはありますか?」この質問に対して「はい」と回答した育休女性は、実に97%に上ったという。育休という"ブランク"に際して、どのような不安を抱えているのだろうか。

調査レポートによると、「このままで良いかという将来に対する漠然とした不安」「今の仕事は、育児と両立するには負担が大き過ぎるのではないか(通勤時間や仕事内容)」が共にトップ。復職後の業務内容や生活についての具体的な不安よりも、自分自身の生き方・働き方について漠然とした不安を抱えていることがわかる。

引用:プレスリリース

こうした不安の話し相手、第一位は「夫」で、次に「友人」だ。ネット検索する割合も多く、赤ちゃんを抱っこしながらスマホ相手に不安を解消しようとする女性たちの姿が目に浮かぶ。

引用:プレスリリース

一方で、キャリアについての悩みがかなり軽減したという女性は2割にとどまる。おしゃべりや検索では、根本的な不安解消にはつながらないようだ。

引用:プレスリリース

育児に専念「しない」のが吉

しかし、共働きが当たり前になったいま、育休女性たちの考え方や行動には変化が見られる。「育休中に、自分のキャリアや興味・関心分野の学びや活動の時間を取りましたか?」という設問に対して、77%が「取った」「取りたい」と前向きだ。

一方で、育休中に職場から研修や通信教育などの受講を勧められたかという設問に対しては、「制度がない」「勧められていない」全体の9割以上。学びの制度があれば利用したかったという人も9割以上で、企業と育休女性のニーズとの間には大きな乖離がありそうだ。

いまの育休女性は、キャリアに対して積極的だ

「いまの育休女性は、不安を抱えながらもとてもポジティブ。企業は育休女性の積極性を見逃さず、後押ししてしてあげることが必要なのではないでしょうか。」そう語るのは、育休&共働きコミュニティ「ikumado(イクマド)」発起人の堀添直子さん(46)だ。

堀添さん自身も2児の母、育休取得経験者だ。リクルートに勤務していた約10年前に育休を取得したときには、強烈な閉塞感を抱えたという。育休を取得すること自体が珍しい時代、これからのキャリアや両立への不安を抱えて孤独感も味わった。

そんな育休の閉塞感を解決したいと、育休&共働きコミュニティ「ikumado(イクマド)」を立ち上げた。キャリアコンサルタントとしての資格と実績を活かし、育休女性たちと向き合うなか、女性たちのキャリアに対する積極性をひしひしと感じるという。

「育休中に感じる閉塞感や不安、またその原因は、自分の時代と根本的には同質だと感じています。違うのは、育休女性たちの意識と行動力。共働きが当たり前になったいまの育休女性たちは、学び、資格取得、コミュニティへの参加などを通じて、自発的に不安解消したいという意欲を持った方が多いですし、実際に行動している方はとてもパワルフです。」(堀添さん)

育休からの復職準備、最も必要なのは「キャリアの棚卸」

2月も中盤を迎えた。復職準備のため育休女性との面談を設ける職場も増えている。同調査レポートによると7割以上の職場で復職面談が行われているというが、「役に立った」と回答した人はわずか35%にとどまることを、企業は留意すべきではないだろうか。

育休女性が安心して復職でき、長く活躍できるための支援や制度とは、どのようなものなのだろうか。育休から復職したあとに感じることを尋ねた設問では、約6割の育休女性が「キャリアの棚卸」「今後のキャリアプラン」と答えている。

引用:プレスリリース


引用:プレスリリース


引用:プレスリリース

育児は10年、20年単位のマラソンだ。出産を経て育休を取得するということは、生まれたての赤ちゃんのお世話に専念するだけではなく、復職後に始まる長い長いマラソンを走りきるためのウォーミングアップ期間でもあるのだ。

女性活躍推進のひとつの具体的な方法として、育休女性を対象としたキャリア支援制度を検討してみてはいかがだろうか。長期的な視点で「キャリアの棚卸」を行い、そのうえで実際の業務への動機付けを図っていく。

これは復職準備に限らず、人材マネジメントにおいて必要不可欠な観点だ。自社の人材マネジメントの在り方を見直すきっかけにもなるのではないだろうか。