トヨタとパナソニックが住宅事業を統合、技術生かし街づくり強化

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記事の情報は2019-05-09時点のものです。

トヨタ自動車とパナソニックは5月9日、住宅事業の統合を発表した。2020年1月を目指し合弁会社を設立する。トヨタが力を入れるモビリティ領域の知見と、パナソニックが培ってきた生活関連テクノロジーの知見を生かし、街づくりを強化する。
トヨタとパナソニックが住宅事業を統合、技術生かし街づくり強化

※画像はパナソニックが展開するFujisawa SSTの街並みイメージ

パナソニックとトヨタ自動車は5月9日、街づくり事業に関する合弁会社の設立を発表した。それぞれが持つ住宅事業を統合し、街全体での新たな価値創出を目指す。

背景には、スマートホーム化に見られるような住宅設備のIoT化や、移動をサービスとしてとらえるMaaS(マース)などにより、街づくりや住宅事業を巡る環境が急速に変化していることがあげられる。

また、国内では人口減少やライフスタイルの変化から新設住宅着工戸数の減少が見込まれる。住宅事業が激化するなかで両社は、協業により事業基盤を強化し、これまで取り組んできた街づくり事業の強みを生かした成長を目指すという。

パナソニックは、さまざまなパートナー企業とともに持続可能な街をつくる「サスティナブル・スマートタウン(SST)」事業を展開してきた。たとえば、2014年1月に本格稼働したFujisawa SST(神奈川県)では、CO2排出量70%削減を目指したスマートホームの設置、カーシェアやサイクルシェアなど複数手段を使い分けられるトータル・モビリティサービス提供、ほかIoT関連の実証実験などを行ってきた。

トヨタ自動車は近年モビリティ領域に力を入れており、国内外の提携企業との取り組みを進めている。2018年10月にはソフトバンクと新会社「MONET Technologies」を設立、クルマのコネクティッド化を通じてモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)の構築を進め、「100年に一度の変革期」を乗り越えようとしている。

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豊田社長は、「CASE(※)の進展によって、これから先は人々の暮らしを支える全てのモノ、サービスが情報でつながり、クルマを含めた町全体、社会全体という大きな視野で考えること、すなわち、“コネクティッド・シティ”という発想が必要となります。この実現には『どんな未来を創りたいのか』という目的を共有し、仲間と協調する精神が重要になってくると思います」とコメント。
※CASE=Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を取った略称

パナソニックの津賀社長は、「モビリティ領域をリードするトヨタ自動車と、人の『くらし』に寄り添い続けてきた当社の強みを掛け合わせ、新たな価値の提供に取り組んでいきます。協業を通じて、お客様一人ひとりの『理想のくらし』に向けて進化を続ける街づくりを目指し、挑戦を重ねていきたいと考えています」と意気込む。

新会社「プライム ライフ テクノロジーズ(Prime Life Technologies Corporation)」は2020年1月の設立を予定。パナソニックが株式を保有するパナソニックホームズ、パナソニック建設エンジニアリング、松村組、トヨタ自動車およびグループ会社が保有するトヨタホーム、トヨタホームが51%を保有するミサワホームを新会社へと移管する。

取引ストラクチャー概要(出典:トヨタ自動車プレスリリース)

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