リスケも連絡もAI秘書と会話するだけ、マイクロソフトの最新技術【Microsoft Build 2019】

マイクロソフトの開発者向け会議「Microsoft Build 2019」では、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」、AI、MR、IoT、ブロックチェーンなど、多種多様な技術が発表された。スターバックスのAIメニュー提案システムや、文脈を理解し「有能な秘書」として活躍しそうな対話型AIアシスタントなど、マイクロソフトの最新技術で便利になる日常生活の例を紹介しよう。

リスケも連絡もAI秘書と会話するだけ、マイクロソフトの最新技術【Microsoft Build 2019】

Build 2019で披露、生活を便利にする最新テック

マイクロソフトがワシントン州シアトルで開催した開発者向け会議「Microsoft Build 2019」では、実に多くの新サービスや新機能が披露された。人工知能(AI)、複合現実(MR)、IoT、ブロックチェーンといった技術の発表や、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で連携させて問題解決に活用する事例の紹介もあった。

「Azure Cognitive Service」を使うと、「見たり、聞いたり、話したり、推論したり、判断したりできる」アプリケーションの作成、構造化および非構造化コンテンツに対する高度な検索サービスなどが可能になり、AzureでもAIを容易に活用できるだろう。使いこなすことが難しい機械学習システムも、「Azure Machine Learning」ならトレーニングの構築や機械学習モデルの展開が簡略化されるという。ドラッグ&ドロップ操作によるモデル構築機能などは、AIを導入しやすくしてくれる。

ここでは、マイクロソフトがMicrosoft Build 2019のポイントとして挙げた10項目から、いかに最新技術が日常生活を便利にするか実感できる例として、スターバックスの取り組みと、未来の対話型AIアシスタントを取り上げる。

AzureでCX向上に取り組むスタバの3事例

スターバックスでは、マイクロソフトのクラウドコンピューティングやAI、IoT、ブロックチェーンといった技術を組み合わせ、顧客体験(CX)の向上に取り組んでいるそうだ。

出典:マイクロソフト / Starbucks turns to technology to brew up a more personal connection with its customers

1. AIでパーソナライズ化した接客を実現

スターバックスのスマートフォン用アプリを開くと、お薦めの食べ物と飲み物が提案される。この仕組みの背後では、機械学習の一種である強化学習システムがAzure環境で動き、店舗の在庫情報、人気商品、天候、時刻、注文履歴などのデータを組み合わせて分析している。バリスタが顧客に最適な応対をするのと同じように、デジタルプラットフォームを通じてもパーソナライズ化した接客を実現するという。

アプリに搭載しているこの機能だが、スターバックスは同様のメニュー提案機能をドライブスルー利用者にも提供しようと開発を進めている。ドライブスルーを利用する来店者の場合、アプリユーザーと違って顧客ごとの注文履歴が参照できない状況があるという。そこで、400種類以上の判断基準から提案メニューを選び、注文画面に表示するシステムをシアトルで試験中だ。間もなく提供店舗を増やすとしている。

出典:マイクロソフト / Starbucks turns to technology to brew up a more personal connection with its customers

2. IoTでコーヒーマシンを管理

スターバックスの店舗では、コーヒーマシンやグラインダーなど多くの機械を使って食べ物や飲み物を出している。故障するとサービスが提供できなくなり、修理コストも生じてしまう。このような事態を未然に防ぐため、スターバックスは「Azure Sphere」を導入し、各マシンを安全にIoT化する道を選んだ。

エスプレッソマシンの場合、1杯抽出するだけの作業で、豆の種類やコーヒーの温度、水質など多彩な情報が集まる。8時間で5メガバイトを超えるサイズになるデータはクラウド環境に保存され、問題の有無が検査される。ここで故障の予兆を発見できれば、空き時間に修理するなどの予防措置が可能になる。

このシステムは、新メニューの導入にも役立つという。新メニューのレシピをマシンに入れるには、レシピデータの入ったUSBメモリーをマシンに接続し、手作業で登録しなければならない。3万店もある店舗で1つ1つ対処することを考えると、気が遠くなるほどの手間がかかる。それがAzure Sphere導入により、ボタンをクリックするだけでクラウド環境からマシンへ直接レシピ配信できるのだ。

3. コーヒー農園からカップまでの流通を追跡

カップで飲んでいるコーヒーは、どうやって届けられたのだろうか。この問いに答えられるよう、スターバックスはアプリにコーヒーのトレーサビリティ機能を追加しようとしている。

Azureのブロックチェーン機能「Azure Blockchain Service」でコーヒー豆の流通経路を管理し、栽培された農園から店舗までの流れをアプリで確かめられるようにするという。焙煎した工場やテイスティングに関するデータ、生産者向け支援プログラムの内容といった情報も提供していく。

出典:マイクロソフト / Starbucks turns to technology to brew up a more personal connection with its customers

未来のAIアシスタントは有能な秘書

もう1つの例は、マイクロソフトが2018年5月に買収したセマンティックマシンズ(Semantic Machines)の対話型AIと機械学習技術を利用して作った、未来の対話型アシスタントを紹介したものだ。未来といっても、近い将来スマートフォンで当たり前のように使える可能性がある。

出典:マイクロソフト / What's Microsoft's vision for conversational AI? Computers that understand you

人間相手のように自然な会話がはずむ

音声アシスタントのデモンストレーションでは、女性が歩きながらスマートフォンに話しかけ、ミーティングのスケジュールを調整するようすが描かれている。驚くのは、人間の秘書を相手にしているかのように自然な会話の流れだ。

現在のスマートスピーカーで何か作業をする場合、ユーザーは状況に応じて適切な音声コマンドを選ぶ必要がある。そうしなければ目的のスキルが実行されず、期待した反応が得られないからだ。ところがデモ映像の女性は、音声コマンドを意識しない自然な話し方で調整を進めている。

この音声アシスタントは文脈を把握していて、調整作業の途中でほかの話題が入り込んでも混乱せず対応した。ミーティングの案内を出席者へ送信する複数のスキルを跨る作業も、特別なスキルを呼び出すことなく自然な流れで実行できる。

マイクロソフトは、同技術を音声アシスタント「Cortana」のほか、同社の対話型AI製品やツールに組み込む計画だ。

Q#言語オープンソース化などにも注目

ほかにも、AIによる「Microsoft 365」「Office 365」の機能強化、災害救助ロボットやトヨタの自動運転フォークリフトにおける自律動作システムなど、興味深い取り組みは多い。Azureやウェブブラウザー「Edge」の機能強化、量子コンピューティング向けプログラミング言語「Q#」のオープンソース化も押さえておくべき話題だ。

Microsoft Build 2019の全体像については、公式ガイドブックを参照されたい。