実はスゴイ「ガラホ」市場 - グーグルも注目、人気のKaiOSに2,200万ドル出資

世界的にスマートフォンの販売台数が減るなか、実はフィーチャーフォン(ガラケー)が好調で2018年は7%増の4億8,000万台が出荷された。うち16%を、ガラケー型スマホ「ガラホ」が占める。ガラホは今後もシェアを伸ばし、2021年には世界フィーチャーフォン市場の半分以上になるという。グーグルも注目しており、人気のKaiOSに2,200万ドル出資している。

実はスゴイ「ガラホ」市場 - グーグルも注目、人気のKaiOSに2,200万ドル出資

2018年は7%増と好調のフィーチャーフォン

世界的にスマートフォンの販売減少が続いているものの、高価格モデルへのシフトに加え、次世代移動通信方式の5G対応サービスが始まるほか、目新しい折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォンなどの影響もあり、2019年から2022年にかけては成長基調に戻ると予想されている。高価格なスマートフォンは確かにキビキビ動き、美しい写真が撮影できて、画面もきれいだ。高級機の人気が高まり、需要の重心が高価格帯へシフトしている状況は理解できる。

しかし、単なる道具としてみた場合、安価なモデルでも性能は十分で、実用上はまったく問題ない。電話やネットでの調べもの程度の用途であれば、インターネット接続可能な携帯電話、いわゆるガラケーやフィーチャーフォンなどと呼ばれるタイプの端末で済む。コンパクトなうえ軽く、ボタン操作が可能で、バッテリー駆動時間も長いことから、フィーチャーフォンの使い勝手を好む人も多い

フィーチャーフォンが根強く残っているのは日本だけかと思いきや、需要は世界的にまだ高い。カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのモバイル市場調査によると、2018年のスマートフォン出荷台数は前年より4%少なかったが、フィーチャーフォンは前年比7%増で4億8,000万台出荷された。

世界で「ガラホ」に期待高まる

ガラホがフィーチャーフォン市場をけん引

2018年におけるフィーチャーフォンの出荷台数トップは、シェア15%を獲得したインドの携帯電話大手、リライアンス・ジオ・インフォコムである。同社の好調は「4Gフィーチャーフォン」にけん引された結果だという。4Gフィーチャーフォンとは聞き慣れない言葉だが、カウンターポイントは「スマートフィーチャーフォン」とも呼んでいる。

出典:カウンターポイント / INFOGRAPHIC: CY 2018 MOBILE MARKET MONITOR

スマートフィーチャーフォンとは、カウンターポイントによると形状は従来のフィーチャーフォンに似ていて、スマートフォンのような機能を提供可能なハードウェアとOSを搭載する端末らしい。中身はAndroidスマートフォンでありながらボタン操作可能なフィーチャーフォン型をした「ガラケー型スマホ」、略して「ガラホ」と称されるデバイスもその一種だろうか。スーパーフィーチャーフォンと呼ばれることもあるが、ここではスマートフィーチャーフォンで統一しておこう。

20億人のガラケー利用者がターゲット

フィーチャーフォン市場を引っ張るほど力を持つスマートフィーチャーフォンは、大きな需要が見込まれる。カウンターポイントは、世界全体だと今後3年間で3億7,000万台のスマートフィーチャーフォンが出荷されると予想した。フィーチャーフォンのアクティブユーザーは世界にまだ20億人おり、フィーチャーフォンの形状とユーザーインターフェイス(UI)を好むユーザーも多いことから、これがスマートフィーチャーフォンの入り込む空き市場になるという。

こうした背景からスマートフィーチャーフォンの人気が高まり、2018年の出荷台数は前年比252%増で、フィーチャーフォン全体の約16%を占めた。インドにおける需要の高さが目立つ一方、米国や英国、東南アジア、アフリカもスマートフィーチャーフォン販売をけん引したそうだ。そして、2021年にはスマートフィーチャーフォンが世界フィーチャーフォン市場の半分以上になると予想した。

モバイル市場の収益は3年で280億ドルにも

スマートフィーチャーフォンは、Android OSやiOSを搭載するスマートフォン同様、アプリをインストールできる。グーグルやフェイスブックなども非スマートフォン利用者を取り込むため、スマートフィーチャーフォン向けにアプリを提供している。たとえば、「グーグルマップ」「YouTube」「Facebook」「WhatsApp」「Twitter」などが利用可能だ。スマートフィーチャーフォンが普及すれば、これまで高価なスマートフォンを入手できなかった潜在顧客層にも、高速なモバイル・インターネット接続、アプリ、サービスなどを届けられる。

その結果、新たなモバイル・バリュー・チェーンが生まれるという。ただ端末が売れるだけでなく、スマートフィーチャーフォンは新しい事業と収益機会を創出する。カウンターポイントは、2021年に全世界で3億人以上のスマートフィーチャーフォン利用者がいて、2019年からの3年間で280億ドル(約3兆1,167億円)もの収益をモバイル市場にもたらす可能性があるとした。

人気の「KaiOS」にはグーグルも出資

カウンターポイントによると、スマートフィーチャーフォン人気の立役者は、OS「KaiOS」を提供するKaiOSテクノロジーズという企業だ。

KaiOSは「Firefox OS」を源流とするLinuxベースのOSであり、メモリーの少ないハードウェアでも快適に動き、4G/LTEやWi-Fi、GPSといった最近のスマートフォンで必須とされる機能にも対応している。しかも、タッチパネル非搭載の狭い画面に適したUIが採用され、テンキーとカーソルキーでも操作しやすい。

KaiOSを採用しているデバイスは、前出のリライアンス・ジオ「JioPhone 2」、HMDグローバルの「Nokia 8110 4G」、アルカテルの「OneTouch Go Flip」など多彩だ。グーグルもスマートフィーチャーフォンを有力なリーチ手段とみているらしく、KaiOSテクノロジーズに対して2,200万ドル(約24億4,882万円)出資した。

グーグルとしては、まだ多いスマートフォンを使っていない消費者に自社サービスを提供できるうえ、そうした消費者が将来スマートフォンへ移行した場合にサービスを継続利用してくれる、と考えているのだろう。

出典:リライアンス・ジオ / JioPhone 2

出典:HMDグローバル / Nokia 8110 4G

ネットワーク事業者の利益も増やす

スマートフィーチャーフォン市場において、リライアンス・ジオの果たした役割は大きい。カウンターポイントは、2017年後半に発売した「JioPhone」などのKaiOS搭載4Gスマートフィーチャーフォンが、何千万人もの2Gフィーチャーフォン利用者に4G接続の機会を提供した、と指摘している。フィーチャーフォンとスマートフォンの中間的なデバイスが、高速な4Gネットワークへの橋渡しをしてくれた。

大量ユーザーの4G移行は、ネットワーク事業者のメリットも大きいという。事業者は2G用の周波数帯をより効率的な4Gで使えるようになり、将来的に音声およびデータ利用による収益促進へつなげ、ユーザー1人当たりの平均収益(ARPU)を増加させられるからだ。

このようにスマートフィーチャーフォンは、利用者と事業者の双方に恩恵をもたらしてくれる。

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