「ボランティア休暇」から特別休暇制度を見直そう、五輪や万博、災害ほか

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記事の情報は2019-05-24時点のものです。

ボランティア休暇とは、災害時をはじめ東京五輪などでボランティア活動に参加することを目的とした特別休暇です。労働時間短縮や有給休暇の取得促進を見込んで、こうした特別休暇の充実に着手する会社が、いま増えています。本記事では、ボランティア休暇制度および特別休暇制度の新設・見直し時の留意点について解説します。

特別休暇制度の新設・見直し時の留意点まとめ

ボランティア休暇に限らず、会社が独自に定める特別休暇には様々なものがあります。いろいろな会社の就業規則をみていると、時代にあわせた変化が求められる制度であることを実感する場面が多々あります。

特別休暇を見直す際には、以下のような観点で考えてみるとよいでしょう。

休暇の目的は?

特別休暇の目的は大きくふたつに分類することができます。分類すると、どんな点を見直したらよいのか?また新たにどんな休暇を検討したらよいのか?が見えやすくなります。

(1)福利厚生的な意味あいの強い休暇

例:夏季休暇、慶弔休暇等

(2)休むきっかけづくりにつながる休暇

  • ご褒美的な意味合いの強いもの

例:リフレッシュ休暇やバースデー休暇等

  • 会社のポリシーやスタンスが強く反映されたもの

例:ボランティア休暇、子供の行事休暇、失恋休暇等

生活スタイルに対応した休暇制度になっているか?

福利厚生的な意味合いの強い休暇は、世の中の変化とそれに伴う生活スタイルの変化にあった休暇制度になっているか見直すとよいでしょう。

例えば、夏季休暇です。以前はお盆休みの休暇が主流でしたが、最近は各自のタイミングで取得できる夏季休暇が増えています。子供の長期休暇や個々の休暇の過ごし方への配慮という意味でも、夏季休暇の分散化や取得時期の見直しは検討が必要でしょう。

年季の入った就業規則を拝見すると、結婚休暇の対象が本人の結婚の他に子供、孫、弟妹と記載されている会社が結構な頻度で見受けられます。社員の孫や弟妹の結婚までも対象としているのはおそらく家制度の名残(昭和22年に廃止)だと思われますが、もっと現代の家族の形に合わせた特別休暇が検討できるのではないでしょうか。

休みたい需要にあった休暇制度となっているか?

ボランティア休暇の新設・見直しの留意点の段落でも取り上げましたが、休むきっかけづくりにつながる休暇は、需要にあった休暇制度になっているかが重要です。

入社3年目と5年目にリフレッシュ休暇を付与している会社の平均在籍年数を算出してみたところ、2年目と4年目に退職する社員が多いという結果だったことがあります。退職を決断する前にリフレッシュできたら、気持ち替わりした社員もいたかも・・・と感じた事例でした。

そのほか、大半が独身の社員なのに子育てに関する休暇が充実していて、制度がただの飾りになってしまっている例もあります。アニバーサリー休暇や失恋休暇などユニークな休暇もありますが、最初は話題を集めても、利用が伸びず形骸化してしまってはあまり意味がありません。

制度を作ったら終わりではなく、利用状況や社員の年齢分布などを見ながら、定期的な見直しを行うことが大切です。いっそのこと、東京五輪の観戦休暇など、最初から期間を限定した特別休暇制度としてしまうことも面白いと思います。

特別休暇制度を働き方改革にいかすためには

ここまで特別休暇制度についてお話してきましたが、特別休暇を増やすことで有休取得がますます見込めなくなってしまうのでは?と考える方もいるでしょう。

しかしながら、そもそも有給休暇の取得が伸びない一因は“休みにくさ”にあります。特別休暇制度の活性化は結果的に有休取得の増加につながることが期待できるでしょう。

ただし、特別休暇をむやみに増やすだけでは“福利厚生が充実した会社”で終わってしまいます。一部の社員だけがたくさん休んでいて、他の社員に負担が偏るのでは、むしろマイナスです。

これから特別休暇制度を新設・見直しする際には、社員がいきいきと働く姿をイメージし、社員にどんな働き方をしてもらいたいのか?を考えると、より多くの社員が活用できる制度になるのではないでしょうか。

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