マネーフォワードにジョインしたスマートキャンプの最古参社員は何を思うか

スマートキャンプの創業メンバーとして入ったモリシゲから、創業期から今回のマネーフォワードへのジョインまでにあったこと、思っていたこと、振り返って思うことなどをお伝えします。
マネーフォワードにジョインしたスマートキャンプの最古参社員は何を思うか

モリシゲと申します。現在はスマートキャンプのデザイナーと名乗っています。

昨日の報道のとおり、マネーフォワードが約20億でスマートキャンプを子会社化したというニュースがありました。
報道だと若干私たちとニュアンスが違っていて、どちらかというと「ジョイン」という表現があっています。

会見であったように今回のジョインによってSaaS普及にシナジーを生みつつも、スマートキャンプの文化や事業は独立して進めていくという話でした。

スマートキャンプ最古社員の私としては結論からいうとポジティブに考えています。
この買収という一面にフォーカスした話をしてもいいのですが、創業期から買収までの道のりを「社員目線」でまるっと知っているのは私だけしかいないことに気づきました。

このスマートキャンプという会社をずっと見てきた社員がどういう思いで働いてきたのかという主観をエモめに書いていきたいと思います。

第1章 古橋さんとの出会いと入社まで

2014年4月、私が「見やすいプレゼン資料の作り方」というのをSlideShareにアップロードして、初月で30万PVぐらいのバズを起こしたのがきっかけで、古橋さんからFacebook Messenger で連絡をもらったのが始まりでした。

突然飛んできたメッセージ

当時、私は大学院生で将来エンジニアロードまっしぐらという感じでした。古橋さんの方は船舶関係の事業を断念した直後ぐらいのタイミングでした。

そんなときにこのようなメッセージが飛んできて、「なんだなんだ?新しい詐欺か?東京はやっぱり怖い街なのか?」という田舎者らしい不安もありつつも、「もしかしたら面白い縁につながりそう」という期待感もあったので、半信半疑で会いに行くことにしました。

会ったときの第一印象はうっすらとですが「意識高い系の圧のある兄ちゃんだけど、考えている事業は意外と面白いかも」という感じだった気がします。

そんな古橋さんから「資料作成代行事業をやろう」と言われました。
バイトも何もしてなかった私は「マイナスになることもないし、資料は作るの好きだから手伝ってみようかな」という軽い気持ちでインターンシップのような形でジョインしました。

まだその時は「スマートキャンプ」はありませんでした。

学生ながら10万〜100万円単位の制作案件をさばいていました。今思えば自分も大概変な学生だったなと思いますが、そんな形で売上には少しは貢献していたと思います。

2014年夏ごろ、「ウチにきてほしい」と声をかけてもらいました。
その時すでに内定先が決まっていて、それは古橋さんには伝えていたので冗談だと思って「いやいや、承諾書書いちゃったので!」と流してしまいました。

それから案件ベースでやりとりをしつつ、2015年の3月になりました。
私が院を修了する日が近づいていて、スマートキャンプも卒業で、地元で粛々と働く社会人人生が始まるのかと思っていたときに、あるメッセージが飛んできました。


(当時は「もりすん」と呼ばれていました。)

高級な寿司屋に連れられ、めちゃくちゃ口説かれました。

私の内定先は地元の有名企業で、エンジニアという職業での入社でした。いつかは出世してそこそこいい給料をもらえるし、地元ではネームバリューもあって、安定感のある社会人生活みたいなものが送れると漠然と考えていました。

ただそれと犠牲に仕事に対してはマイナスなイメージしかなく、「生きるための金を稼ぐためのツール」ぐらいにしか考えていませんでした。

「でも、そんな人生でいいのか?」と思わされる言葉を何度もかけてもらって、「自分が楽しく働ける会社を作りたい」「一般企業に就職した人間には絶対に経験できないことを経験できるチャンスだ」と思うようになりました。

古橋さんからはその口説きのあと、また「入社してくれる?」と私に問いかけました。
「こんなに自分のことを欲してくれる人っているのか?」と思うと、なんだか胸が熱くなって、でも不安しかないから即答はできませんでした。

でも真摯に向き合おうと考えて「新卒で入る会社では研修が2か月あります。その研修最終日にそこで継続するか、そこを辞めてスマートキャンプに入社するか決断します。それまで待ってください。」と約束しました。

当時は「スタートアップ企業」とか「ベンチャー企業」とかいう存在自体がよくわからなくて、不安要素まみれで、今、スマートキャンプに入社してくる社員の不安な気持ちより絶対5,000倍は不安でした。

親は否定こそしないものの当然反対はしているし、そもそもこんな人生を大きく変えるような決断なんてしたくないし、不安すぎて夜も眠れないし、そのせいで新しい会社での研修はなんにも頭に入ってこないけどテストやら発表やらあるし、さらにその頃は本の執筆をしていたので、いろんなことがいろいろ重なって精神的にも肉体的にも追い詰められていました。

前職の研修中には熱いメッセージもやりとりしました。

そうして2か月の研修の最終日の前日金曜日。

前職上司「みんな研修おつかれさま!辞令交付式と打ち上げあるよ!」
前職同期「やったー!!」

こんな雰囲気の中、私だけが辞めることを考えていました。
総務担当の方に相談しました。
ポジティブな転職だとはいえ、「研修コストも給料も払ってんだぞ!それはないだろ!社会人としてうんぬん…!」みたいなことを言われて、何の反論もできませんでした。おっしゃるとおりだから。

ただ、初対面だった部長がいい人で、「自分のやりたいことをやったほうがいい。君に手伝ってほしいし残ってほしいけど、覚悟を持ってそのスマートキャンプさんで頑張りたいのなら応援する。土日でちゃんと考えて、月曜日に答えを聞かせてくれ。」と言ってくださいました。

月曜日の朝9時、「決心が揺るぎませんでした」と部長に伝え、その場でA4の印刷用紙に退職願いを書かされ、作ったばかりの社員証をはさみで切り、いろいろなものを失った感覚になりながら、午前10時半に、ひとりで会社から出ました。

胸は高鳴っていました。

そして引っ越しを終え、スマートキャンプに2015年6月から入社になりました。

前職の大きなビルから、窓から墓地が見える田町のマンションの一室に来たのに、不思議と今まで抱えてきた不安はほとんど消えていました。

第2章 スマートキャンプの創業期と私

2015年夏頃、資料作成代行事業がメインで、BOXILはただの資料ダウンロードが無料でできるだけのサービスでした。ただ、今や集客とマーケティングの要になっている「ボクシルマガジン」はWordPressで存在していて、まずはその運営者として私がジョインすることになりました。

この頃は「媒体資料あつめてみた!」みたいなバズ記事をとにかく書いていました。BOXILの構想がクラウドサービスにフォーカスしようという話しがでてきたあたりから、「勤怠管理システムまとめ」とか、「社内SNSまとめ」とかのSEOによる集客を狙った記事を作り始めていました。

記事を書けるのが私しかいないので、死ぬ気で記事を書かなければなりませんでした。土日出勤するのは当たり前、というかそのスピード感でやらないと死ぬので、インターンシップもフル稼働してもらって、でも誰も教えてくれない中で、何もわからないけどひたすら作り続けました。

ただ、これがなかったらBOXILのビジネスモデルは成り立たなかったし、BOXILの強みでもあるSEOの初期段階を作ったとも言える仕事だったので、やってよかったなと思っています。

他にもBOXILのデータベースに初期データとして使用するクラウドサービスを500件ぐらい直で書き込むとかいう大イベントがあって、早朝から深夜まで情報を調べては書き込む作業があり、病院には行ってませんが腱鞘炎にたぶんなりかけてたと思います。

この作業あたりのタイミングで現在取締役の林さんがジョインしてくれました。

(グリリバくんというお調子者の大学1年生が入ってくることもありましたが、今ではすっかりおとなしくなって、個人で仕事をやろうとしつつも、アルバイトとして今もメディアを助けてもらっています。アルバイトなのに林さんより先輩という不思議な人間です。)

メンバーが10人を超えるまでが一つの壁という話があるように、とにかくこの10人を超えるまではカオスな状況が続いていました。
私はこの頃、開発部署に入ってBOXILをSaaSに特化させるリニューアルをしていたり、ボクシルマガジンの編集長が入社するまでのつなぎの編集長をしていたり、総務的な仕事をひたすらやっていたりしました。

古橋さんが既存社員と会わせずに急に新メンバーを入社させるときがあって、社員同士がうまく噛み合わずギスギスしているという状況になったこともありました。(面接を色んな方と何回もするって大事なんだなって本当に思います。)

課題を抱えながらも人数は徐々に増え、やっとマンションからビルに移転することになりました。サークルから、会社になったような感覚がありました。

オフィスもエントランスだけですがオシャレにして、「これでようやく人が増える!多分これなら女性も来れる!」という確信があり、その年度は3〜4名ぐらい採用できました。

そんなこんなで10人の壁を乗り越え、人事として内堀さんが入ったことでどんどん社員が増えていくことになっていきました。
このビルオフィスで現取締役(トリニティ)である、峰島さん、阿部さん、そして林さんが揃ったのでした。

会社のビジョンは「ホワイトカラーの労働生産性を飛躍させる」というものでしたが、このビルを出るころにはビジョンを変更され、今の「Small Company, Big Business.」になったのです。

これくらいの時期に古橋さんからは「経営に興味ない?」と言われたことがあって、そこで「はい」と言ってたら多分ボードメンバーコースだったんだろうなと思っていました。私は正直興味がそこまでなかったのも確かにありますが、「被雇用者」として何を思うかというのをスマートキャンプに還元したいと思っていたので、このまま社員として続けていきたいと思っています。

第3章 混沌から秩序へ

社員が増えるに従って、今まで手をつけられていなかった細かいことが徐々にできるようになってきました。
勤怠管理などのSaaS導入コストも節約したかったので、服部平次とかいう私が作ったbotが管理していました。(SaaS導入支援する会社なのに)

その他にも採用フローだとか、福利厚生だとか、より社員が働きやすい&採用しやすい環境へ徐々になっていきました。
これも資金調達を頑張ってくれた古橋さん、峰島さんのおかげだし、スマートキャンプを良くしようと思ってくれた仲間が後押ししてくれた結果だと思います。

2017年には徳栄ビルという駅チカで坪単価が破格の良物件に入居になります。

「SOCS(ソックス)」というバリューが設定され、より社員がどういう行動を取ればいいか明確になり、意思疎通もしやすくなりました。
Uniposというツールも同時に導入され、タグに絶対バリューのいずれか1つを含ませなければならないというルールで、社内ブランディングも完璧でした。2019年現在も続いているのですごいです。

ようやく「会社らしさ」というのがでてきて、面接に来てくださる方々や、お客さまにも説明しやすい会社になってきました。
ただ、社員数の増加に伴い、お互いに話さない社員が出てき始めていたので、コミュニケーションは課題として感じていました。

私個人としては心理的安全性をもっと高めて、話しやすい社風にしていきたいと考えていたので、1番最初に部活を作ったり、Slackでオープンに話そうと推進したり、思いつくことはなんでもやっていました。

この徳栄ビル時代からなんとなくIPOを目指すんだろうなと思っていました。IPOに求められる基準というものもあるので、そこに向かってスマートキャンプが成長線を描いていた感じがしました。

この頃から人数が急激に増えることになり、その反動で抜けていく方も多かった気がします。
ネガティブな気持ちをもって退職される方もいたかもしれませんが、私の知り得る範囲ではポジティブな転職(あるいは起業)がほとんどだったので、組織が徐々に改善されていることを実感していました。

また、人数が急激に増えたことによって、いろいろな問題が浮き彫りになってきました。
今まで曖昧だったルールが求められるようになり、会議、出退勤、会社での過ごし方など、改めて見直す必要が出てきた頃でもありました。
コンセンサスをとるのも未熟だったので、なかなかルールが決まらないことも多々ありました。

第4章 そしてグループ会社へ

2019年になりました。社員数は50名になりました。

組織力もアップし、いくつかのルールも明確になり、秩序のある状態へと着実に近づいているのを感じました。
1on1や会議のノウハウ共有などが盛んに行われ、意思疎通も以前に比べて摩擦が減った気がしていました。

一時期、数字が改善できなくて伸び悩んだときも、改善に改善を重ねて回復できたので、そこにスマートキャンプのパワーを感じていました。そしてどんどん社員は増え、今月70名になり、リソース面、精神面の勢いもさらに強まっていきました。

そんな勢いののっていたスマートキャンプですが、11月11日、マネーフォワードにジョインする話が古橋さんの口から全体告知されました。

私はこの結果をポジティブに考えているということは冒頭でも書きましたが、古橋さんにも伝えていて、そこは安心してもらっているかなと思います。
単純な感想としては、古橋さんと私しかいなかったあの頃に比べて、スマートキャンプが大きくなったんだなという感慨深さを感じました。
マネーフォワードにジョインすることによるデメリットは感じておらず、むしろメリットしかないのかなと思っています。
リソース、ナレッジシェアの面で大きく前進できますし、スマートキャンプ独自の文化は守られるので大手のいいところをガンガン学べる、得られる環境になり、スピード感が増せると思います。

スマートキャンプがIPOをしたという事実を得るよりも、スマートキャンプの社員や事業がよりグロースしていく判断をしてくれたことは、「Small Company, Big Business.」だとも思っています。

ただ、今回のジョインにより「Big Company」になってしまっているので、「Small Company」をそのままの意味で捉えないでほしいというのが古参社員からお伝えしておきたいところです。(笑)

とりあえず、これからもいい意味で何も変わらず、頑張っていきます。