共働き夫婦がともにキャリアを諦めないための「6つの役割(ライフロール)」とは

共働き夫婦が新生活の"ハードル"に四苦八苦する、新年度・4月。本記事では、子育て中の共働き夫婦がともにキャリアを諦めることなく、家事育児と仕事を両立しながら人生100年時代をゆたかに暮らすために意識すべき、人生における「6つの役割」(ライフロール)について提案します。

共働き夫婦がともにキャリアを諦めないための「6つの役割(ライフロール)」とは

共働き夫婦がキャリアを諦める背景

新年度を迎えた4月、育児休暇を取得した方々から、復職面談を控えて複雑な気持ちを伺う機会が増えました。家事育児と仕事の両立に対する不安、平日は夫の帰りが遅くワンオペ育児になる憤り、共働き夫婦のどちらか(多くの場合は女性)が、キャリアを諦める姿が垣間見えます。

女性活躍推進法が施行されてから3年、そして2019年4月からは残業時間の上限規制有給休暇取得義務化がスタートしました。働き方改革が叫ばれて久しい昨今ですが、誰もが家庭やプライベートと仕事を両立しやすくなった、とは言い難いのが現状です。

業務量やワークフローは変わらないまま早帰りが奨励されて、結局は持ち帰りのサービス残業。早帰りさせた部下の業務を肩代わりした管理職ばかり残業続き。こうした働き方改革の弊害や、深刻な人手不足に直面し従業員の働きやすさに配慮する余裕がない業種・企業もあります。

共働き夫婦の一方が、滅私奉公的な働き方から抜け出せないために、もう一方がキャリアを諦める、ワンオペ育児に奮闘する。共働き夫婦がキャリアを諦める背景には、こうした事情があるようです。

他方、子育て社員への会社の処遇がキャリアを阻むという側面もあります。子どもを持った女性社員が家事育児と仕事を両立しやすいようにとの"配慮"から、本人の希望とはかけ離れた業務に配置するマミートラックや、育児休暇を取得した男性社員を出世コースから外すといったパタハラなどです。

2019年1月に発表された「2020年卒 マイナビ大学生のライフスタイル調査」(マイナビ)によると、「育児休業を取って積極的に子育てしたい」と回答した男性の割合は43.6%で、2016年卒以降5年連続で増加しました。同調査では、「男性も育児に積極的に参加する姿勢が徐々に根付き始めている」と考察していますが、実際の男性の育児休業取得率は5.14%(2017年)と低迷しているのが現状です。

根底には「無意識のバイアス」

共働き夫婦がともにキャリアを諦めることなく、家事育児と仕事を両立したいと考えるも、理想と現実にあるギャップ。これを改善するためには「無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)」に気づくことが重要だといわれています。

例えば、自身の妻が専業主婦だった管理職世代の男性が「女性は家庭に入るべき」という考え方に無意識的にとらわれて、子育て中の部下をエンパワーできないこと。6歳未満の子どもを持つ夫婦では、妻が夫の約6倍の時間を家事関連に費やしている(平成28年社会生活基本調査より算出)ことにも、「家事育児は女性の役目」という無意識のバイアスが潜んでいそうです。

不必要な固定概念を持っていることに、自分ひとりでは気がつきにくいものです。一部の企業では、多様な人が働きやすい就労環境を整えるため、無意識のバイアスに関するマネジメント研修を実施する企業も登場しています。

人生には、果たすべき「役割」がある

家事育児と仕事の両立については、こうしたジェンダー・性別役割分担における課題を指摘されることが多いのですが、夫婦がともに自らのキャリアプランを実現していくために、知っておくと役立つ概念があります。「キャリアとは、人生のそれぞれの時期で果たすべき役割(ライフ・ロール)の組合せである」としたドナルド・E・スーパー(Donald.E.Super)の理論です。

米国のキャリア研究者スーパーは、人生を5段階から成る発達過程だとするライフ・ステージ論を提唱。成長期(〜15歳頃)、探索期(〜25歳頃)、確立期(〜45歳頃)、維持期(〜65歳頃)、解放期(65歳頃〜)。それぞれのライフ・ステージにおいて、子供・学生・市民・労働者・配偶者・親・余暇を楽しむ人などの複数の役割を並行して果たすことで、自分らしさを発見・確立し人間的な成長を遂げていくと考えました。

出典:文部科学省 「高等学校キャリア教育の手引き」

このを見ると、人生においてある一定の時期までは、果たすべき役割は増え続けることが分かります。「両立」は、子どもが生まれてすぐの時期だけではなく、また子どもの有無に関わらず、誰もが長い人生に渡って取り組むべきテーマなのです。性別や住んでいる地域に関わらず、共通していえることです。

各家庭で、また職場においても、共働き夫婦のキャリアについて考えるとき、家事育児タスク分担や労働時間の短縮など"運用面"に目が向けらがちです。しかしその前に、人生を俯瞰してとらえ、それぞれが自分らしく成長することをゴールとして、いま果たすべき役割や自分の価値観・興味関心が何に向いているのかを考え、お互いに話し合うことが重要なのではないでしょうか。