オンラインセールスへの意識改革 ~インサイドセールス×オンラインセールス 成果を出す分業体制~【SmartHR 連載第3回】

まだまだ新しい働き方とされる「インサイドセールス」と「オンラインセールス」はどのように協業し、成果を出しているのか。連載第三回はインサイドセールスとオンラインセールスの「成果に繋がる分業のコツ」をSmartHRの池田氏、古川氏、新田氏に伺いました。
オンラインセールスへの意識改革 ~インサイドセールス×オンラインセールス 成果を出す分業体制~【SmartHR 連載第3回】

株式会社SmartHR
セールスグループ オンラインセールスチーフ
池田偉進 氏
新卒で株式会社キーエンスに入社し、製品の出荷・工程管理を行う。その後、freee株式会社にてオンラインセールスに従事。2018年6月にSmartHRへ入社後、オンラインセールス組織を立ち上げ、2019年4月より現職。
株式会社SmartHR
セールスグループ インサイドセールスマネージャー
古川智之 氏
飲食業界に入社後、店舗運営のキャリアを経て、その後人材業界にて約13年間営業部門のマネジメントを担当。新卒採用支援領域の執行役員として250名の組織を管掌しながら、プロジェクトリーダーとしてATSサービスの立ち上げなどに携わる。SmartHRに参画後はインサイドセールスグループのマネージャーとして組織運営全般を管轄。
株式会社SmartHR
セールスグループ インサイドセールス
新田昇平 氏
新卒で総合人材会社に入社し、人材紹介部門のセールスに従事。2017年、分社化・事業移管のタイミングで株式会社SmartHRに入社。1人目のインサイドセールスとしてインサイドセールス組織を発足。現在は「全社でカスタマーサクセスを意識したセールスプロセスの中核を担うインサイドセールス組織」にて、一貫してKPIマネジメントやオペレーション設計、メンバー育成を行う。

オンラインセールスの価値

――まずはじめに、御社のオンラインセールスチームについて教えてください。

池田氏:SmartHRのオンラインセールスは、インサイドセールスが創出してくれた商談に対し、提案から受注までをWeb会議ツールなどを活用してオンラインで行います。地方展開の役割も担っていますので、クロージングセールスの中でも首都圏と関西圏以外の企業様を担当しています。

オンラインセールスチームは、私が2018年の6月に入社した際、同時期に入社したメンバーと2名で立ち上げ、現在は2ユニット9人のメンバーで構成されています(2020年4月時点)。

――御社でオンラインセールスを始めてから2年を経て、変化したことはありますか?

池田氏:オンラインセールスを立ち上げてからしばらくの間は、社内でオンライン商談の価値を向上するため、プレイヤーとして成果を出すことに力を注ぎました。訪問営業を行わずに本当に受注できるのか、懐疑的な雰囲気がなかったとはいえません。

現在は、全てのクロージングセールスチームがオンラインでの営業活動を余儀なくされる中で、「全社的にオンライン商談に強くなろう」という動きが出てきました。その動きは社内に限らず、全国的なものだと思いますので、私たちがオンラインセールスに力を入れることで、その普及に貢献できていれば嬉しいなと思います。


オフィスには、吸音スポンジで囲まれた「オンライン商談スペース」が整えられている。

――オンラインセールスをインサイドセールスの一部だという場合もありますが、御社はオンラインセールスとインサイドセールスを区別していらっしゃるのですね。

新田氏:インサイドセールス組織立ち上げ時には、インサイドセールス(当時のSDR)が従業員規模の小さい企業様の受注までを担当していましたが、実際にやってみると商談創出とクロージングの両立は困難でした。弊社のサービスは全社的に導入していただくものなので、ステークホルダーが多くなるという商材特性ゆえの難しさがあります。そのため、分業した方が効率化されると考え、今の体制になっています。

オンラインセールスは訪問営業よりも多くの商談をこなせるので、インサイドセールスから沢山の商談を供給できるようになりました。

受注に繋がる連携の工夫

――インサイドセールスから商談を供給する際に工夫している点はありますか?

新田氏「リードタイム」に重きを置いた商談獲得を意識しています。商談のフェーズを前に進めていくことに関しては、オンラインならではの難しさがありますので、なるべくインサイドセールスの時点で「導入時期」をキャッチできるようにヒアリングを工夫しています。

――オンラインセールス側からインサイドセールスとの連携に関して工夫していることはありますか?

池田氏:2つあります。1つは、商談の事前準備にインサイドセールスを巻き込んで、一緒にディスカッションをすることです。以前はオンラインセールス同士で対面にて行っていましたが、リモートワークになってからはSalesforceのChatterを用いて、オンラインでオープンに提案内容の壁打ちを行っています。

オンラインセールスのメンバーからは「意外とインサイドセールスの意図を理解できていない部分があったことに気づいた」という感想もあり、インサイドセールスからトスアップされる情報への理解が深まりました。また、インサイドセールスに対して商談後のフィードバックをすることに苦手意識を持つメンバーもいたのですが、商談後だけでなく、商談前からインサイドセールスと話し合う場ができたことで、コミュニケーションの障壁を取り除けたと思います。

古川氏:インサイドセールスは、アポイントメントを取って終わりになってしまいやすいのですが、受注確度を上げることに貢献できるのは、やりがいやモチベーションを維持するためにも強い効果があります。

新田氏:そうですね、インサイドセールスにはこの施策をポジティブに感じているメンバーがとても多いです。オンラインセールスがどのような仮説を立て、どういう商談をするのかを見て取れるようになったことで、クロージング視点が持てるようになり、商談獲得に活かせるようになったという声をもらっています。

――リモートワークが余儀なくされるなか、以前より活発にコミュニケーションが取れているのは素敵ですね。もう1つの工夫は何でしょうか?

池田氏:2つ目の工夫は、インサイドセールスが創出してくれた商談の割振りをオンラインセールスのチーフが行うことです。先方の業界や業種、部署、役職、性別などによってアサインする担当を決めます。

インサイドセールス、オンラインセールス共に急激に人員が増えたため、メンバーが互いの特徴を把握することが難しくなりました。顧客とオンラインセールスの相性、また、インサイドセールスとオンラインセールスの相性は商談を前に進めるための大切な要素なので、その部分を管理しています。

新田氏:インサイドセールスの人数が多いため、オンラインセールスの空き時間の確認が煩雑になりやすかったので、商談創出がラクになりました。

古川氏:その他に、ルール化されているわけではないですが、Slackを通じてインサイドセールスチームの会話にオンラインセールスの方が参加してくれるのもいいですね。商談を創出して初めて接点を持つわけではなく、日頃からコミュニケーションが取れるようになっています。


透明性の高い「1フロアオフィス」。余計なセクショナリズムを生まないための工夫がなされている。

より密で柔軟な“横の繋がり”が求められる

――連携の失敗談はありますか?

池田氏:オンラインセールスに限らないことですが、「組織の拡大に伴って、全体認識の統一ができていなかった」という失敗があります。例えば、ヒアリング項目を改善していく中で、事前の認識を合わせられていなかったために、インサイドセールスが埋めてくれたヒアリング項目をオンラインセールスが正しい内容で理解できず、価値のない情報になってしまっていたことがありました。オンラインセールスからインサイドセールスへ商談後にフィードバックする体制から整えてしまいましたが、同時に、事前共有の場を設ける必要があったと反省しました。

新田氏:ずっと型にハマったことをやっていれば良いというわけではないと感じています。事業や組織のフェーズ変化に伴い、インサイドセールスとクロージングセールスの業務ドメインも変わるという前提を持って、柔軟にコミュニケーションを取れる体制を作っていくことが大事です。

――今、御社のインサイドセールスとオンラインセールスはどのような変化を迎えているのでしょうか?

古川氏:マーケットのフェーズが変わり、潜在層に対するアプローチの必要性が高まってきています。つまり今後は「SmartHRって何?」という方に営業活動をしなくてはいけません。本当の意味での「営業力」や「インサイドセールス力」が必要になっていくフェーズなのです。

例えば、これまでの商談化基準に満たない場合でも、お客様にアポイントメントを打診して、オンラインセールスから商品説明をさせていただくような手段も取らなければならないと思います。これはインサイドセールスが考えているだけでは実現できず、「こういう理由で、温度感の高くない商談をパスするからね」と、オンラインセールスを巻き込まなければ上手くいきません。より密なコミュニケーションが必要なフェーズになってきたんだなと感じています。

池田氏:まさにそうですね。お客様の「課題を解決できる能力」はもちろん、「課題を設定する能力」が今まで以上に求められると思います。そのため、事前の壁打ちにインサイドセールスにも入ってもらうなどの工夫をはじめました。

「商談時に社内の様々な人に頼れる」のが、オンラインセールスという営業スタイルの1つのメリットです。訪問であれば一度会社に持ち帰って確認しないといけないような内容も、オンラインセールスなら商談中に社内にいる詳しい人を捕まえて、その場でスピード感をもって回答できます。今後は、インサイドセールスだけでなく、カスタマーサクセスも巻き込まないといけない場面が増えてくると思うので、横の繋がりをもっと深めていきたいなと思っています。

また、オンラインセールスを2年間やってきて、オンラインだけで全て完結するのは難しい場合があるということが見えてきました。然るべきフェーズで、オンラインから訪問商談に切り替えなくてはならないケースが存在します。ただ、今は新型コロナウイルスの影響があり、訪問営業が困難なので、「オンラインセールスに対する先方の意識改革をどう進めるか」にメンバーが思考を張り巡らせてくれています。


Zoomでの取材にご協力いただいた(左上から時計回りに)株式会社SmartHR 古川氏、池田氏、加藤氏、新田氏

――最後に、御社のインサイドセールスとオンラインセールスの魅力を改めて教えてください。

池田氏オンラインセールスでは「言語化能力」が磨かれると思います。訪問営業では、ジェスチャーを交えながら勢いでなんとなくこなせたとしても、オンラインセールスでは通用しません。しっかり言葉と資料で説明しないとお客様にインサイトを与えられず、次に繋がらないのです。訪問営業で売れていても、オンラインセールスで苦戦している人がいれば、この点が課題なのではないかなと思います。オンラインセールスならではの難しさはありますが、創意工夫してより良くしようと励んでくれるメンバーが集まっています。

古川氏きっちり分業化されているので、細かな粒度、且つ、ものすごいスピードでインサイドセールスの改善を図れます。インサイドセールスは組織や事業のフェーズによってあるべき姿が変わりますが、そこを突き詰めていくことができる環境です。

また、マーケティングとクロージングセールスがしっかり機能しているからこそのインサイドセールスだと思っています。なので、その両方にしっかり投資をしてくれていることが、インサイドセールスの強みでもあります。

新田氏:確かに、しっかりと横の連携を取れるように会社が支援してくれていると感じます。例えば、THE MODELのフレームワークに沿って座席を決めていたり、Slackなどのコミュニケーションツールを積極的に活用していたりと、オンライン・オフライン問わずコミュニケーションを活発に行えるような工夫がなされています。他部署と協業できる環境です。

――ありがとうございました!

■取材協力:株式会社SmartHR様[https://smarthr.jp/]
■取材・文:安永彩加

事業の急成長に伴い、短期間で大幅に変革し続ける「SmartHR社のインサイドセールス組織」について伺いました。
「マーケティングチームから見たインサイドセールスの価値」や、「マーケティングとインサイドセールスの連携のコツ」をSmartHR社の岡本氏、鈴木氏、新田氏に伺いました。

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