メルカリ、ZOZO躍進、日本企業のブランド価値ランキングで見える産業構造変化

インターブランドジャパンのブランド価値ランキング「Best Japan Brands」は、企業のブランドが「将来どれくらい収益を上げると予想されるか」という観点で作られている。そのため、そのブランドが今後も成長するかどうか見極めるのに役立つ。2019年版では、初登場のメルカリ、急成長のZOZOなど、新興勢力の躍進が目立った。

メルカリ、ZOZO躍進、日本企業のブランド価値ランキングで見える産業構造変化

収益予想で決めるブランド価値ランキング

企業の事業展開に必要不可欠なブランドを「事業資産」とみなし、ブランド有効活用の支援などに取り組んでいるインターブランドジャパンが、ブランド価値ランキング「Best Japan Brands」の2019年版を発表した。これは、本体の米国インターブランドが公表している「Best Global Brands(BGB)」の日本企業版であり、同じ評価手法を用いているのでグローバル企業と日本企業のブランド価値の比較が「世界基準」で可能だという。

ランキングでは、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、ブランドによる将来収益の確かさという観点でブランドを評価し、価値を金額で算出している。「将来どれくらい収益を上げると予想されるか」という指標だそうだ。単にランキング作成時期の勢いだけでなく、そのブランドを使用する事業が今後も成長するかどうか見極める際、参考になるだろう。

Best Japan Brands 2019

Best Japan Brandsは、海外売上高比率が30%以上あるブランドを取り上げる「Japan's Best Global Brands(JBGB)」と、30%未満の「Japan's Best Domestic Brands(JBDB)」 の2つで構成される。以下では、それぞれの概要と注目企業をみていく。

グローバルブランド、トヨタが不動の1位

JBGBは2009年に発表開始したランキングで、当初は上位30ブランドを公表していたが、2016年からは上位40ブランドに増やした。2019年版の上位5ブランドは以下のとおり。

1位:Toyota(トヨタ自動車)
・ブランド価値:534億400万ドル(6%増)
・前回:1位

2位:Honda(本田技研工業)
・ブランド価値:236億8,200万ドル(4%増)
・前回:2位

3位:Nissan(日産自動車)
・ブランド価値:122億1,300万ドル(6%増)
・前回:3位

4位:Canon(キヤノン)
・ブランド価値:103億8,000万ドル(6%増)
・前回:4位

5位:Sony(ソニー)
・ブランド価値:93億1,600万ドル(10%増)
・前回:5位

Toyotaの1位は11年連続、つまり2009年に公表された最初のランキングからトップの座を守っている。その点はHondaも同様で、2009年から2位が指定席だ。

上位では、ToyotaとHondaを含め、3位のNissan、10位のSubaru(スバル)、12位のBridgestone(ブリヂストン)、16位のSuzuki(スズキ)、19位のMazda(マツダ)など、自動車関連ブランドの活躍が目立つ。トップ40のうち9ブランドが自動車関連だった。

ランキング全体でもっとも多い業種は11ブランド入った金融関係で、6位のMUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)が最上位。小売関連も9ブランドで存在感を示したという。

2018年版でJBDBの7位だったKao(花王)は海外売上高比率が30%以上となり、今回JBGBに14位で初登場した。同様の移動は、2015年のUNIQLO(ファーストリテイリング)とYakult(ヤクルト本社)、2016年のMUFG、2017年のTokio Marine(東京海上ホールディングス)とMUJI(良品計画)、2018年のMizuho(みずほフィナンシャルグループ)とSMBC(三井住友銀行)という前例があり、インターブランドジャパンは「日本ブランドのグローバル化が着実に進んでいます」とした。

JBGBでブランド価値の変動が大きかったものには、前年比30%増のShiseido(資生堂)、同23%増のSuzuki、同20%増のYamaha(ヤマハ発動機、ヤマハ)、そして同24%減のASICS(アシックス)がある。

出典:インターブランドジャパン / Japan's Best Global Brands 2019

国内ランキングでメルカリ、ZOZO躍進

海外売上高比率30%未満のブランドが対象のJBDBは、2011年に上位30ブランドを公表する形で始まり、2016年から上位40ブランドが発表されている。2019年版の上位5ブランドは以下のとおり。

1位:NTT DOCOMO(NTTドコモ)
・ブランド価値:97億3,200万ドル(1%減)
・前回:1位

2位:SoftBank(ソフトバンク)
・ブランド価値:55億2,300万ドル(6%減)
・前回:2位

3位:au(KDDI)
・ブランド価値:46億8,500万ドル(2%増)
・前回:3位

4位:Recruit(リクルートホールディングス)
・ブランド価値:39億4,700万ドル(16%増)
・前回:4位

5位:Rakuten(楽天)
・ブランド価値:26億2,600万ドル(8%減)
・前回:5位

3大モバイル通信キャリアが3位までを占めており、2016年から4年連続で同じ状況となった。ちなみに、NTT DOCOMOは2011年の初回から9年連続で1位だ。

興味深いブランドは、40位に初ランクインしたMercari(メルカリ)と、前年比38%増という両ランキングでもっとも高い成長率を記録して前年の32位から25位へ急上昇したZOZOTOWN(ZOZO)。インターブランドジャパンは「新しいビジネスモデルにより、これまでになかったサービスを提供するブランドの躍進も特筆されます」とした。特に、メルカリは2018年6月に上場したばかりだが、米国版サービスを展開するなど世界市場を睨んでいる。そして、2月にはスマホ決済サービス「メルペイ」を開始するなど、今後の活躍が期待できる。

JBDBでブランド価値の変動が大きかったものには、先に挙げたZOZOTOWNのほか、KOSÉ(コーセー)の前年比27%増、Asahi(アサヒグループホールディングス)の同25%増、Matsumotokiyoshi(マツモトキヨシ)およびNitori(ニトリ)の同21%増、そしてLawson(ローソン)の同25%減がある。

業種別では、前年比27%増で12位に上昇したKOSÉや、それぞれ初登場で37位のLion(ライオン)と39位のPOLA(ポーラ)など、化粧品およびトイレタリー関連ブランドが躍進したという。JBGBでも、2018年版JBDBの7位だったKaoが14位に、同30%増のShiseidoが15位に、同12%増のUnicharm(ユニ・チャーム)が22位に入り、同業種が好調だった。

出典:インターブランドジャパン / Japan's Best Domestic Brands 2019

急速に変化する産業構造

全世界を対象としたBGBは、1位アップル、2位グーグル、3位アマゾン、4位マイクロソフト、少し離れて9位フェイスブックという具合だ。

出典:インターブランド / Best Global Brands 2018

GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)の強力さを改めて思い知った。インターブランドジャパンは「近年世界のあらゆる産業で、パラダイムチェンジがかつてないスケールとスピードで進んでいます」指摘したが、2000年に始まったBGBランキングの変化を動画で確認すると、わずか20年弱で産業構造が急速に変化していることを実感させられた。

ブランド価値を高めている企業、高い状態で維持している企業からは、学べることが多いはずだ。ランクインしたブランドや上位常連ブランドについて調べてみるといいだろう。

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