介護離職の現状とは | 仕事と介護を両立するために

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近年問題となっている介護離職の現状について説明します。高齢化や少子化といったマクロ的要素を解説しつつ、仕事と介護を両立可能かどうか考えましょう。
介護離職の現状とは | 仕事と介護を両立するために

現在、日本における介護離職者は増加の一途を辿っており、平成21年あたりから毎年平均10万人程度の人が、両親などの介護や看護のために職を辞めざるをえない状況になっていることを知っていますか。

介護のために退職すると、当然のことながら収入面で不安な出てきます。さらに、人によっては社会との繋がりを絶たれてしまいます。これは私たちにとって無関係ではありません。

そこで今回は、介護離職の現状を社会的な背景を交えながら解説していきます。

介護離職とは

介護離職とは、両親など家族の世話をするために離職することです。

特に介護が必要な年齢の親を持つ40代~50代、あるいは60代の人々が離職するケースがほとんどです。そして、この世代は企業の中核を担う層であることが多いために、企業にとって無視できない問題となっています。

少子高齢化が進んでいる日本では、団塊世代の引退によって要介護高齢者が増えています。さらに、少子化によって介護者となる若者もどんどん少なくなっている状況です。いまや介護離職問題は、日本社会全体の深刻な問題となりつつあるのです。

介護離職の現状

介護離職の現状を具体的な数字で見てみると、2011年~2012年の介護離職者数は10.11万人(男性が1.99万人で女性が8.12万人)です。約8割が女性であり、現在その傾向はますます顕著になってきているのが現状です。夫婦間で比較的収入の低い女性の方が、どちらの両親かにかかわらず介護を担当するケースが多いことも指摘されています。

さらに平成28年版高齢者白書によると、65歳以上74歳以下の要介護者は、同じ世代の全人口の3%程度なのに比べ、75歳以上になると約23%にまで上がります。つまり現状では75歳以上の人の4人に1人が要介護者というのが現状です。これから人口の多い団塊世代がこの年齢になっていくにつれて、この割合も増えていく可能性があります。

実際の数字から、私たちが介護離職問題について切実に考えなければいけません。

介護離職の問題点

それでは、現在指摘されている介護離職の具体的な問題点について簡単にポイントをまとめておきましょう。介護離職による介護者への影響について、現状大きく分けて以下の3つの問題が指摘されています。

収入の減少

離職によって介護者の収入がなくなってしまい、生活レベルを落としたり借金をしなければいけない状態になってしまったりするケースは少なくありません。何らかの収入源があったとしても、企業に勤めていたときに比べると、明らかに収入が減ってしまう人がほとんどです。苦しい経済状態で何とか介護生活を送っている人が増え続けているのが現状です。

精神的ダメージ(社会から切り離される恐怖、孤独感)

長年務めた仕事を辞めざるを得なくなり、突然社会から切り離されてしまったような疎外感や孤独感に抱く介護離職者が多いです。さらに、いわゆる 「介護疲れ」によって精神を病んでしまう人も増え続けています。そのため、介護者専門に心のケアを行う心理職も増えています。

再就職の難しさ

収入の減少に加えて、離職によって再就職が非常に難しくなってしまう問題もあります。たとえ被介護者との死別などによって介護の必要がなくなったとしても、年齢的な問題もあって、再び同じ収入を得るだけの仕事に就けないケースがほとんどです。

仕事と介護は両立できる?

上述のような問題があるために、何とか働きながら介護をするための方法を模索する人が増えています。果たして、仕事と介護は両立できるものでしょうか。

働きながら介護をする人が増加

一見、仕事と介護は非常に両立が難しそうに感じられますが、2017年7月に発表された厚生労働省の「就業構造基本調査」によると、仕事をしながら介護をしている人の数は、2013年の時点で約290万人と報告されており、介護離職をする人の約3倍弱の数になっています。

このことから、数字だけを見る限り、仕事と介護の両立自体は不可能でないことがわかります。ただし、元の職場を退職した上でパートタイムの労働者として働き始めた人や、もともと自営業者だった人なども含まれるため、誰もが必ず両立できるというわけではないでしょう。

収入を維持するため、仕事と介護の両立の必要性は高まっているものの、多くの人が収入の減少を受け入れざるを得ない状況にあることは確かです。

仕事と介護を両立するために

しかし、近年は介護離職問題が社会問題として認識され始めたことで、厚生労働省など国が中心となって「介護離職ゼロ」を目標とした各種支援制度が進められています。

たとえば平成29年3月に改正育児・介護休業法が公布され、介護の対象となる家族1人につき、要介護状態になるごとに1回93日までの介護休業が認められることになりました。これは正社員だけでなく、アルバイトやパートのスタッフでも要件を満たせば申請することができます。

さらに介護給付金の充実や、各自治体に地域包括支援センターを設置することによって、介護世帯の日々の暮らしをサポートしたり、様々なアドバイスをしたりする機関が設けられるようになっています。いわゆるデイサービスも施設数を増やしており、どうしても仕事で介護が出来ない時間帯に利用することができます。

このように、行政や民間企業が主体となって介護離職問題に取り組む動きが出ていますし、今後ますますこの動きは活発になっていくでしょう。今現在、仕事と介護の両立を頑張っている人もこれから介護をする予定の人も、こういった動きを見逃さずに、利用できるものは積極的に利用していく姿勢が大切です。

両立するために情報収集をしよう!

いまや日本全体の問題となっている介護離職問題の現状について、社会的背景から一通り解説してきました。当然、国全体の長寿化は素晴らしいことです。しかしそれに伴って、私たちは今後ますます介護問題について真剣に考えなくてはならなくなります。

特に働き盛りにある人にとっては、今のうちから仕事と介護の両立について自分なりの計画を立てておく必要があるでしょう。本記事をきっかけに介護離職の基本を知って、いざという時に対応できるようにしておきましょう。仕事と介護を両立するにせよ、あるいは仕事を辞めて介護に専念するにせよ、事前の情報収集と準備こそが最も重要なのです。