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業務委託契約とは?締結の前に確認したいトラブル回避のポイント・注意事項

最終更新日:(記事の情報は現在から2403日前のものです)
本記事では業務委託契約の概要から業務委託契約書の具体的な書き方、特に作成のポイントと注意点事項について解説していきます。

業務委託契約と聞いて、どういう形態の契約かをすぐに答えられるでしょうか?

日頃、委託契約の下で仕事をしている人ならば即答できるかもしれませんが、法人でも個人事業主であっても、仕事の分野によっては委託という契約形態がどういうものかよく知らないというビジネスパーソンは少なくありません。

そこで今回は、業務委託契約の基本的な説明をするとともに、業務委託契約書の具体的な書き方について説明します。雛形(テンプレート)もダウンロードできますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

業務委託契約とは

業務委託契約とは、発注者が一定の業務の実施を受注者に対して委託し、受注者がそれを承諾して実際に業務を行う契約のことです。発注者と受注者は対等の立場であり、それぞれ自らの責任と裁量によって契約を締結し業務を遂行します。

「業務委託契約」と呼ばれる契約は、法律的には明確な定義や決まりがあるわけではありませんが、一般的には民法に定めのある「請負契約」(民法632条)または「委任契約」(民法643条)を指します。

しかし業務委託契約にはさまざまな内容があり、請負か委任かを明確に区別することは難しいと言われています。契約書作成においても、特に決まった形式が存在するわけではありません。あくまでも契約自由の原則の下で、当事者同士が自らの責任において契約内容を定義して交わすものだということを念頭に契約書を作成すべきでしょう。

委任契約と請負契約との違い

そうはいっても、業務委託契約書を作成するにあたり最初に意識すべきは「委任契約と請負契約の違い」です。

委任契約とは、その契約で合意した仕事内容を実践すること、つまり業務の遂行を目的とする契約です。業務を委託された者は、その人の能力や専門家としてのスキルなどに照らして、一般的に期待されるであろう義務を果たすことが求められます。法律的には、これを善管注意義務といい、たとえその業務で発注者が思うような成果が出なかったとしても、受任者が最善を尽くしてこの義務を果たしていれば問題なしとみなされます。コンサルティング契約や顧問契約、情報提供契約などがこれに該当します。

一方、請負契約は、その契約で合意した結果を実現させること、つまり業務の完了が目的となっています。請負人は成果物の引き渡しや仕事の完了など、予め契約で定義づけられた成果を上げることが求められます。双方が合意した結果を出して初めて契約が完了するわけです。万が一、成果物に欠陥がある場合、請負人は欠陥の補修や損害賠償といった瑕疵(かし)担保責任が問われることになります。ソフトウェア開発契約やシステム構築契約、成果物の求められるコンサルティング契約がこれに該当します。

業務委託契約と労働契約との違い

ただし前述のように、業務委託契約では請負契約なのか委任契約なのかを明確に区別することが難しい契約もたくさんあります。そのなかで特に注意しなくてはならないのが、たとえ業務委託という体裁だったとしても、その実態が労働契約や労働派遣契約だったというケースです。

労働契約(雇用契約)とは、一般的な会社員が所属する企業と交わしている契約のことです。労働契約では、使用者(企業)と労働者(従業員)は主従関係となります。例えば企業は従業員に対して就業規則を設けて働く時間や場所を指定したり、仕事のやり方やプロセスまで細かく指定することも可能です。

一方、委任契約では委任者と受任者の関係は対等なものです。委任者は労働契約のように、受任者に対して自らの就業規則を適用することはできません。主従の関係ではなく、あくまでも独立した事業者同士の契約だからです。

もし、業務委託契約なのに「勤務場所や時間が指定されている」「就業規則を守るように言われている」「福利厚生制度の適用がある」「他の仕事の禁止といった専属性がある」という場合は、使用従属性が認められるといえます。このように委任契約の実態が労働契約に著しく近しい場合、委任者は相手に対して労働法上の義務を負うことになり、違法状態となってしまう可能性があるので注意が必要です。

業務委託契約書作成のポイントと注意事項

業務委託契約書作成のポイントについて説明していきます。ぜひダウンロードした雛形を参考にしながら要点を押さえてください。

業務内容の明確化

業務委託契約書の作成では、まず相手に委託したい業務範囲を明確にし、その内容について誰が読んでも理解できるようにしておく必要があります。委託側と受託側で契約内容の認識の違いがある場合、依頼した業務を実践して貰えなかったり、受託者側も予定していた代金を払ってもらえない可能性が出てきます。業務内容やその範囲を具体的に記載し、曖昧さを排除するようにしましょう。

たとえば「甲(委託者)の○○(サービスの内容)に対して付随する○○(そのサービスを提供するために必要となる作業)を業務とする」といった文言で業務内容を明確に定義します。そして業務範囲に認識の違いがある場合は「但し、○○などの業務は含まれない」といった付帯条件をつけるなどして、契約締結前に業務範囲を明らかにし合意を得ることが大切です。

委託料の支払い

委託料の支払いについて詳細を正確に記載します。「委託料は○○円(消費税別)とする」というように、税金の部分も曖昧にせずに明記しましょう。また、どの時点で支払い義務が発生するのかを明らかにし、支払いの方法も詳細に記載します。たとえば「納品月の月末締め翌月末日に乙の指定する銀行口座に現金振込みにて実施する。ただし、振込手数料は甲の負担とする」といった内容にすることで、後々のトラブルを避けることができます。

秘密保持

業務に関する秘密保持に関する記載は必須となります。「乙(受託者)は本契約に関して知りえた情報を一切他に漏洩させてはならない」といった文言は必ず入れます。受託者の責に拠らずに情報が漏れてしまった場合などの免責事項や、情報漏洩によって委託者が被った損害の賠償ついても明記しておくべきでしょう。なお、別途で秘密保持契約(NDA)や誓約書を書面にて締結する場合には、業務委託契約書に記載する必要はありません。

契約解除

受託側の業務に問題があった場合のため、契約を解除する旨の記載をしておく必要があります。「本契約の条項に正当な理由なく違反した場合、相手方に通知することなく直ちに本契約を解除することができる」といった言い回しが一般的です。万が一のために、損害賠償に関する記載もしておきましょう。

ただし、軽微なミスや違反により一方的に契約が解除される事態は受託者にとって好ましくないといえます。ある程度の期間を設けて是正を勧告し、それでも改善されなければ契約を解除するという旨の記載がされている契約書も多くあります。

その他

以下のポイントは雛形には記載がありませんが、必要に応じて加えるべき要素です。

契約終了後の義務

契約終了後に成果物に瑕疵があった場合の責任の所在や、その後も引き続き当該業務に関する守秘義務が課せられる旨の記載をする場合もあります。

記事執筆などに関する業務委託では、成果物を委託側が知的財産権として所有することを明記するのが一般的であり、受託側は契約が終了したからといって、その記事を自分のものとして発表することはできません。成果物の複製(コピー)や二次利用についても委託側が権利保持者となることが多いようです。知的財産権が絡む業務委託契約では、契約終了後のトラブルを回避するためにも記載必須といえるでしょう。

トラブル対応(損害賠償、瑕疵担保)

損害賠償に関しては契約解除のポイントでも説明しましたが、責任の範囲やそれが及ぶ期間、具体的な賠償額の制限などが記載されることもあります。また、成果物の検収終了後に何かしらの問題(瑕疵)が発生することもあります。その際に対応する側と責任が及ぶ期間については明らかにしておきましょう。

業務委託契約書作成サービス

業務委託契約書作成を代行するサービスを利用するという手もあります。様々な企業(個人事業を含む)や団体が業務委託契約書の作成代行サービスを提供していますが、ここでは「ヒルトップ行政書士事務所」の提供しているサービスを紹介します。

行政書士はこういった業務契約書作成のプロであり、なかでも同事務所は特に企業法務での豊富な実績とスピーディーな対応が強みです。印紙税の節税アドバイスなどもしてくれるようです。相談も無料ですので、必要に応じて問い合わせをしてみるとよいでしょう。

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業務委託契約書を理解し、契約書を正しく作成しよう

企業に勤めている人ならば、法務関連の仕事以外ではあまりこういった契約書を見る機会は少ないかもしれませんが、どんなビジネスでもこういった契約で成り立っています。この機会に業務委託契約についても知っておきましょう。まずは雛形をダウンロードして実際の契約書がどういうものかを確認してみてください。

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