「ボランティア休暇」から特別休暇制度を見直そう、五輪や万博、災害ほか

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ボランティア休暇とは、災害時をはじめ東京五輪などでボランティア活動に参加することを目的とした特別休暇です。労働時間短縮や有給休暇の取得促進を見込んで、こうした特別休暇の充実に着手する会社が、いま増えています。本記事では、ボランティア休暇制度および特別休暇制度の新設・見直し時の留意点について解説します。

「ボランティア休暇」から特別休暇制度を見直そう、五輪や万博、災害ほか

政府が戦略的に推進する働き方改革の一環で、2019年4月から有給休暇取得の義務化がスタートしました。「どうやって有休を5日取得してもらったよいか?」頭を悩ませる会社がある一方で、有給休暇取得の義務化はあくまでも働き方改革を進めるための1つの施策であることを認識している会社は、もう一歩踏み込んだ働き方改革に着手しています。

そのひとつが特別休暇制度の見直しです。内容は会社ごとに異なりますが、60%を超える会社が、夏季休暇や病気休暇のほかリフレッシュ休暇、ボランティア休暇などなんらかの特別休暇制度を設けています。(参考:平成30年就労条件総合調査(5)特別休暇制度

ですが、実態としては制度を最大限活用できている会社は少ないように感じます。特別休暇制度の利用活性化を図ることは、労働時間の短縮につながり、年次有給休暇取得を促進する二次効果も期待できます。特別休暇制度を働き方の見直しにいかしてはいかがでしょうか。

ボランティア休暇制度って?

特別休暇の中で、制度の見直しや創設をぜひ検討いただきたいのが、ボランティア休暇です。平成7年の阪神・淡路大震災を大きな契機として、ボランティア参加者は広い世代に拡大し、ボランティアといえば災害時という印象を強くしました。その後も各地で立て続く災害に接し、「被災地の復興を支援したい」「社員の心意気を支援したい」と各社が整備していったのがボランティア休暇制度の原点です。

そして今、ボランティアは活躍の場を大きく広げようとしています。東京五輪は、大会ボランティアと都市ボランティアを合わせて10万人超を募集(すでに募集は終了)。2025年に大阪で開催される万博も同様に、多数のボランティアを募集することが見込まれています。

ボランティア休暇のメリットとは

災害と五輪に限らず、自発的に他人・社会に奉仕する人または活動をボランティアと定義すると、なんらかの活動に携わる方は、多いのではないでしょうか。

海外ボランティアから、地域イベントの開催支援、地域の美化活動、町内会活動やPTA活動、アマチュアスポーツの指導・審判まで、幅広いボランティアが存在します。こうした活動は、個人がプライベートで自発的に行なっているものですが、人生100年時代という観点からみて非常に有益です。

ボランティア活動には、同じテーマに興味関心や課題感を抱く多様な人が集まっています。ボランティア活動を通じて得られる経験やコミュニティは、視野を広げられたり、幅広い人脈形成につながるなど、ビジネスとキャリアに良い影響をもたらすことが期待できるのです。

また、ボランティア活動への参加が、働く活力の充電につながったり、奉仕の心を育てることになるといった効果も期待できます。

企業側もボランティア休暇について、人材マネジメントの観点から戦略的に捉え直して損はありません。災害に限定しない幅広いボランティアをイメージした制度を設計するなど、会社としてできる範囲内で支援するところから始めてみてはいかがでしょうか。

ボランティア休暇制度の新設・見直し時の留意点

ボランティア休暇をはじめ、特別休暇の利用活性化を図るためには、利用状況をしっかりイメージすることが重要です。ボランティア休暇の場合、被災地の支援も東京五輪の運営支援も同じボランティアですが、活動実態は以下のように大きく異なります。

災害ボランティア 東京五輪ボランティア
必要日数 1日~長期まであり得る 最低活動日数と連続活動日数の上限の定めがある
取得日の事前把握 突発的な取得が発生する場合もある 取得日は事前に把握が可能
費用負担 宿泊・移動に要する費用やボランティア保険加入費用は原則実費。ヘルメットや手袋、長靴などの装備品も持参する必要あり 一律の交通費や必要なユニフォームが支給されるので、自己負担はほぼなし
移動 遠方までの移動や車中泊もあり得る 公共交通機関等を利用した近距離の移動を想定している
活動内容 屋内外の片づけ、物資の運搬、仕分け、炊き出しの支援など屋外での体を使った活動が多い 屋内外での会場案内、車の運転を担う移動サポート、外国語のコミュニケーションを前提としたアテンドなど活動の種類は豊富
その他考慮事項 活動中に怪我をしたり、事故や二次災害に巻き込まれたりといったリスクについて、会社としてどのようにとらえるか? オリエンテーション参加もボランティアに該当するのか?

上記の比較からわかるように、ひとまとめにボランティアといっても、災害ボランティアに限定したボランティア休暇制度であれば、休暇取得は1日単位ではなく、移動や疲労回復も考慮した数日単位の取得を前提に考える必要がありますし、活動に要する費用の一部補助を検討してもよいでしょう。

また、災害の発生は予測不可能ですから、申請要件も考慮したいところです。例えば2週間前までの申請を必須にするといった要件を定めてしまうと、制度利用の足かせになる可能性があります。

逆に、災害に限らないボランティア休暇制度をイメージしている場合は、どんなボランティア活動を休暇の対象とするのか?を具体的に例示すると社員の利用が進むでしょう。活動の内容によっては、必ずしも1日単位ではなく、半日単位や時間単位の休暇の方が使いやすいケースも考えられます。

ボランティア休暇の制度化はハードルが高いと感じられた方もいるかもしれませんが、私はすべてのボランティア活動を特別休暇という形で支援する必要はないと思っています。次章からは、特別休暇制度の新設・見直しについて掘り下げて解説します。