日本でのスマートフォン普及率は非常に高くなっていますが、そんな中iPhoneはおよそ半数のシェアを占めており、世界的に見ても日本では圧倒的にiPhone人気が高くなっています。
iPhoneの人気を特徴付けているものにアプリの存在があり、iPhoneアプリを開発してビジネスにつなげたいと考えながら、具体的にどうしたらいいかわからないという方も多いでしょう。
アプリ開発初心者の方に向け、iPhoneアプリ開発に何が必要で、具体的にどのような手順を踏んで作成、公開、収益までつなげたらいいのかを紹介していきます。
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iPhoneアプリ開発に必要なもの
iPhoneアプリを開発するには、iPhone本体やネット環境の他に、ハードウェアとソフトウェアが必要になります。といっても、特別なものが必要だというわけでもありません。順番に見ていきましょう。
Apple Mac
後述するソフトウェア「Xcode」をインストールするためにApple Macが必要となります。これはXcodeがMacにのみインストール可能となるためですが、ハイエンドのMac Proが必要というわけではなく、現行で販売されている機種であればMacBook Airでも問題ありません。しかし、メモリやストレージ容量はできる限り大きなものにした方が無難です。
また、ディスプレイのサイズが小さいと、作業面積も小さくなってしまうので、この点は留意するようにしてください。
Xcode
Xcodeは、iPhoneアプリ開発に必須のソフトウェアとなり、これだけでアプリの開発からテスト、アップロードまでを行えます。
その機能は、プログラムを書くためのテキストエディタ、グラフィカルにアプリを作成できるインターフェースビルダー、アプリにバグがないかテストを行うデバッガ、iPhone端末画面をシミュレートするiOSシミュレータなど、多岐にわたっています。
このXcodeは、App Storeより無償ダウンロードが可能ですが、Apple IDが必要になるので、登録は忘れずに行いましょう。
iPhoneアプリ開発の手順
Apple MacとXcodeの準備ができたら、早速、XcodeをインストールしてiPhoneアプリ開発を始めましょう。Xcodeインストール手順は、通常のmacOSアプリケーションと同様です。
プロジェクト作成
まずはアプリを構成するソースコードや画像を含む、必要なものすべてを格納しておくプロジェクトを作成します。
初期設定でテンプレート画面が表示されている場合もありますが、表示されていない場合はメニューバーからFile > New > Projectをクリックし、テンプレート画面を表示させます。
iPhoneアプリを作成するためiOS > Applicationを選択し、一番シンプルなSingle View Applicationを選択し、Nextをクリックします。
オプション設定
次にプロジェクトのオプションを設定する画面になるので、それぞれ設定を行っていきます。
- Product Nameには、アプリの名称を入力します。変更も可能です。
- Organization Nameには、会社名を入力しますが、空欄でもかまいません。
- Organization Identifireには、通常com.会社名を入力します。
- Bundle Identifireは、アプリを識別するIDが自動作成されます。
- Laguageには、開発言語を選択します。Apple推奨はSwiftです。
- Deviceには、アプリが対応する端末を選択します。
デバッグを行う際には、Unit Test / UI Testにチェックを入れ、Nextをクリックします。
プロジェクトの保存画面になるので、保存場所を指定してCreateをクリックします。
ソースコード編集
プロジェクトの作成が完了すると、プロジェクト画面が表示されます。
プロジェクト画面は大きく分けて、左側に編集するファイルを選択するナビゲーターエリア、中央にファイルをファイルを編集するエディターエリア、右側にパーツの設定などを行うユーティリティエリアの3つになっており、ナビゲーターで選択したファイルによってエディターの表示内容が変わります。
Swiftを表示させて、ソースコード編集を行いたい場合は、ナビゲーターにあるViewController.swftをクリックします。
ビジュアル作成
同様に、ナビゲーターからMain.storyboardを探してクリックすると、エディターがiPhoneの画面になったのがわかります。この画面でアプリのビジュアルを作成します。
具体的には、ユーティリティの右下にライブラリパレットがあり、ここからさまざまなツールを選択してエディターへドラッグ&ドロップしていく、という流れになります。
たとえば、「Label」をドラッグ&ドロップすればテキストが入力できますし、「Image View」を見つけてドラッグ&ドロップすれば、画像を配置します。
この例では、Image Viewをドラッグ&ドロップして、画面いっぱいに広げています。
テスト
アプリの開発が一段落したら、XcodeのツールからiOSシミュレータを起動して、アプリの動作をテストできます。メニューバーからXcode > Open Developer Tool > iOS Simulatorをクリックすると、iOSシミュレータが起動しiPhoneの画面が表示されます。
ここに開発中のアプリのアイコンが表示されるので、クリックしてアプリの動作を確認します。
iPhoneアプリのリリース
開発の完了したアプリをリリースするには、有償のiOS Developer Programへの登録が必須となり、証明書作成といった段階を経てアップロード、アプリの登録と申請を行う必要があります。
iOS Developer Programへの登録
まず、AppleのDeveloperサイトにアクセスし、Apple IDを使用して登録後、iOS Developer Programを購入してアカウントを作成します。このアカウントは、開発者情報の登録だけでなく、アプリの製品証明書としてのProduction Cerfiticateの作成、アプリ毎のIDとなるApp IDの作成、それらと登録端末IDのUDIDを結びつける役割をする、Provisioning Profileを作成するために使用されます。
iPhoneアプリのアップロード
必要なファイルが作成されたら、iTunes ConnectにアクセスしてマイAppからアプリを登録し、Xcodeでアプリの「Archive」を行います。Archiveが完了するとアプリがリストアップされるので「Validate」=検証を行い、最終的に問題がなければ「Submit to App Store...」ボタンをクリックしてアップロード完了です。
iPhoneアプリの登録と申請
アプリのアップロードが完了したら、先ほどiTunes Connectで新規登録したアプリに、アプリ情報を追加登録して申請を行います。この際に必要になるのが、1024 x 1024ピクセルのアプリアイコン、アプリのスクリーンショット2枚以上の登録で、アプリのバージョン情報や概要、サポートURL、年齢制限指定などの情報入力も必要になります。
ここまでですべての準備が整いました。iPhoneアプリは、Appleによる審査に通常、一週間ほどの時間が掛かるので、リリースが完了するまで待ちましょう。
iPhoneアプリから収益を得る
アプリ開発から収益を得るためには、リリースするアプリを有料にする、アプリ内に広告を表示する、アプリ内課金を設定するという、3つの方法があります。
有料ダウンロード
リリースしたアプリを有料で販売するのが有料ダウンロードです。ゲームアプリや一部のユーティリティアプリなどが有料ダウンロードとなっていることが多いようですが、知名度のあるアプリや、人気ゲームのアプリ版などでない限り、概要やレビューを読んだだけでは、ユーザーが購入にいたるまでにはならない可能性もあります。
広告収入
アプリ内に広告を表示させることによって、広告による収益を得られます。アプリ自体は、ユーザーに無料で使ってもらうことを前提とした収益モデルですが、Webサイトに広告を表示させるといった、Youtubeで広告表示させて収益を得るのと同じ考え方といえます。個人でアプリによる収益を見込むのであれば、可能性の高い方法といえるでしょう。
アプリ内課金
ゲームアプリでよく使われる収益モデルがアプリ内課金です。これは、ゲーム内で追加のアイテムを登場させて販売する、追加ステージに進む場合に課金するなどの方法がありますが、アプリ自体は無料か、もしくは低料金で利用してもらうという前提になるでしょう。間口は広がりますが、課金してもらうためにはアプリの作り込みが必要です。
iPhoneアプリ開発は大胆に、公開は慎重に
ここまでiPhoneアプリ開発に必要なもの、アプリ開発の手順、アプリのアップロードとリリースの手順、マネタイズの方法を順番に紹介してきました。試行錯誤しなければならない点、慎重に手続きを行う必要がある点はあるにしても、アプリ開発はけっして難しいものではないことがおわかりだと思います。
しかし、慎重に行わなければならないアプリ公開手続きはともかく、アプリ開発自体は、ローカル環境で時間をかけた試行錯誤が可能です。公開したアプリが多くの人に活用されるよう、さまざまなアイディアを試して開発を行うことをおすすめします。