kintone導入事例 週次の集計作業が3時間→10分に 高い自由度ゆえに初期設計が重要


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・一般社員・職員
週次会議の資料作成に3時間。Excel属人管理が招いた「更新漏れ」と「顧客への二重確認」
―――まずは、kintone導入前の顧客管理の方法と課題を教えてください。
以前は各営業担当がExcelで顧客情報をまとめていたそうです。私は直接そのExcelを使っていたわけではないのですが、各々で管理しているので、情報が古くなったり、人によって粒度に差がある状態だったりしたと記憶してます。
―――具体的にはどのような問題が起きていたのでしょうか。
各営業担当が各々管理しているので、それぞれ情報の重複や更新漏れがありました。お客様に、以前確認したことと同じことを別の担当者が確認しに行ってしまうなどのミスがあったと聞いています。多少なりとも顧客からの信頼に影響があったと思います。
―――内部の業務効率としては、どのような課題がありましたか。
集計や分析に時間がかかるというのはあったかと思います。複数のExcelファイルを集計していたようだったので、作業時間としては、毎週の会議のために長い方だと2〜3時間かかっていたようです。
決め手は「価格」と「ノーコード」。Salesforceと比較し、月額料金が安いkintoneを選択
―――どのような経緯でCRMの導入が決まったのでしょうか。
比較検討したのはkintoneとSalesforceの二社です。
―――選定にあたって、特に重視していた点は何ですか。
重視していた点はノーコードで実装できるところ、あとは価格、コストですね。
―――「ノーコード」が重要だったのはなぜですか。
私自身は開発の経験があったので、ノーコードであることをそこまで重視していませんでした。ですが会社としては、開発の経験がある方のほうが少ないので、CRM以外のアプリを作成することも含めて、誰でも構築できるのはメリットかと思いました。
―――コスト面では、Salesforceと比較していかがでしたか。
月額費用のところが重要ポイントでした。kintoneはパートナー契約をしているので、定価よりもだいぶ下げられていますが、一ユーザーあたり月額600円程度です。かなり安いと思います。
―――価格が安い分、kintone導入にあたって妥協した点はありましたか。
kintoneにはテンプレートなどはあるんですけれども、基本的に一から自分たちで必要な項目を設定する必要があります。そこはSalesforceと違うところかなと思います。
―――「一から設定する」というのは、具体的にどのような作業で苦労されましたか。
項目設計や入力ルールの整備に苦労しました。顧客名や担当者、その他、案件のステータスなどですね。必須項目や重複禁止のルール設定に時間がかかりましたね。
週次の集計作業が3時間→10分に!現場のフィードバックで改善を続けたダッシュボード機能
―――導入後、最も効率化された業務は何ですか。
集計作業がかなり工数削減されたと聞いています。先ほど申し上げましたが、週次の会議で毎回2〜3時間かかっていたのが、10分程度になったそうです。
―――現在の運用フローを教えてください。
グループ会社全体で管理している顧客情報を集めたデータベースから、必要なデータのみ抽出して一日一回、自動でkintoneに連携するようにしています。 営業担当の方が売上のデータなどを別のシステムに入力すると、そのデータがグループ会社の全体のデータベースに連携され、さらにそのデータがkintoneに自動連携される仕組みです。
―――導入時の社内への展開はどのように進めましたか。
最初は小規模のチームでトライアル的に導入しました。もちろんマニュアルの作成や説明会の練習は行い、実際に画面を共有しながら操作して説明しました。
―――導入当初の現場の反応はいかがでしたか。
「どこを見ればいいのか分からない」というのが多かったですね。 私たちはkintoneの標準機能だけではなく、「Customine(カスタマイン)」というプラグインを使用してタブを複数分けていました。
顧客の基本情報、プロジェクトの情報、営業の方の案件の情報、と各タブで分かれていたので、最初はどこを見ていいか分からなかったようです。特に「プロジェクト情報のタブ」が分からないという声が多かったですね。 これは、そもそもkintoneに使い慣れてない方が多かったのが原因かと思います。
―――どのようにして社内に定着させていったのですか。
現場の声を聞きながら、入力項目や画面のレイアウトをかなりの頻度で調整していきました。「項目が足りない」「この項目は要らない」といったものや、あとは「ダッシュボードを他にも作成してほしい」などの依頼がありましたね。
―――反応が良かった機能はありましたか。
顧客ごとの売上の実績が見られるダッシュボードの反応は良かったです。各営業が、元々は各々で集計を作成していたので、その作業がやらなくて済むのは、工数削減になったようです。
自由度が高い分、最初の設計方針を決めるべきだった
―――kintoneを導入した効果は、コストに見合っていると感じますか。
コストには見合っていると感じています。導入前はExcelやメールでの情報共有で時間かかっていましたし、最新案件の情報や進捗状況を確認するだけでもかなり手間がかかっていました。
kintone導入後は、必要な情報がリアルタイムで確認でき、打ち合わせの確認工数が大幅に減ったと思います。会議用の資料を作る時間がほとんどなくなったのが一番良かった点ですね。
―――kintoneを10段階で評価すると、何点になりますか。
7点くらいだと思います。
―――「7点」の理由、マイナス3点の要因は何でしょうか。
機能面が少し弱いと感じます。検索のしづらさや、標準機能で実装できない部分が多かったりする点です。
―――「検索のしづらさ」とは、具体的にどういうことですか。
複数条件での検索がしづらいです。複数条件自体は設定できるのですが、全てAND条件、もしくはOR条件でしか検索ができない。AND条件とOR条件を組み合わせた検索ができないことが使いづらさの原因だと思います。
―――「標準機能で実装できない」とは、どのような点ですか。
多いのは「項目の条件付き必須制御」のところです。標準機能では必須の設定はできるんですけれども、「ある項目がこの値の時、こちらの項目を必須にする」といったことはできないので、そこはJavaScriptなどで実装する必要があります。
―――導入を振り返って、最大の学びや反省点は何ですか。
kintoneの特徴として、自由度が高い分、最初の設計方針をしっかり決めるべきだったかなと思います。 当初は試しながら作っていたんですが、途中で「この構成では他部署と共有しづらい」みたいな課題が出てきました。導入前に「どんな単位で管理したいか」「どの情報軸で見るか」を明確に決めておけば、初期構築や教育をもっとスムーズに進められたかなと思います。
―――最後に、これから導入する企業へアドバイスをお願いします。
kintoneは自由度が高いので、初期設計が本当に重要なことは覚えておいてほしいです。
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