ホンダは中国アリババを採用 - スマスピと異なる車載音声アシスタント市場

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ホンダが、中国で販売するコネクテッドカーに「Tmall Genie Auto」というアリババの開発した音声アシスタントを搭載する。BMWやボルボ、アウディ、ルノーもTmall Genieの採用を決めた。スマートスピーカー市場ではアマゾンとグーグルが圧倒的に強いものの、自動車に載せる音声アシスタントでは聞き慣れない名前を耳にする。グローバルの市場はどうなっているのだろうか。

ホンダは中国アリババを採用 - スマスピと異なる車載音声アシスタント市場

ホンダら大手がこぞってTmall Genieを採用

本田技研工業(ホンダ)は、中国で販売するインターネット対応自動車(コネクテッドカー)に中国ネット通販大手アリババ(阿里巴巴)の音声アシスタント機能「Tmall Genie Auto」を搭載する。Tmall Genie Auto対応はホンダだけでない。アウディ、ルノー、ボルボ・カーズ、BMWも採用を決めた。

出典:アリババ / Alibaba A. I. Labs Partners with Audi, Renault and Honda for Intelligent In-car Experience

スマートフォンやスマートスピーカーでおなじみの音声アシスタントだが、自動車のなかで使う人も増えている。たとえば、米国の成人を対象に実施されたボイスボット.aiの調査によると、米国では7,700万人の消費者が車内で音声アシスタントを利用した計算となり、家庭などのスマートスピーカーを使った4,570万人よりはるかに多い。運転中はハンドルから手を放せず、周囲から目を離せないので、音声コマンドによるハンズフリー操作は確かに便利だ。

出典:ボイスボット.ai / Twice the Number of U.S. Adults Have Tried In-Car Voice Assistants as Smart Speakers

スマートスピーカーで使われている音声アシスタントというと、アマゾンの「Amazon Alexa」とグーグルの「Google Assistant」が大きなシェアを占めていて、それ以外の存在感は弱い。しかし、車載システムに目を向けると、少し異なる景色が浮かび上がる。

アリババのTmall Genie Autoとは

まず、Tmall Genie Autoについてみてみよう。

スマートホームとも連携

Tmall Genie Autoは、アリババがスマートスピーカー「天猫精霊X1(Tmall Genie X1)」などに搭載している音声アシスタント機能を、自動車向けにしたもの。

走行中の車内でハンドルから手を放さず、近くにあるレストランの検索、映画チケットの購入、テイクアウト食品の注文などが音声で命令できる。もちろん、ニュースや天気予報の確認、オーディオブックの再生なども可能だ。さらに、アリババの通販サイト「Taobao」「Tmall」での買い物も行える。

自宅に設置したスマートスピーカーやスマートホームシステムとも連携し、自宅から自動車の窓やドアを閉めたか確かめられる。逆に、車内から自宅の照明やエアコンをコントロールするなど、スマートホーム機器を操作する機能も搭載する。

中国でもっとも売れているスマートスピーカー

日本では目にしないTmall Genieだが、アリババによると中国でもっとも売れているスマートスピーカーだそうだ。

調査会社カナリスが中国のスマートスピーカー販売台数を調べたところ、2018年はアリババのTmall Genieがトップで、2位がシャオミ(小米科技)の「Xiao Ai」、3位がバイドゥ(百度)の「DuerOS」だった。そして、2019年のシェアは、アリババが39%、シャオミが25%、バイドゥが24%と予想している。

世界的にはアマゾンとグーグルが圧倒的に強いものの、中国では「その他」に丸められてしまうほど両社のシェアは小さい。対応している言語とサービスの影響を受け、選ばれるスマートスピーカーや音声アシスタントにはお国柄が出るのだろう。

出典:カナリス / Canalys: Global smart speaker installed base to top 200 million by end of 2019

スマートスピーカー大手の車載対応は?

ほか、スマートスピーカーでメジャーな各社、具体的にはアマゾン、グーグル、アップルの車載対応は、以下のような状況だ。

アマゾンとグーグルは車載でも強い

スマートスピーカー最大手のアマゾンは、「Alexa Automotive」という自動車向けAlexaを提供。トヨタ自動車や日産自動車、フォルクスワーゲン、フォード・モーター、BMWなど主要メーカーの多くが採用している。さらに、車内でスマートフォンのAlexaを使いやすくするための連携デバイス「Echo Auto」も発表した。

一方、2番手のグーグルは、Androidスマートフォンを自動車と連携させるための技術「Android Auto」にGoogle Assistantを組み込むことで、音声アシスタントの自動車対応を進めている。もちろん、アマゾン同様、採用しているメーカーは多い。また、そうしたメーカーの多くがAlexa AutomotiveとAndroid Autoの両方に対応している。

意外に無視できないアップルの存在

スマートスピーカー「HomePod」を販売しているアップルだが、販売状況は芳しくない。そんなアップルは、自動車向け音声アシスタントを早くから提供し、車載システム「Apple CarPlay」で「Siri」が使える。現在Apple CarPlay対応車は500モデル以上ある。

ボイスボット.aiの調査では、車内で利用される音声アシスタントの20.7%がCarPlayで、Androidの9.5%、Alexaの1.5%を上回っていた。

「Bluetooth接続させたスマートフォン」が32.1%、「自動車に搭載されているもの」が32.0%あり、これらのなかにAndroidとAlexaが相当量含まれているはずなので、CarPlayが車載音声アシスタントの1位というわけではない。ただし、スマートスピーカー市場で影の薄いアップルが、自動車市場では無視できない存在といえる。

出典:ボイスボット.ai / In-Car Voice Assistant Consumer Adoption Report 2019

バラエティに富む自動車向け音声アシスタント

ボイスボット.aiは今回の調査で、音声アシスタントの有無が購入車種の選定に影響するかどうかも調べた。回答者の38.0%は「まったく影響しない」と答えたが、「やや影響する」が32.9%、「強く影響する」が11.5%、「対応が必要」が7.6%、「何らかの音声アシスタントがほしい」が7.6%で、それなりの影響力があると判明した。気に入った音声アシスタントを求める人も約5人に1人いて、スマートスピーカー利用者が増え、スマートホーム化した家庭が多くなれば、普段使っている特定の音声アシスタントを車でも選びたいと考える人も増加するはずだ。

出典:ボイスボット.ai / In-Car Voice Assistant Consumer Adoption Report 2019

自動車は地域性が強いうえ、頻繁には買い替えない高価な商品である。そのため、中国向け自動車でTmall Genieが採用されたり、Apple CarPlayのユーザーが多かったりする。現時点で世界シェアが大きな音声アシスタントだからといって、自動車市場に食い込める保証はない。

BMWが「Intelligent Personal Assistant(IPA)」、ヒュンダイ(現代自動車)が「Houndify」といった独自の音声アシスタントをあえて開発するのも、オーナーに最適なドライビング体験を提供したいからだろう。音楽配信サービスのスポティファイがテスト中の「Car Thing」、音響機器メーカーのオンキヨーが発表した「AIスマートオートモーティブ」といった変わり種もある。

寡占状態になりそうなスマートフォンやスマートスピーカーと違い、自動車のなかでは多種多様な音声アシスタントが生き残るかもしれない。

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