低迷スマホ市場の打開策は、高価格モデル、折りたたみ式、5G対応、ゲーム向け

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世界的にスマートフォン販売台数の減少傾向は続いているが、2019年以降は緩やかな成長基調に戻ると予想されている。今後のスマートフォン市場はどう変化するのだろうか。高価格帯へのシフト、折りたたみ式スマートフォン、5G、ゲームといった観点でみてみよう。

低迷スマホ市場の打開策は、高価格モデル、折りたたみ式、5G対応、ゲーム向け

低迷スマホ市場に回復の兆し

調査会社のIDCが、世界的にスマートフォン販売の減少が止まらないといった内容の調査結果を発表した。2018年第3四半期の出荷台数は前年同期比4.9%減の3億7,540万台となり、5四半期連続の減少だったという。2018年の1年間だと14億台で、前年比4.1%減。スマートフォン出荷台数の調査を開始して以来、最悪の数字だったそうだ。さらに、市場の不振は今後も続き、2019年第1四半期も減少すると予想した。

ただし、IDCは別の調査レポートで、2019年から2022年にかけては成長率が1けた台の低い値ではあるものの成長基調に戻るとみる。具体的には、2019年の出荷台数は前年に比べ2.6%増え、2022年には15億7,000万台規模へ拡大するとしている。

出典:IDC / Smartphone Shipments Expected to Further Decline in 2018 Before Returning to Growth in 2019, According to IDC

今後のスマートフォン市場がどう変化するか、ほかの調査結果や注目されているデバイス、最新技術などから考えよう。

スマホ市場の将来を左右する要素

スマートフォン市場の将来を左右しそうな要素を、高価格帯へのシフト、折りたたみ式、5Gといったトピックからみてみる。

高価格帯へのシフト

スマートフォンの販売状況を台数でみると、確かに下落傾向にある。たとえば、GfKジャパンの調査によると、2018年の販売台数は14億4,000万台、前年比3%減なので、IDCのデータと同じ結果だ。

ところが、販売金額は逆に好調で、前年から5%増えて5,220億ドル(約58兆3,805億円)になった。高価格帯の製品が好調だったため平均価格が上昇し、台数は減ったものの金額が増えたのだという。販売されたスマートフォンを価格帯別に集計すると、150ドルから400ドル(約1万7,000円から約4万5,000円)の中価格帯が占める割合は前年の44%から46%に、800ドル超(約8万9,000円)の高価格帯は同様に9%から12%へ拡大した。つまり、全体的に高いスマートフォンが売れるようになり、平均価格は前年比9%増の364ドルになった。

高価格帯へのシフト効果は、メーカーの業績にも現れている。アップルが2018会計年度第4四半期(2018年7月~9月期)に販売した「iPhone」は約4,689万台で、前年同期の4,668万台から伸び悩んだ。しかし、iPhoneによる売上高は前年同期比29%増と好調だった。「iPhone SE」のような低価格モデルをあきらめ、価格の高いハイエンドモデルに注力する戦略が奏功したのだ。

注目される「折りたたみ式」

ハイエンド路線といえば、最近では折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォンが思い当たる。中国ベンチャーの柔宇科技(ロウユー・テクノロジーズ)が披露した世界初の「FlexPai(RY1201D)」を皮切りに、サムスン電子の「Galaxy Fold」、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の「Mate X」が登場した。

販売価格は、Galaxy Foldが1,980ドル(約22万円)から、Mate Xが複数の報道で2,299ユーロ(約29万円)とされており、現在のハイエンドモデルを上回る超高価格モデルとなる。

出典:サムスン / Galaxy Fold

出典:ファーウェイ / Mate X

折りたたみスマートフォンは、技術的に興味深いうえ、ギミックも魅力的だ。ドングリの背比べ状態になっていたスマートフォン市場において、まったく新しいタイプのデバイスである点もアーリーアダプターの心に訴えかけるだろう。価格の高さや実用性に対する疑問などがあり、スマートフォンの一形態として定着するかどうかは不透明だが、楽しみなデバイスであることは間違いない。

5G対応スマホも続々発表

次世代移動通信方式の5Gも、停滞気味のスマートフォン市場を再び活気づかせる要素といえる。1月の家電見本市Consumer Electronics Show(CES)や、2月に開催されたモバイル関連見本市のMobile World Congress(MWC)でも、5Gは関心の高いトピックの1つだった。

無線通信機器に関する調査を行っているナビアンによると、スマートフォンを含む5G対応製品が2027年には19億8,000万台になるという。その内訳は、スマートフォンが12億台、ナビアンが「NEW Product X」と呼ぶ新たなタイプのモバイル製品が4億台、ノートPCおよびタブレットが2億8,000万台、その他が1億台だ。

米国ではすでに5Gサービスが始まっており、日本のキャリアはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手が2019年より段階的に提供していく。また、2019年秋に第4のキャリアとなる楽天は、2020年に5Gサービスを開始する見通しである。とはいえ、5Gサービスが始まっても消費者に普及し始めるのは、「5G版のiPhoneが登場すると予想される2020年後半から」(ナビアン)とみられる。ちなみに、Galaxy FoldとMate Xはいずれも5Gに対応する。

このように期待の高まる5Gだが、1つ気になる問題がある。それは、ファーウェイ排除という米国政府の方針だ。5Gネットワークにおいて、ファーウェイなど中国企業の存在感は大きい。事態がこのまま打開しなければ、5G導入計画の見直しを迫られる通信事業者も出て、5Gによる恩恵を得られるタイミングが遅くなるかもしれない。

ゲーミング・スマホに活路?

技術の面では折りたたみ式スマートフォンと5Gが目立つ一方、GfKジャパンは最新スマートフォンの高いスペックが鍵だと指摘している。スマートフォンの性能はもはやノートPC並みまで向上しており、小型でありながら「処理速度の高いチップセット、精細なディスプレイ、大容量バッテリーを搭載したスマートフォンは、外出先でのゲーム体験に理想的なデバイスとなりうる」という。

スマートフォンのゲーム利用について調べたところ、ユーザーの55%が「過去30日以内にスマートフォンでゲームをした」と答えており、GfKジャパンは「スマートフォンのゲーム利用への需要は非常に高いことがうかがえる」と結論づけた。すでにゲーミングPCがパソコン市場をけん引しているものの、スマートフォン市場は「ゲーミングに対する需要開拓の余地が未だ大きい」そうだ。このゲームをプレイしたいからあのスマートフォンを購入する、といった時代が訪れるだろうか。

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