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IT資産管理ツールとは - 機能やメリット、システムの選び方を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から174日前のものです)
IT資産管理とは、企業内のパソコンや周辺機器などのハードウェアやソフトウェアといったIT関連の資産を管理することです。IT資産管理(ITAM)の必要性と目的、機能や導入メリット、効率的な管理のためのツールの選び方を解説します。

パソコンやサーバー、プリンターなどの管理は、単に機器のみを会計上の固定資産として、Excelの台帳や棚卸だけで管理している会社も少なくないかもしれません。IT資産には、ハードウェアだけではなく、インストールされているソフトウェアやライセンスも含まれます。

IT資産管理で、これらのIT関連資産を適切に把握して管理することは、情報漏えい防止を含むセキュリティ対策や、コンプライアンスの強化のために非常に重要なことです。

本記事では、IT資産管理の概要について説明しています。おすすめIT資産管理ツールの比較が見たい方は、ぜひ次の記事を参考にしてください。

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IT資産管理とは

IT資産管理(IT Asset Management、略称ITAM)とは、パソコンやサーバーなど、企業内にあるIT関連の資産(ハードウェア・ソフトウェア・ライセンス)を詳細に把握・管理することです。

IT資産の有効活用のほか、セキュリティ対策・コンプライアンス遵守を目的として行われます。

IT機器の増加に伴いIT資産管理の必要性は高まっており、ツールを導入して管理業務を効率化するケースが増えています。

IT資産管理の必要性と目的

IT資産管理の目的は主に次の3つです。

  • IT資産の効率的な運用
  • コンプライアンスの強化
  • セキュリティ対策

IT資産の効率的な運用

IT資産の状況をもれなく把握できれば、利用されていないパソコンやソフトウェアライセンスを再配置することで、ムダなコストを削減できます。故障しているパソコンや古い機器を新しいIT資産に買い替えれば、業務効率と従業員体験の両方を向上させられるでしょう。

また、IT資産管理ツールを使って、OSやソフトウェアの一斉アップデートを行えば、情報システム担当の手間を大幅に削減できます。

IT資産管理で、パソコンのOSやソフトウェアライセンスの状況、サポート時期やオンプレミスシステムのベンダーサポートの期限なども正確に把握が可能です。IT資産運用に必要な予算立案が可能となるため、迅速なDX推進に役立てられるでしょう。

コンプライアンスの強化

IT資産管理の必要性が広く認識されたのは、コンプライアンスへの意識の高まりが背景にあります。とくに手動管理ではわかりにくいソフトウェアライセンスの情報を、IT資産管理ツールで的確に把握しようとする企業が増えているのです。

グローバルなソフトウェアベンダーが監査により、ライセンス違反に対して多額のペナルティを課すケースも報告されています。ソフトウェアライセンスの規約や契約内容を正しく理解しておかないと、意図せずライセンス違反を犯していることもあるでしょう。

IT資産管理ツールを利用すれば、すべてのソフトウェアライセンスの情報を可視化して一元管理することで、ライセンス違反を回避してコンプライアンスを強化できます。

また、IT資産管理ツールでサーバーやファイルへのアクセスログをモニタリングしていれば、顧客情報や機密情報の持ち出しといった、内部による不正行為の防止や検知も可能です。

セキュリティ対策

最近の相次ぐ情報漏えいや流出により、IT資産へのセキュリティ対策は企業がもっとも重要視していることです。ぜい弱性のあるOSやソフトウェアが一つでもあると、サイバー攻撃の対象となり、マルウェアやランサムウェアに感染してしまう危険性があります。

IT資産管理ツールを使えば、すべてのパソコンへ最新のパッチやOSアップデートをインストールして、いち早くぜい弱性を排除可能です。従業員が勝手にファイル共有ソフトをインストールしたり、USBメモリを挿入してしまったりといった、情報漏えいにつながる危険な行為にも対処できます。

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IT資産管理の内容と方法

IT資産管理は、おもに次の4つのグループに対して行います。

ハードウェアの管理

いまやほとんどの会社でほぼ全員にパソコンが支給されてます。IT資産管理は、誰がどこでどのパソコンを使っているのかを一元管理するものです。

また、パソコンやサーバーだけでなく、プリンターやスキャナー・マウスなどの周辺機器や、USBといった記憶媒体の物理的な管理も含まれます。

単なる台数の管理だけではなく、各パソコンのハードディスク容量や、ライフサイクルを把握することで、古くなったものを適切なタイミングで買い替えられます。

ソフトウェアの管理

IT資産管理で、どのパソコンにどのようなソフトウェアがインストールされているかを管理します。

またIT資産管理ツールを利用して、ソフトウェアの種類だけでなく、それぞれのバージョンやアップデート状況まで正確に一元管理します。

とくにウィルス対策ソフトは、すべての端末にインストールされているかどうかだけでなく、正しく機能しているかまでのソフトウェア管理が必要です。

情報漏えいを引き起こすパソコンのぜい弱性対策として、OSやソフトウェアのバージョンが最新のものであるかどうかもパソコンごとに管理します。

ソフトウェアライセンスの管理

IT資産管理で、ソフトウェアの不正コピーが行われていないか、ライセンスを正しく取得しているかを管理します。意図的な不正コピーに限らず、気がつかずにライセンス違反をしていることもあります。

不正コピーが発覚するとベンダーから高額な違反金を請求されることもあるため、厳重なソフトウェアライセンス管理が必要です。

また、パッケージソフトウェアの場合はライセンスを証明するため、インストールに使った媒体やライセンス番号が記載された箱やシールなども、保管して管理する必要があります。

ネットワーク上の管理

IT資産管理では、社内ネットワークに接続されているパソコンに対して不正なアクセスをチェックし、不正が検知された場合はネットワークへの接続を遮断するといった、セキュリティ上の管理も行えます。

また、ソフトウェアやアプリの更新ソフトを一台一台にインストールするのではなく、一斉にインストールすることで管理を効率化できます。

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IT資産管理ツールとは

IT資産ツールとは、社内のIT資産に関する情報を自動で収集し、資産管理台帳として一元管理が可能になるツールです。パソコン・スマートフォン・プリンター・ルーターといったハードウェア、OSやアプリケーションといったソフトウェアのIT資産を効率的に管理できます。

ハードウェアの型番・シリアル番号、ソフトウェアの製品名といった情報収集の自動化、ライセンスの契約数や更新日を可視化できるようになるため、効率的に管理が可能です。

Excelを利用した手動での台帳管理では、IT資産は管理対象が多くなるほど管理は難しくなります。そこで、IT資産管理ツールを導入すれば、効率的な管理ができるため、管理対象が多く規模の大きい企業ほど導入が必要となるツールといえます。

IT資産管理ツールの仕組み

IT資産管理には、「エージェント型」と「エージェントレス型」があります。

エージェント型はクライアントパソコンにエージェント(ソフトウェア)のインストールが必要で、エージェントがインベントリ情報(社内のすべてのIT資産情報)の収集を行います。また、自動でセキュリティパッチの適用を行うといったセキュリティ面での強化も可能です。

一方で、エージェントレス型は、クライアントパソコンにエージェントのインストールが不要なタイプのツールになります。インストール作業の必要がないため、導入時の負担がかからず、短期間で導入できる点が特徴です。

ただし、エージェントレス型でもインベントリ情報を自動で収集できる製品もあります。導入の手間を削減したい場合には、インベントリ収集可能なエージェントレス型の製品を選ぶとよいでしょう。

IT資産管理ツールの種類

ハードウェアだけでなく、各パソコンのソフトウェアやライセンスを含めたIT資産管理は大変手間がかかるものです。タイムリーかつ効率的に行うためには、IT資産管理ツールの導入がおすすめです。

IT資産管理ツールには、オンプレミス版とクラウド版があるため、まずはそれぞれの特徴と選び方のポイントについて簡単に紹介します。

IT資産管理ツールの選び方

オンプレミス版IT資産管理ツール

オンプレミス版IT資産管理ツールは、サーバーにソフトウェアをインストールして利用するシステムです。サーバーを導入しなくても使えるクライアント導入型もあります。

初期費用は多少かかりますが、一般的にはクラウド版よりも機能が豊富です。またインターネット経由ではなく社内LANで管理するため、情報セキュリティを重視する会社にはおすすめです。

クラウド版IT資産管理ツール

クラウド版IT資産管理ツールは、IT資産情報をクラウド上のデータベースに送信して管理するシステムです。

クラウド版ツールは、通信が暗号化されたインターネット経由で管理するため、外出先のモバイル端末、地方の支店や海外拠点も管理用のパソコン一台で管理できます。

また、ハードディスクやサーバーのメンテナンスが不要で導入時の初期費用を節約でき、月額利用料のみの低コストで運用できます。災害時の危機管理を重視する会社や、急速なスケールが予測されるスタートアップにもおすすめです。

IT資産管理ツールの機能

IT資産管理ツールは、一般的に次のような機能を備えています。

  • インベントリ管理
  • ソフトウェア資産管理(SAM)
  • ソフトウェアの一括インストール
  • 操作ログ管理
  • ネットワーク検知
  • デバイス制御
  • リモート操作

インベントリ管理

インベントリ管理はIT資産管理のもっとも基本的な機能で、ネットワークに接続されたパソコンやサーバー・ルーター・プリンターなどの機器から、自動的にハードウェアやソフトウェアに関する情報を収集します。

IT資産管理を行ううえでの基本情報を自動的に収集できるので、Excelの台帳よりも見やすいIT資産管理台帳を簡単に作成可能です。リアルタイムにユーザー情報やハードウェア情報・ソフトウェアやアップデート情報、ライセンス管理などの情報が把握できます。

ソフトウェア資産管理(SAM)

ソフトウェア資産管理(SAM)は、ソフトウェアのライセンス管理を行い、ライセンスの過不足や利用状況を把握し、ライセンス違反が起こらない適切なソフトウェア運用を支援します。

ソフトウェア資産管理で、ライセンスの不正使用やムダなライセンスを発見することで、コンプライアンス遵守やコスト削減につなげられます。

ソフトウェアの一括インストール

複数のパソコンに一括で、ソフトウェアや更新プログラムの配布と自動インストールを実行する機能です。

OSやソフトウェアで発見されたぜい弱性に対応するセキュリティパッチを、漏れなくタイムリーに適用することで、マルウェアやランサムウェアによる被害を防止します。

また、新規導入したパソコンに標準ソフトウェアを自動インストールすることで、効率的に社内のクライアント環境の標準化を実現できます。

操作ログ管理

操作ログは、パソコンやアプリの起動・ファイル操作・画面閲覧、印刷といったパソコン上のさまざまな操作を記録する機能です。

不正アプリの起動やUSBメモリへの書込みといった違反操作があった場合には、ユーザーに警告表示したり、管理者にリアルタイムに通知したりして、情報漏えいやコンプライアンス違反を未然に防ぎます。

操作ログ管理は、セキュリティ対策だけでなく、テレワーク環境で勤怠状況を把握するためにも活用されています。

ネットワーク検知

社内ネットワーク上の機器を自動で検知する機能です。持ち込みパソコンやデバイスを検知・遮断し、管理者に通知してセキュリティリスクを低減します。

デバイス制御

デバイス制御は、USBメモリやSDカード、外付けハードディスクなどのデバイス利用をポリシーにしたがって制限し、情報漏えいやマルウェア感染を防止する機能です。

禁止デバイスが接続されると、ユーザーにアラートを通知します。パソコンやデバイスごとに、条件によって限定的なデバイス利用を許可する運用も可能です。

リモート操作

サポートが必要なユーザーに、パソコンを遠隔操作してサポートを提供する機能です。リモート操作機能があれば、テレワークでもヘルプデスク業務を効率化できます。

IT資産管理ツールのメリット

IT資産管理ツールを導入するメリットは次のとおりです。

適正なIT資産運用

IT資産管理ツールで、未利用のパソコンやハードウェア、ソフトウェアライセンスを効率的に発見することで、余分な投資を抑えたIT資産運用が可能になります。パソコンの使用年数やOSのバージョンを確認し、サポート切れのものや機能が古いものは廃棄し、より生産性の高いIT資産に予算を配分できるようになります。

IT管理業務の効率化

IT資産管理ツールでネットワークを通じて、社内のハードウェアやソフトウェアのインベントリ情報を自動取得することで、手作業や棚卸と比較して、大幅なIT管理業務の効率化が実現できます。多くのパソコンやデバイスのある企業では、IT資産管理ツールなしには、十分なセキュリティを確立することは不可能ともいえます。

IT管理者は、IT資産管理ツールのソフトウェアや更新プログラムの一括インストール機能を利用することで、現場に赴くことなくスムーズなメンテナンスが可能です。IT管理者のヘルプデスクやサポート業務の負担が減ることで、開発業務やより重要なセキュリティ対策に貴重なリソースを費やせるようになります。

セキュリティのぜい弱性に対する迅速な対応

社内パソコンにインストールされたOSやアプリケーションにぜい弱性が発見された場合、一刻も早くセキュリティアップデートやパッチの適用が必要です。

IT資産管理ツールでは、アップデートやパッチ未対応のソフトウェアをリアルタイムに検出できるため、遠隔アップデートや自動インストールを活用した迅速なセキュリティ対応が可能になります。

セキュリティ・コンプライアンス意識の向上

IT資産管理ツールでは、社内のセキュリティポリシーに違反する行為をブロックし、該当ユーザーに対して警告を発信できます。

許可されていないUSBデバイスの使用やファイルサーバーへのアクセスを検知し、操作ログを取得することで、内部の不正行為やコンプライアンス違反を抑止できます。IT資産管理ツールの導入と運用を通じて、社内のセキュリティやコンプライアンス意識の向上が期待できるでしょう。

IT資産管理ツールの選び方

IT資産管理ツールの選び方のポイントについて簡単に紹介します。

IT資産管理ツールの機能で選ぶ

IT資産管理ツールには単なる資産の管理だけでなく、パソコンのセキュリティ対策機能も備えた、総合パソコン管理システムのようなサービスも提供されています。また、パソコンのトラブルをリモート操作でメンテナンスできる機能や、省エネ機能を備えたものもあります。

IT資産管理ツールで対応させたい業務やセキュリティ機能など、優先順位をつけて選ぶようにしましょう。

複数のデバイスを一元管理できるかどうか

テレワークの環境が増えるにつれて、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなど、使用デバイスの種類も増加しています。IT資産管理ツールもタブレットやOSを問わず一元管理できるかどうかを確認しましょう。

パソコン用・スマートフォン用・Windows用など、デバイスやOSごとに別の管理ツールを使用していると、サーバーの構築や運用の継続に手間がかかりすぎてしまいます。また、システム管理者の負担増加だけでなく、運用人員増加による費用も必要です。

収集可能な項目の精度は高いか

収集可能な項目も大事なポイントです。たとえば、ファイルサーバーのアクセスログやファイルの編集履歴や印刷の利用状況、メールの添付ファイルの状況などまで詳しくわかるとよいでしょう。

くわしい情報まで収集できれば、機密情報持ち出しの対策にもなります。


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IT資産管理ツールでセキュリティやコンプライアンスを強化しよう

IT資産管理とは、企業内のパソコンや周辺機器などのハードウェアやソフトウェアといったIT関連の資産を管理することです。IT資産の有効活用のほか、セキュリティ対策やコンプライアンス遵守を目的としています。

複雑で手間のかかるIT資産の管理を効率化するのが、IT資産管理ツールです。IT資産管理ツールの導入にあたっては、オンプレミス型かクラウド型かも含め、IT機器の現在の規模や今後の事業計画・情報管理ポリシー、どこまで管理したいかを細かく検討しましょう。社内のIT担当者のスキルやサポート体制まで考慮して、最適なIT資産管理ツールを選びましょう。

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