「5G」期待高まるも理解は不十分? 20年春開始、生活変化もたらす起爆剤となるか

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国内のスマートフォン所有率は85%程度で、上昇ペースが鈍った。ただし年配ユーザーが増え利用者の幅も広がった。20年春には「5G」が本格スタートすることもあり、スマートフォンを活用する場は広がっていくだろう。ただし、消費者の5G理解はまだ不十分らしい。最近の調査レポートで、国内の状況をみてみよう。
「5G」期待高まるも理解は不十分? 20年春開始、生活変化もたらす起爆剤となるか

スマホは全世代で使うデバイスに

2020年になり、春の次世代モバイル通信方式「5G」のサービス開始が目前に迫ってきた。入学や入社のシーズンと5G開始のタイミングが重なることで、低迷続きだったスマートフォン市場も5G対応スマートフォン需要の影響で潤うかもしれない。

国内におけるスマートフォンの所有率は85%程度で、上昇ペースが鈍っている。ただし、70歳以上の所有率が5割を初めて超えるなど、年配層のスマートフォン利用も当たり前になった。

出典:NTTドコモ / 基本レポート(スマホ比率:性・年代)

スマートフォンの登場から10年以上経過して普及し、利用者の幅も広い。今や、生活のあらゆる場面で活用される必要不可欠なデバイスといえる。そこで、スマートフォンがもたらした生活の変化や、消費者の5Gに対する意識を調べてみよう。

スマートフォンの活用具合は?

生活に浸透したスマートフォンは、どのように使用されているのだろう。デロイト トーマツ グループが公表した調査レポート「世界モバイル利用動向調査2019」で確認してみる。

「スマホで生活変わった」年配層も実感

スマートフォンで「1日に少なくとも1回使用するアプリの種類」を質問したところ、上位5種類は「天気アプリ」(38%)、「ソーシャルネットワークアプリ」(34%)、「ニュースまとめ読みアプリ」(31%)、「ゲームアプリ」(21%)、「新聞/ニュース番組アプリ」(21%)という結果だった。年代別では、「天気アプリ」「ニュースまとめ読みアプリ」「新聞/ニュース番組アプリ」は年配層、「ソーシャルネットワークアプリ」「ゲームアプリ」は若年層がそれぞれ多いという傾向がみられた。

デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019 出典:デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019

使うアプリの種類は年代でやや異なるが、年配層のスマートフォン所有率が高くなり、活用する人も増えているらしい。

NTTドコモのモバイル社会研究所は、60代および70代に対し、スマートフォンを使うようになって生活が変化したかどうか質問した。その結果、スマートフォン所有期間が長くなるほど生活変化を実感する人が増えたそうだ。具体的には、所有期間が長くなるにつれ、生活変化を実感している割合が平均24ポイント高まった。特に、鉄道の遅延や道路の渋滞を確認、カメラを使ったメモ取り、地図アプリの使用、商品の検索といった行動で、割合が大きく上昇している。

NTTドコモ / スマホ所有期間の長いシニア、生活変化の実感 13~30pt 増加 出典:NTTドコモ / スマホ所有期間の長いシニア、生活変化の実感 13~30pt 増加

国内のサブスク普及はこれから

最近よく耳にするようになったサブスクリプションは、契約率の低さが目立つ。デロイトによると、国内のサブスクリプション契約率は、「動画サービス」が21%、「音楽サービス」が17%、「デジタル新聞・雑誌サービス」が11%と、他国に比べ低い。他の国で40%から50%程度ある「動画サービス」の契約率は、とりわけ差が大きかった。これは1年前の調査でも指摘されており、状況は変わっていない。

デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019 出典:デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019

一方、サブスクリプションに対する認知度は低くない。ジャストシステムによると、サブスクリプション型サービスを「知っていて、他の人にも説明できる」人は11.6%、「知っているが、説明できるほどではない」人は12.3%で、4分の1弱に知られていた。また、「聞いたことはあるがよく知らない」人も18.0%いて、急速に認知度が高まっていきそうだ。

ジャストシステム / 最も利用されている定額制サービスは、「動画配信サービス」 出典:ジャストシステム / 最も利用されている定額制サービスは、「動画配信サービス」

ズオラ(Zuora)の調査では、国内消費者の73%が「サブスクリプションがモノを所有するより安い金額で、効果(結果)が変わらないのであれば、サブスクリプションを前向きに検討する」と回答したという。利用意向は高く、認知度も上昇中なので、国内サブスクリプション市場はこれから急速に拡大していく可能性がある。

20年春、いよいよ5Gが本格スタート

続いて、国内消費者の5Gに対する意識をみていこう。

認知進むも5Gへの理解は不十分

いよいよスタートする5Gについては、「利用可能になり次第、乗り換える」人が8%、「評判がよさそうなら、乗り換える」人が15%だった。ほかの国より割合は低いものの、早く使いたいという人は少なくない。ところが、5Gに対して「わからない」という回答は30%ある。

デロイト トーマツ グループ / 「世界モバイル利用動向調査2019」を発表 出典:デロイト トーマツ グループ / 「世界モバイル利用動向調査2019」を発表

ちなみに、ジャストシステムの調査では、5Gを「知っており、他の人に説明できる」人は10.5%にとどまり、「知っているが、他の人に説明できるほどではない」が31.7%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が38.9%だった。5Gという言葉の認知は進んだが、技術に対する理解は不十分なのだろうか。

ジャストシステム / 約8割が「5G」を認知。この1年で、認知度が大幅向上 出典:ジャストシステム / 約8割が「5G」を認知。この1年で、認知度が大幅向上

その影響か、「5Gのサービスで、1か月あたり数百円の使用料を追加で支払ってもよいと思われるものは?」というデロイトの質問に対しては、「いずれもあてはまらない」と答えた人が多く、年代を問わず7割程度に達した。超高速・超低遅延が特徴とされる5Gなので、「見守り・介護・遠隔診断」「4K/8Kの動画視聴」「中継(スポーツ、ライブ)」などへの支払い意向はやや高いが、全体として具体的なサービスに対する関心は低い。

デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019 出典:デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019

現在のところ、5Gという言葉は聞いたことがある程度でよく知らない、という状況のようだ。

便利だが「スマホ中毒」避ける意識を

スマートフォンは便利なため、使う人や場面は増えている。さらに5Gに移行すれば、4Kなどの高精細ビデオがストレスなく視聴できるようになる。もっとも、そうなると使い過ぎが心配だ。これが「スマホ中毒」レベルまで悪化すると問題だろう。

その結果、スマートフォンなどを健全に利用しようとする「デジタル・ウェルビーイング」という考えが広まってきた。

デロイトによると、日本のスマートフォン利用者は他国のユーザーより「使いすぎ」という意識が薄いという。スマートフォンを「間違いなく使いすぎ」と考える人は9%、「おそらく使いすぎ」と考える人は21%で、他の国より少ない。そして、「サウンドをオフにする」「通知機能をオフにする」「電源を切る」など、スマートフォンの使用を減らす行為を「試みていない」人の割合が、37%と高かった。

出典:デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019

出典:デロイト トーマツ グループ / 世界モバイル利用動向調査2019

シリコンバレーでは、「時間をより有意義に使おう」というムーブメント「Time Well Spent(TWS)」が起き、スマートフォンなどへの過剰依存から抜けだすデジタル・ウェルビーイングが求められている。これに対応し、スマートフォン用OSに各種デジタル・デトックス機能が追加されたほどだ。

確かにスマートフォンは有用だが、こうした機能を使い、上手に活用していきたい。