アップオアアウトとは | 戦略コンサルティングファームの現状と実態

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記事の情報は2020-04-08時点のものです。

解雇か、転職か。アップオアアウトとは、現状ではこれ以上の昇進は見込めない従業員に対する考え方です。戦略系コンサルティングファームに所属するコンサルタントの雇用の現状を解説するとともに、今後のキャリア形成をどう考えるべきかについて紹介していきます。
アップオアアウトとは | 戦略コンサルティングファームの現状と実態

アップオアアウトとは

アップオアアウト(Up or Out)とは、直訳すると「昇進するか?もしくは退職するか?」いう意味です。これは「昇進はできないが、そのままの役職で働けないため辞めざるを得ない」という考え方です。

本記事では、アップオアアウトが主流である大手コンサルティングファームの実態について紹介し、コンサルタントが自主的に退社した後のキャリアについて解説します。

戦略系コンサルティング会社の方針

アップオアアウト(Up or Out)という考え方は、主に戦略系のコンサルタント会社でよく用いられる言葉であり、日本の古くからの習慣でもある終身雇用制度とは相反するものです。

これは、昇進できない人材は辞めてもらうというもので、出世をしなくても社内で仕事を与えられ続けてもらう終身雇用制度とは異なる考え方です。

昇進できない場合どうなるか?

戦略コンサルティング会社で何年経っても昇進できない場合には、仕事の幅が広がらず、昇給も見込めないため、自ら辞めるケースが多くあります。

一年経って昇進できないことをコンサルティング業界では、「ステイ」と呼び、3年連続ステイをしてしまった場合には、会社を去るタイミングであるとも言われています。
現在の会社ではもう期待されておらず、別の会社で活躍できる所を探したほうが良いと判断するためです。

アップオアアウトの現状と実態

では、アップオアアウト(Up or Out)が実際にどのように運用されているのか、現状と実態について解説します。

アウト(Out)になる人は意外と少ない?

アップオアアウト(Up or Out)が主流のコンサルティング業界ですが、会社からクビ宣告を受けてやめる、すなわちアウトになる人はほとんどいません。

実際にはほとんどの人が「クビ」によって退職するのではなく、自主的に退社していくのです。
今の会社で出世が見込めないのであれば、自らで転職を選び、その先の新しい会社での出世を狙う人がほとんどという理由があります。

降格されるケースが増えている?

これまでアップオアアウト(Up or Out)を実践してきた企業でも、現在では降格されるケースが増えています
降格は一般的企業にもある話ですが、懲戒などにあたることが起こらない限り、運用されることはまずありません。

しかしコンサルティング業界に限っては、一般的に運用されています。
この降格の意味するものは企業からの期待値であるため、降格をきっかけに転職をする人が多いようです。

Up or Downの方が適しているケースも

降格するケースが増えている現状を見るに、現在ではアップオアアウト(Up or Out)ではなく、アップオアダウン(Up or Down)の方が適しているという意見も増えています。

結果は短期で出るものから中長期で出るものとさまざまです。成果が上がれば一度降格した人材も再度昇格できるという評価方法であれば、仕切り直してリスタートできるUp or Downの方が適しているケースもあります。

アップオアアウトとコンサルタントのキャリア

アップオアアウト(Up or Out)の実態を踏まえつつ、自ら退社したコンサルタントのその後のキャリアについて紹介します。

同業他社に転職する

一つの会社で活躍ができなかったからと言って、他の会社でも活躍できないかといえばそうではありません。

会社の規模によって上のポジションに空きがない状態であれば、いくら能力があってもポジションを得られないことはよくあります。
そのため、より自分に合った職場や給与を求めて、同業他社に転職するケースがよくあります。

引き抜きによって別会社に転職する

コンサルティング業界では転職はよく起こることです。
転職のきっかけは人それぞれですが、クライアントに気に入られ、引き抜きによって別の会社に転職するケースもあります。

コンサルティング業界の場合には、社内外問わずどこで能力が評価されるかはわからないので、ヘッドハンティングが多い業種でもあります。

ベンチャー企業に転職する

コンサルティングで身につけたスキルや経験は、ベンチャー企業の立ち上げに活かせます。

そのため、これまでコンサルティングの実務で培ってきたノウハウを、新しい市場で活かすためにベンチャー企業に転職する人も数多くいます。

起業する

もともと自ら起業したいという思いを持ってコンサルティング業界へ飛び込む人は多くいます。
そのため、コンサルファームを辞して、自ら起業するケースもよくあります。

社内での昇進を目指していた方でも、魅力ある仲間と出会い、ともに退職し起業をするという選択をする方もいます。

全く別のキャリアを歩む

コンサルティング業界というのは流れが早く、常に激しい競争の中で仕事をしなくてはいけません。
中には競争が激しくない業界への転職を希望する人もおり、それまでのキャリアとはほとんど無関係の職業に転職する人もいます。

そのため、実際は「アウト」は少数で、ほとんどが自ら選択した道を歩むために辞めていくケースが多いのが現状です。

アップオアアウトの実態を参考に、今後の自分のキャリアについて考えてみる

以上がアップオアアウトが主流である大手コンサルティングファームの実態についてと、コンサルタントが自主的に退社した後のキャリアについてでした。

自分のキャリアプランはだれかが決めてくれるものではありません。自分が活躍できる環境を見つけるために転職をすることは、けっして悪いことではないため、アップオアアウトの実態を参考に、今後の自分のキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。