シニアが世界トレンドを席巻する時代へ - 「独り」を楽しみ、自立したライフスタイルを謳歌する

ユーロモニターインターナショナルは「2019年 世界の消費者トレンドTOP10」を発表した。レポートでは「シニア層」に注目。ビジネスの核になるとともに、「独りを楽しむ」トレンドもけん引しているという。ほか、「デジタルにつながる」「原点回帰」などのキーワードが挙がった。

シニアが世界トレンドを席巻する時代へ - 「独り」を楽しみ、自立したライフスタイルを謳歌する

英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナルは2月、「2019年 世界の消費者トレンドTOP10」を発表した。毎年実施しているもので、消費者の動向が世界のビジネスにどのような影響を及ぼすかを解説している。

「インテリジェンス」が世界を席巻

2019年、全世界のトレンドに共通するのは「インテリジェンス」。調査のディレクター、ジーナ・ウェストブルック(Gina Westbrook)氏は次のように述べている。

「さまざまな選択肢がある今日、消費者のニーズや求めるものは刻一刻と変化します。私たちの生活は数多くの選択肢によって左右されるため、その中からいかに最適なものを選択できるかが、消費者にとって最大の課題となります」(引用:プレスリリース)

ビジネス戦略の核はシニア層

とりわけ注目しているのが「シニア層」の動向だ。レポートによると、シニア層の消費者は他世代よりも経済的、時間的に豊かで購買力も高い。実際、50代の収入は全年齢層の平均収入を28%上回っているという。そのため、シニア層は今後のビジネスの中核になると考えられる。

シニアと若者のニーズは似ている?

世界的に寿命が伸びたことで健康や見た目への関心が高まった。その結果、シニア層は「若くありたい、若いと思われたい」と感じるようになった。シニア層の価値観やニーズは、若い世代と似通っている部分も多いと、ウェストブルック氏はいう。

加えて、シニアコンサルタント、ラン・ハ(Lan Ha)氏は以下のように述べている。

「世界で高齢者人口比率(労働年齢人口に対する65歳以上の人口の割合)がもっとも高く高齢化が進んでいる国上位5か国は、上から順に日本、イタリア、ギリシャ、フィンランド、ポルトガルです。トップの日本においては、65歳以上のグループを除いてすべての年齢層で2030年までに急激な人口減が見込まれており、2030年には高齢者人口比率は53.6%に達すると予測されています。ただし、高齢化はけっして先進国だけが直面している問題ではありません。まさに世界的に起きている流れであり、企業にとっては大きなビジネス機会が潜んでいる市場だと言えます」(引用:プレスリリース)

「独りを楽しむシニア層」

さらに、シニア層は「独りを楽しむ消費者」のトレンドをけん引しているという。

一人暮らしをしているシニア層は、若い世代よりも多い。「独り」を楽しむシニア層に関して、ライフスタイル調査の統括マネージャーを務めるアリソン・アンガス(Alison Angus)氏は、「世界中の人々、特にシニア層の人々が、『独り暮らし=不名誉』という図式を壊し、自立したライフスタイルを謳歌していることにより、『独りを楽しむ消費者』のトレンドは今後ますます重要性を増していくでしょう。このような堂々と自立したライフスタイルを楽しむ消費者のニーズをしっかりと捉えた商品やサービスが、この成長市場において成功すると考えられます」と述べている。

オンラインが生む「つながり」

消費者は「独り」を楽しむ一方で、他者とのつながりを求めている。「デジタルにつながる」というトレンドの根底には、現実世界と「ほぼ同等」のやり取りがオンライン上でできるようになった、技術的な進歩がある。

同社の調査では、消費者の45%が週に1度、写真またはビデオをオンライン上で共有すると回答しており、2015年の38%から7ポイント上昇したという。「『デジタルにつながる』トレンドは今後も引き続き、人々がどのようにつながり関わり合うのか、たとえば物理的に離れていても一緒に何かを作る体験できるなど、新たなコミュニケーションの形を生み出していくでしょう」とアンガス氏は結んだ。

2019年 世界の消費者トレンドトップ10

以下では、2019年の世界の消費者トレンドトップ10について、同社のコメントを元に紹介する。

1. 誰もがエキスパート

これまでの消費者は企業のブランドや企業が発信した情報に頼っていたものの、現在は消費者自らが情報を集め発信できる時代。いつでも情報にアクセスできるようになり、消費者の情報収集能力は向上している。企業は商品開発、サービス向上を続ける必要がある。

2. 自分のケアは自分でできる

現代では、個人用にカスタマイズされたアプリや製品を使うことで、消費者自らが専門家の協力を得ずに、自身をケア、管理できる。

3. 今すぐ欲しい!

忙しい消費者のニーズを迅速かつ効率よく満たす必要がある。仕事やプライベートに時間を使うために、より消費者の生活に適したサービスが求められる。

4. 原点回帰する消費者

現在の消費者は本質的な商品やサービスを求めている。物にあふれた生活から、シンプルな生活へシフトし、量産品から高品質な商品を求める傾向に変化しつつある。

5. プラスチックフリーな世界を目指して

社会全体の意識がプラスチックフリーへ向いている。企業の持続的な取り組みは、他企業や個人へ影響を与え、良いサイクルを生み出している。

6. 意識の高い消費者

これまで「ニッチ」だと捉えられていたエシカル(倫理的)の概念は、多くの消費者に理解されるようになった。結果、大企業も注目し始めている。

7. つながらない喜び

いつでもオンライン上でつながりを持てるようになった一方で、常に他者とつながっている事に疲れる消費者も増えた。ときにはテクノロジーを遮断し、自分が本当に求めているものや体験したいことを優先するようになった。

8. デジタルにつながる

テクノロジーの進歩によって、距離が離れていても、互いにコミュニケーションをとったり、物を作ったり、さまざまな体験ができる。

9. 独りを楽しむ消費者

世界中の人々、特にシニア層が「独り暮らし=不名誉」という考えを覆し、新しいライフスタイルを構築し楽しんでいる。

10. 年齢にとらわれない

寿命が伸び、自身の見た目や健康を管理するようになり、改善に力を入れ始めた。それに伴って、シニア層は「若くありたい、若いと思われたい」と考えるようになった。