2024年には過半数が「自動運転車に乗りたい」 メーカーが踏むべき普及への4ステップ

公開日:
自動運転車を使いたいと答える消費者の割合は、1年後という条件なら25%だが、5年後だと過半数の52%に急増する。自動運転技術に期待する人は59%おり、恐怖や不安を感じている人もいるが、消費者はおおむね楽観的だ。ただし、業界関係者の認識は消費者と若干ずれており、丁寧に理解を広げて段階的に受け入れてもらう必要がある。
2024年には過半数が「自動運転車に乗りたい」 メーカーが踏むべき普及への4ステップ

高まる自動運転車への期待

ドライバーの操作ミスによる不幸な交通事故を防ぐ方策として、または高齢者の多い過疎地域における新たな移動手段として、自動運転車への期待が高まっている。とはいえ、自動運転で走行中の車が人身事故を起こしたり、雪道や豪雨、濃霧といった悪環境下での性能が不十分だったりと、いわゆるSAEレベル5の完全な自動運転の実用化はまだまだ難しい。

このような自動運転技術は、消費者にどう受け止められているのだろうか。フランスのコンサルティング企業であるキャップジェミニが世界6カ国で実施した調査「The Autonomous Car: A Consumer Perspective」によると、「1年後には自動運転車に乗りたい」とする人は25%にとどまった。ところが、「(5年後の)2024年には手動運転車よりも自動運転車に乗りたい」と考える人は52%で、自動運転の信頼性や期待が急速に高まるようだ。10年後という条件での質問だと、64%が「自動運転車に乗りたい」と答えている。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

自動運転がこのように受け入れられれば、巨大な市場になり、社会に与える影響も小さくない。消費者の考えを知り、本格的な自動運転社会の到来に備えよう。

消費者は自動運転をどうみている?

キャップジェミニの調査は、中国、フランス、ドイツ、スウェーデン、米国、英国で合計5,538人の消費者を対象に行われた。

期待、驚き、恐怖、不安

まず、キャップジェミニは自動運転に対して消費者がどのような感情を抱くか調べている。そして、Relief(安堵)、Joy(喜び)、Satisfaction(満足)、Anticipation(期待)など肯定的なもの、Fear(恐怖)、Anger(怒り)、Sadness(悲しみ)、Disdain(軽蔑)など否定的なものに分類した。

もっとも多かった回答はAnticipation(期待)の59%、2番目はSurprise(驚き)の52%で、自動運転という先端技術を楽しみにしている消費者の姿が浮かぶ。しかし、Fear(恐怖)が48%、Anxiety(不安)が46%、Loss of Control/Helplessness(無力感)が43%など、疑いの目を向けている人は多い。Disdain(軽蔑)、Sadness(悲しみ)、Anger(怒り)という強い否定的な感情を持つ人も、それぞれ11%、11%、6%と入った具合に少ないながら存在した。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

中国は際立って肯定的

自動運転に肯定的な人は6カ国平均で40%、否定的な人は27%になるのだが、国別でみると顕著な差が現れる。

肯定的な人の割合は、中国が53%でもっとも高く、ほかの国々は3割台にとどまっていた。また、中国で否定的な人は12%しかいないのだが、残り5カ国は約3割が否定的だった。これと同様の「中国では自動運転車を不安視する人が極端に少ない」という結果は、以前紹介したデロイト トウシュ トーマツの調査レポートでも得られていた。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

また、自動運転に対する立場は国だけでなく居住地域や年齢によっても異なる。ミレニアル世代(キャップジェミニは35歳未満と定義)と、都市部や都市近郊の郊外に住んでいる人々は、肯定的な傾向がみられた。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

自動運転車のなかで何をしたい?

完全な自動運転になれば、移動中に車のなかで自由な時間が確保できる。そこでキャップジェミニは、消費者が自動運転中の車内で何をしたいと思っているか調べた。

まず、友人や家族に関する最新情報を得たり、メッセージや電話をかけたりなど、おそらくメールアプリやSNSアプリを使うような社会的活動を選ぶ人が63%いた。ニュース確認や音楽聴取、映画/テレビ視聴、読書、ゲームなどのエンターテインメント活動は57%が選んだ。なかでも音楽を聴く人は76%にのぼり、全項目のうちもっとも多い。

自動運転による移動をリラックスタイムととらえる人は48%で、特にITツールから離れるデジタルデトックスをして移動そのものを楽しむという意見が58%もあった。また、軽いエクササイズや瞑想(めいそう)など、移動を健康維持に使おうという人が24%いる。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

運転から解放されて自由に使える時間が増えると、自動車が単なる移動手段でなくなり、これまで思いもしなかったことが車内で実行可能になる。そのためキャップジェミニは、自動運転技術は自動車業界にとどまらず、メディアやエンターテインメント、小売り、ヘルスケア、金融などの業界にも影響を及ぼすと指摘した。

こうしたチャンスをいかすには、自動車メーカーなどは自動運転技術そのものに限定せず、車内で利用可能な新しいサービスやソフトウェア、コミュニケーション手段を作り出すための投資を実施すべきだ。

自動運転に対して残るハードル

消費者は自動運転に対しておおむね楽観的だが、それでも自動運転車が受け入れられるには越えなければならないハードルが残っているという。キャップジェミニが自動車関連企業の経営陣などを対象に実施した調査結果と合わせ、消費者と業界関係者のギャップを確認しよう。

消費者と業界関係者で食い違う視点

自動運転車の購入や利用という行動を選ぶにあたり、何が懸案事項で障害になるか尋ねたところ、以下に示す結果となった。

予想外の事態で起きる自動運転車の異常動作

  • 消費者:71%
  • 業界関係者:64%

自動車のサイバー攻撃に対する耐性

  • 消費者:73%
  • 業界関係者:65%

関連システムのサイバー攻撃に対する耐性

  • 消費者:72%
  • 業界関係者:66%

自動運転車の操作法学習

  • 消費者:37%
  • 業界関係者:59%

新たな交通ルールの理解

  • 消費者:51%
  • 業界関係者:63%

ほかの自動運転車との通信

  • 消費者:46%
  • 業界関係者:65%

手動運転車との通信

  • 消費者:56%
  • 業界関係者:68%

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective

いずれも自動運転の普及には解決が必要な問題であるものの、重視する項目が消費者と業界関係者で食い違う。自動運転車が安心して選ばれるよう、消費者が不安に感じているポイントを意識し、理解してもらわなければならない。

メーカーが踏むべき普及への4ステップ

最後にキャップジェミニは、自動運転社会を実現させるために取り組むべき事柄として、「消費者へ情報提供する」「消費者を理解し安心させる」「サービスエコシステムを構築する」「ソフトウェアスキルを開発する」という4つを挙げた。

自動運転車は、間違いなく社会に大きな変化をもたらす技術だ。このように段階を踏んで丁寧に理解を広げて受け入れてもらうことが、結局は普及への近道なのかもしれない。

出典:キャップジェミニ / The Autonomous Car:A Consumer Perspective