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時間外労働とは?36協定が必須 - 割増率、計算で注意すべき点

最終更新日:(記事の情報は現在から1362日前のものです)
時間外労働とは、法定労働時間を超えた労働をさし1.25倍の割増賃金が発生します。時間外労働のほか休日労働や深夜業の割増率、36協定の必要性、計算で気をつけるべきポイントなどを解説。

時間外労働とは

時間外労働とは、労働基準法第32条にて定められている法定労働時間、1日8時間と1週間40時間から超過した労働をさします。時間外労働には、所定の割増率1.25倍にもとづいて割増賃金、いわゆる残業代が付与されます。ただし休日労働や深夜業の場合は割増率がさらに増えます。

休日出勤との違い

時間外労働は平日や祝日といった日に関係なく、法定労働時間を超えて働くこと全般をさします。これに対し休日出勤は、企業が休日と定めた日の労働です。平日に残業すれば時間外労働ではあるものの休日出勤ではありません。反対に、休日に出勤しても法定労働時間内であれば、時間外労働とは呼びません。

また、休日出勤のなかでも、大きく法定休日と法定外休日の2つに分けられます。法定休日は休日出勤手当と代休が付与される一方、法定外休日は法定労働時間内であれば休日出勤手当てや代休は付与されません。ただし、法定労働時間を超えている場合は割増賃金を受け取れます。

法定労働時間と所定労働時間の違い

法定労働時間は法律によって定められている1日8時間および1週間で40時間の勤務時間に対し、所定労働時間は企業が就業規則や雇用契約書によって定められた就業時間という違いがあります。所定労働時間は、法定労働時間に収まるよう企業が定めます。

所定労働時間が法定労働時間より短くなる場合、所定労働時間を超えて働いても割増率のかからない賃金しか得られないケースがあります。これは、割増賃金が所定労働時間を超えたとき発生する賃金であり、所定労働時間と残業を足しても法定労働時間に届かない状況があるからです。

たとえば、所定労働時間が7時間の場合に1時間の残業をしても、労働時間が8時間を超えていないため法内残業となり、割増賃金は得られません。

時間外労働には36協定が必要

36協定のない状態で時間外労働をさせた場合、違法となります。そのため、少しでも残業させる可能性のある企業は事前に36協定を規定しましょう。

36協定で残業できる時間

36協定の締結によってはじめて残業が可能となります。36協定で残業が可能な時間は1か月45時間、1年360時間です。もしこの数字を上回る時期があるのなら36協定の特別条項を別途締結する必要があります。

36協定をはじめ、制度によって残業させられる時間の違いは次の記事にて解説しています。合わせて確認してはいかがでしょうか。

残業時間の上限 - 法律で100時間未満へ規制 | 残業代の計算方法
残業時間の上限について原則45時間までとする36協定や、100時間未満へ規制する働き方改革関連法案などを解説します...
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特別条項にて残業時間を延長

36協定の特別条項を締結している場合、働き方改革関連法案の上限に抵触しないのであれば残業時間を延長可能です。ただし、1年のうち6か月しか超えてはならず、超える6か月の中でも次のルールがあります。

  • 年720時間以内の残業
  • 月45時間を上回った月の残業が平均80時間以内
  • 月100時間未満の残業

時間外労働をはじめ割増賃金が必要なケース

時間外労働や休日労働、深夜業には、割増賃金の支払いが義務付けられています。労働基準法によって定められた3種類の労働についてどのようなときにどれくらいの割増率が発生するのか見ていきましょう。

名称 条件 割増率
時間外労働 法定労働時間を超えた労働 1.25倍
休日労働 法定休日の労働 1.35倍
深夜業 午後10時〜翌日午前5時までの労働 1.25倍

時間外労働

時間外労働は、法定労働時間をこえた労働をさし、割増率は1.25倍です。もとの時給が1,000円である場合には1,250円が支払われます。また、時間外労働が60時間以上を上回る場合はさらに1.25倍が割増率として加算されます。2020年時点は大企業にて加算が義務づけられており、2023年には中小企業でも割増率が増加します。

休日労働

労働基準法第35条では、法定休日として週1日、または4週を通じて4日間の休みを取ることが定められています。この法定休日を減らす休日労働には1.35倍の割増率が課せられます。さらに、時間外労働かつ休日労働の割増率は、1.25+1.35から1.60倍です。

深夜業

午後10時から翌日午前5時までの労働は深夜業と呼ばれ、1.25倍の割増賃金を受け取れます。深夜業も時間外労働や休日労働の割増率と重なるため、計算の際には注意しましょう。

時間外労働の計算

時間外労働は、休日労働や深夜業との兼ね合いで計算がやや複雑です。時間外労働の計算方法はこちらにて解説しているので合わせて確認してください。ここからは計算で気をつけるべきポイントを解説します。

残業代の時効

支払われていなかった残業代はさかのぼって受け取れるものの、2年が経過した時点で権利は消滅してしまいます。たとえば、2015年4月30日の給与で残業代が支払われなかったのであれば、それを請求できるのは2017年4月30日までです。

割増賃金の重複

割増賃金の休日労働や深夜業は、重複します。時間外労働が深夜業である場合は、時間外労働が25%、深夜業が25%の割増率なので、足した50%が割増賃金として支払われなければいけません。同様に、休日労働が深夜業となった場合には休日労働が35%、深夜業が25%で合わせて60%の割増賃金となります。

時間外労働の計算が複雑なケース

時間外労働は、法定労働時間を超えることによって発生するものの、いくつかの制度においてはどのような状況が時間外労働に当てはまるのかわかりづらいケースがあります。そんな複雑な制度について解説します。

みなし残業代(固定残業代)

みなし残業代とは、実際の残業時間にかかわらず支払われる定額の残業代のことです。企業が月々の残業代を計算せずに済むよう、あらかじめ一定の残業代を支払います。規定の残業時間より短い際は指定のみなし残業代が、長い際はみなし残業代に加えて上回った分のみなし残業代が支払われます。

注意すべきは固定残業代を超えた場合、超過分の割増手当が支給される点です。みなし残業代は、残業することを想定して前もって支払われるものの、規定以上に残業したときは余剰分を割増賃金として加算します。

みなし残業については次の記事で解説しています。

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裁量労働制

裁量労働制とは、労働時間の制限を雇用主の裁量で定められないときに利用する制度です。具体的には、従業員の仕事内容が専門的である場合や、事業運営において必要な意思決定を行う場合が該当します。裁量労働制においては、規定の労働時間を実際に働いた時間としてみなします。

裁量労働制の場合、規定の労働時間にもとづいて残業代を含め給料が支払われます。そのため、規定で時間外労働を定めていれば残業代は出ますし、定められていなければ残業代は出ません。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、所定労働時間はそのままに始業時間と終業時間を自由に前後できる制度です。コアタイムを取り入れる場合は、必ず出社するコアタイム以外は従業員が自由に出退勤できます。

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