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2017-11-01

ポピュリズムとは | 民主主義との違い・各国での盛り上がり

本記事では、最近政治的な分野で使われることの多い「ポピュリズム」について、言葉の誕生の背景から民主主義との違い、そして日本への影響などについてなるべく中立的な視点から説明します。
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昨年アメリカでドナルド・トランプ大統領が誕生したことを受けて、日本でもさまざまな論点から政治的議論が交わされ、多くの言論人が自らの専門的な立場からいろいろな意見をぶつけ合うことになりました。

そんな中、にわかに脚光を浴びた言葉として「ポピュリズム」というものがあります。

普段、政治的な話題に興味のない人にとってはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。しかし、私たちが民主主義を正しく理解するうえで必要な言葉となりつつありますから、この機会にぜひ中立的な視点からポピュリズムについて理解しましょう。

ポピュリズムとは

ポピュリズムは「大衆迎合主義」と訳されることもある言葉で、本来はラテン語の「populus(人民)」という語源に表されるように、支配階級や知識人といったエリート層に対抗しながら、一般大衆の不満や願望を重視し、聞き入れる思想や政治体制のことを指す言葉です。

ある政治問題に対して一定以上の見識があり、冷静で合理的な判断を下すことのできる国民よりも、一時的な感情や空気によって政治的態度を決めてしまう大衆の意思を重視し、そんな人々の支持を集めるやり方で政治的基盤を作り上げる手法をポピュリズムということが多いです。

ポピュリズムの由来・起源

「ポピュリズム」という言葉の歴史を紐解くと、19世紀末に結党されたアメリカ合衆国の人民党(ポピュリスト党)を通じて広まった言葉であるとされています。

人民党はアメリカのポピュリズム運動のなかで設立された政党で、当時は貧しい綿や小麦などの農家を支持基盤とし、エリート層に敵意を向けることによって急進的な運動として拡大した歴史があります。

そのため「ポピュリズム」や「ポピュリスト」という言葉は、民衆の利益のための反エリート主義の意味で使われるようになったこと側面があることを押さえておきましょう。

ポピュリズムの対立概念

ポピュリズムについて説明するうえで、必ずといっていいほど登場するのが「対立概念は何か?」という問題です。しかし、これは非常に難しい命題であるといえます。

なぜならばポピュリズムという言葉自体が、今では解釈する側の政治的な立場や思想に影響を受けてしまいがちであり、さまざまな言葉が反対概念として用いられているのが現状だからです。

ポピュリズムとリベラリズム

たとえば、リベラリズム(自由主義)という言葉がポピュリズムの対立概念として引き合いに出されることがあります。リベラリズムとは、一般的に、一定層の権威や権力による統制に対し、一人ひとりの自己決定権を重視する思想や体制のことをいいます。

大多数の国民の意思を無視して一部の民衆の感情や考え方に迎合するのがポピュリズムであるとするならば、リベラリズムとは相反する概念と位置づけることも不可能ではないかもしれません。

しかし多数の人々の民意を聞き入れることがリベラリズムと対立するかといえば、必ずしもそうとはいえません。さまざまな民衆の意見があるなかで、ポピュリズム的な手法でリベラル色の強い民意が昂揚される結果になることもあるからです。

このように、何が本当に対立概念として適切なのかを本来の言葉の定義に基づいて判断するのが難しいのが、ポピュリズムのような政治色の強い用語の特徴といえます。

ポピュリズムと民主主義の関係

そして、もう一つポピュリズムとともに語られることが多いのが民主主義です。ここではポピュリズムと民主主義の関係について簡単に説明します。

ポピュリズムの特徴

上述のように、ポピュリズムは一部の民衆の一時的な感情や欲求、その場の空気などに迎合するように政治的な態度や主張を決め、それによって人気を獲得したり政治的基盤を確立することだといわれています。

そこで多くの人が疑問に思うのが、大衆の意見を取り入れて政治に反映する「民主主義とポピュリズムはどう違うのか?」ということです。

すでに説明したように、正しい位置づけでポピュリズムの対立概念を設定するのはなかなか難しく、民主主義も例外ではありません。しかし必ずしも対立構造にはならないものの、両者の間には明確な違いがあるといわれています。

民主主義とポピュリズムの違いは?

民主主義とは、さまざまな国民の意見を聞き、それを政治に取り入れながらも、弊害が生じた場合は国民同士の話し合いのなかで修正を図っていくシステムといえます。

それが議員という国民の代弁者を通じて行われるのか、スイスのように国全体に及ぶ国民投票で物事を決めていくような直接民主制の形態をとるのかという違いはあるものの、最終的にはその国をよい方向に導くという目的があります。

しかしポピュリズムの場合は、主にその場で多数派を占めている人々の意見に迎合し、政治的な基盤を築くだけが目的になってしまっており、その後の社会がこうあるべきだというビジョンや信念がないという批判があります。

少なくともポピュリズム的な手法を批判している人々は、この文脈から民主主義とは必ずしも相容れない概念であるとしています。率直に言うと、ポピュリストはたんに政治的な基盤が欲しいだけの人であり、本来民主主義が目指すべき理想とはかけ離れた存在だと主張しているわけです。

民主主義はポピュリズムと結びつくのか

しかし実際のところ、民主主義とポピュリズムはある意味で切っても切れない関係にあることも事実でしょう。なぜならば民主主義というシステムは、大なり小なりポピュリズム的な部分を内包してしまいがちだからです。

たとえば、古代ギリシアでは民主制の名の下に、判断力の乏しい市民がポピュリズム的な手法で基盤を築き、愚かな政策を実行するという「衆愚政治」が行われたとされています。

民主主義の国はその性質上、政治に参加できる国民の能力で国や共同体の方向性が決まってしまうことは否めません。多くの国民が、一時的な感情の昂揚や空気によって誤った政策を支持してしまえば、民主的なプロセスによってそれが実現されてしまう可能性があります。

ですから国全体が誤った方向に舵を切ってしまわないように、国民全体が政治に関心をもちながら、自らの見識を磨いていかなければなりません。

各国でのポピュリズムの盛り上がり

次に、世界各国でのポピュリズムの盛り上がりとされている現象について、簡単にみていきましょう。

ただし一部の主張だけを取り上げて、その国の政策がポピュリズムの結果であると断ずるのは危険です。自分なりに大局的な視点から判断することを忘れないようにしましょう。

アメリカ

アメリカではドナルド・トランプ大統領が登場したことを受けて、彼をポピュリストであると多くのメディアや左派の学者が指摘しています。アメリカにおける多数派である中産階級の白人が不利益を被っていることを主張し、彼らの支持を集めることで当選にこぎ着けた手法がポピュリズムであると批判されているわけです。

イギリス

イギリスでは、昨年政界を引退した前首相デーヴィッド・キャメロンが「隠れ人種差別主義者」などと批判した英国独立党が、一部から右翼ポピュリズム政党であると指摘されています。彼らはブレグジットおよび移民の権利制限などを訴えており、イギリス国内で躍進を遂げてきた事実があります。

ドイツ

ポピュリズムを批判するうえで頻繁に引き合いに出されるのが、かつてのアドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツです。特に左派勢力はポピュリズムといえばヒトラーの政治手法であると考えている人が圧倒的多数です。ヒトラーは、徹底したプロパガンダによってドイツ国民の戦意を昂揚し、民主的にナチスを第一党とすることによって、第二次世界大戦のきっかけとなるに至りました。

フランス

フランスではユーロ圏の離脱と移民の制限を主張している政党である「国民戦線」が第三局の地位を獲得し、党首であるマリーヌ・ル・ペンが注目を集めるようになりました。イギリスの英国独立党のように、移民問題などで厳しい主張をすることに対してポピュリズム的手法で支持を集めているという批判があるようです。

フィリピン

フィリピンでは2016年に大統領選挙が行われ、ロドリゴ・ドゥテルテが大統領として選出されたことが話題となりました。彼は麻薬問題に対する非常に厳しい対応と、その激しい言動が注目され、派手なパフォーマンスが得意なポピュリストであるという指摘をする人もいます。

日本の政治とポピュリズム

それでは、日本におけるポピュリズムの興隆についてはどうでしょうか?これまでポピュリストと批判されたことのある政治家やその政策を取り上げてみましょう。

ポピュリズム政治家と言われた人物・政策について

日本においては、数年前に当時の小泉純一郎首相が「構造改革なくして景気回復なし」といった言い回しで支持を集めていた時期があります。あるいは鳩山由紀夫氏率いる旧民主党が「コンクリートから人へ」といったスローガンを用いて自民党から政権交代を勝ち取ったこともありました。

こういった手法は「ワンフレーズ・ポリティクス」と呼ばれます。その具体的な内容が曖昧なままであるにもかかわらず、そのわかりやすさから大勢の国民の支持を集めてしまうことがあることから、ポピュリズムの一種と位置づけることが可能でしょう。

また、かつて大阪維新の代表だった橋下徹氏なども公務員や労組を既得権益者として攻撃し、いわゆる「大阪都構想」について住民投票で決めようとするなど、ポピュリズム的なやり方で基盤を築いたと解釈することもできます。

日本でもポピュリズムは盛り上がる?

冒頭でも述べたように、ドナルド・トランプ大統領の当選をきっかけに、日本でもポピュリズムという言葉が頻繁に使われるようになりました。

注意しなくてはならないのは、ポピュリズムというのは現在では特に政府や権力者を批判するために用いられたり、自らの政治的主張と異なる考え方や政策を批判するための概念として使われることが多いということです。

前述のように、ポピュリズムのような政治色の強い言葉は、用いる人の政治的な立場や主張に依存した文脈で使われるケースが多いです。したがって、自らの政治的な考え方とは違った思想や考え方が大勢を占めている状況では、おのずと使われる頻度が高くなる傾向があるのです。

つまり、日本においてポピュリズムが盛り上がっているかどうかというのは、それを主張する人の政治的な思想や立場に依存するために、一概に判断することはできないというのが実情でしょう。どの時代にも大なり小なりポピュリズム的な部分があるからです。

一方的な主張に用心しよう

現在、ポピュリズムという用語を用いて世情を分析している多くの学者やジャーナリストがいわゆる左派勢力の人々であり、移民問題に関する議論などでは、自らの思想や立場と異なる主張をする政治家や政党に対してポピュリズムだと批判するケースが非常に多くなっています。

しかし、そうやって大勢を批判する側が一部の人々の利益のために、明確な敵を作りながら政治運動としての活動基盤を作り上げていく手法も、同様にポピュリズムとなる危険性をはらんでいることを忘れてはいけません。

「ポピュリズム」という言葉だけで判断するのではなく、なるべく中立な視点から識者と呼ばれる人々やジャーナリスト達の言説をチェックしていく必要があるでしょう。

マスコミとポピュリズム

これまで世界各国や日本におけるポピュリズムの興隆について説明してきましたが、最後に重要な視点として、マスコミとポピュリズムについて説明しておきましょう。
 

マスコミがポピュリズムの温床となっている?

現在、多くのメディアが世界中のさまざまな政権や重要人物に対してポピュリズム的な手法であるとか、ポピュリストであると批判を加えています。しかし重要な論点として、こういったマスコミ自身の言説がポピュリズムの温床となってきた事実を忘れてはいけません。

たとえば、かつて第二次大戦下の日本では「鬼畜英米」「暴支膺懲」といったスローガンを用いて大衆煽動の中心を担ったのは、他ならぬ新聞でした。

旧ソ連をはじめとした共産圏やナチス・ドイツのメディアを使ったプロパガンダは有名ですが、我が国でもメディア自身が大衆の一時的な感情を肥大化させたり、敵国によって工作された情報を国民に流布してしまった歴史があります。それによって国益を損ねる政策を国民自身が支持してしまったのです。

特に最近はメディアに対して懐疑的な目が向けられるようになっています。渦中のドナルド・トランプ大統領が各種メディアに対して「フェイクニュースだ」と批判を加えているのも記憶に新しいところでしょう。

メディアを鵜呑みにせず自分なりの判断を

大衆に大きな拡散力をもっているメディア自身がポピュリズムを助長してしまう可能性がある以上、私たちは盲目的にメディアの情報を信じるのではなく、自分なりにその真偽を判断するスキルを磨いていく必要があります。

特に政治的な色が強い言葉や情報については、本当に事実に基づいて報じられているのか、一部の偏った思想の人々だけが支持している内容ではないかといった点からクリティカルに情報を読み解いていくことが重要です。

ポピュリズムについて、中立的な視点から理解しよう

近年、政治的な分野以外でも話題になることがあるポピュリズムについて、言葉の成り立ちから民主主義との違いなど、なるべく中立的な視点から丁寧に解説してきました。世界的に興隆しているといわれているポピュリズムですが、それが本当に正しいのかどうか一概に判断するのは難しいものです。

普段、政治に興味がない人でも、ぜひこういった政治的な分野の用語について正しく理解し、メディアの一方的な情報に惑わされないようにしましょう。自分なりに情報を整理しつつ、判断していく姿勢が鍵となります。

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