エンタープライズでも存在感示すファーウェイ、クラウド拡充でグローバル市場狙う

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米中貿易摩擦に関するニュースでよく名前が登場するファーウェイ。世界スマートフォン市場でアップルを抜いて2位になったが、サーバーやストレージ機器など企業向け製品の分野でも上位に食い込んでいる。特に5Gインフラ分野では無視できない存在だ。現在は、クラウドサービスを拡大させ、グローバル市場を狙っている。

エンタープライズでも存在感示すファーウェイ、クラウド拡充でグローバル市場狙う

スマホだけでないファーウェイ

テレビや新聞のニュースで毎日のように取り上げられる米中貿易摩擦の話題には、Huawei Technologies(ファーウェイ)がよく登場する。今やスマートフォン市場でアップルを抜き、1位サムスン電子に迫る存在感を示す企業だ。

ファーウェイは、単にスマートフォンの販売台数が多いだけでない。中国における技術系注目企業「BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)」の一角を占める大手通信機器メーカーであり、中国の技術開発をけん引するエンジンの1つといえる。たとえば、世界知的所有権機関(WIPO)に対する特許出願件数で、ファーウェイは2年連続1位を獲得した。

日本ではスマートフォンばかり目立つファーウェイだが、通信機器やサーバー、ストレージ機器などの企業向け製品も手がけている。それぞれの世界市場でどのような位置にあるのかみていこう。

好調な消費者向け製品

まず、ファーウェイの消費者向け製品に関する調査結果を紹介する。

スマホ市場でアップルを抜いて2位

ガートナーの調査によると、2019年第2四半期に全世界で販売されたスマートフォンの台数は3億6,790万8,100台で、前年同期に比べ1.7%少なくなっている。縮小が続いているこのスマートフォン市場で、ファーウェイは前年同期の4,984万6,500台より多い5,805万5,700台を販売し、2位に相当する15.8%のシェアを獲得した。

1位サムスンは、7,511万1,800台(前年同期7,233万6,400台)でシェア20.4%。3位のアップルは、販売台数を前年同期の4,471万5,100台から3,852万2,900台へ減らした。比較的大きな減少だが、毎年秋に新モデルを発売することが多いアップルなので、買い控えの影響だったと考えられる。台数ベースのシェアは10.5%だった。

ファーウェイの好調は、IDCの調査結果にも現れている。合計販売台数は3億3,320万台で前年同期比2.3%減だったが、ファーウェイは5,870万台で同8.3%増、シェア17.6%となった。サムスンとアップルの結果は以下のとおり。

サムスン アップル
販売台数 7,550万台 3,380万台
前年同期比 +5.5% -18.2%
シェア 22.7% 10.1%

タブレット市場では世界3位

タブレット市場は、スマートフォン市場以上の減少傾向にある。IDCによると、2019年第2四半期の世界出荷台数は前年同期より5.0%少ない3,220万台だった。この市場でファーウェイは10.3%のシェアを持ち第3位だが、出荷台数は330万台で前年同期に比べ6.5%減らしてしまった。

トップは、シェア38.1%で圧倒的に強いアップル。1,230万台を出荷し、不振な同市場でも6.1%増やしている。2位はサムスンで、出荷台数が3.1%減の490万台。シェアは15.2%ある。

なお、この市場で目立ったのはアマゾンだ。出荷台数240万台、シェア7.4%と4番手だが、前年同期に比べ46.3%増という大きな伸びを記録した。比較的安価なモデルが好まれた影響だろう。ただし、アマゾンの製品はAndroid OSを採用しているのだが、標準では「Google Play」に対応しておらず、多種多様なAndroidアプリをインストールできない。そのため、これ以上の伸びは難しそうだ。

3倍近くになったウェアラブル

ファーウェイは、ウェアラブルデバイス市場でも健闘している。IDCの調査では、スマートウォッチやフィットネスバンドのようなリストバンド型ウェアラブルデバイス市場において、2019年第2四半期にシェア14.1%で3位を獲得。出荷台数は480万台で、前年同期に比べると175.7%増という急成長を遂げた。

世界全体の出荷台数は3,420万台、前年同期比28.8%増と市場全体が好調。1位はXiaomi(シャオミ)の590万台(同42.2%増)、「Apple Watch」で人気のアップルは510万台(同7.0%増)で2位。

スマートフォンとタブレットでファーウェイを上回っているサムスンは320万台で5位だが、195.1%増という驚異的な伸びを示しており、油断できない。

企業向け製品でも上位企業の仲間入り

続いて、ファーウェイの企業向け製品などに関する主な調査結果を紹介しよう。

クラウド領域で1.5倍以上に伸長

ネットワーク機器やストレージ機器などの市場で、ファーウェイのシェアは大きくないものの上位に食い込んでいる。IDCの調べでは、以下のような状況だ。

Ethernetスイッチ市場(2019年第2四半期)
・全体:70億7,000万ドル(約7,585億円)規模、前年同期比4.8%増
・ファーウェイ:2位、同18.9%増、市場シェア9.7%

無線LAN(WLAN)市場(2019年第2四半期)
・全体:16億ドル(約1,717億円)規模、前年同期比3.1%増
・ファーウェイ:5位、同8.2%増、市場シェア5.4%

ストレージシステム市場(2019年第1四半期)
・全体:134億ドル(約1兆4,377億円)規模、前年同期比0.6%減
・ファーウェイ:5位、2億8,350万ドル(約304億円)、同14.6%増、市場シェア2.1%

クラウドITインフラ市場(2018年第4四半期)
・全体:168億ドル(約1兆8,025億円)規模、前年同期比28.0%増
・ファーウェイ:4位、9億1,000万ドル(約976億円)、同63.9%増、市場シェア5.4%

5Gインフラ分野では無視できない

さらに、ファーウェイはモバイル通信インフラ分野でも無視できない存在だ。

スマートフォン市場は現在低迷しているが、世界各地でサービスが提供され始めた新たな移動通信方式「5G」により、スマートフォンやIoTの活性化が見込まれる。ガートナーの予測では、今後5Gネットワーク・インフラ市場が拡大し、2020年に42億ドル(約4,506億円)規模へ成長するという。

ファーウェイは、5G対応スマートフォンをすでに発売し、累計20万台の5G基地局を出荷した実績がある。確かに、米国での逆風はファーウェイのスマートフォンおよび5G事業に影を落としている。しかし、交渉の行方次第では、ファーウェイにとっての追い風へ変わる。そうなると、スマートフォン市場での強さと5G対応インフラの技術が力を発揮し、ファーウェイを躍進させるはずだ。

クラウドとAI、5G、IoTの統合を見据える

ファーウェイは上海で開催したイベント「Huawei Connect 2019」の場で、さまざまな新製品などを発表した。そこでは、サービスエリアを拡大中のクラウドサービス「Huawei Cloud」にAI、5G、IoTといった技術を統合し、「グローバル市場で地歩を築く」という事業戦略を披露した。

ちなみに、ファーウェイは世界で初めてアフリカに運用データセンターを設けて商用クラウドサービスを提供するなど、新興国でのサービス展開に積極的だ。今はまだ目立たないが、近い将来エンタープライズICT市場のトップと肩を並べる企業になるかもしれない。

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