ギグエコノミーが当然の時代にどう備えるべきかを知るために、インターネットを通じた働き方とその問題点について解説します。
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ギグエコノミーとは
ギグエコノミー(Gig Economy)とは、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う就業形態のことを言います。
この言葉は2015年からアメリカでよく使われるようになり、フリーランスなど、非正規労働の形で働く経済形態として広まってきました。
ギグエコノミーという言葉の由来と働き方
ギグエコノミーのギグ(Gig)というのは、もともとミュージシャン同士がその場限りで演奏をする、単発ライブの際に使われていた言葉を転用したものです。
このギグエコノミーでの働き方は、現在あるサービスでいうと、配車サービスのUBER(ウーバー)や便利屋サービスのTaskRabbit(タスクラビット)などがあります。
なぜギグエコノミーが拡大しつつあるのか
それでは一体なぜギグエコノミーが拡大しているのでしょうか。
それは、インターネットによる情報化とデジタル技術の発達によって、どこにいても仕事を受注できるようになったからです。
そのため、企業側にとってこれまで以上に労働力が機動的になり、短期かつ案件ベースで仕事を発注できるようになりました。
プラットフォームの充実
しかし、人脈のない人にとってはいくら時間があっても、仕事を請け負えません。そこで誕生したのがギグエコノミーを仲介するサービスです。
現在では、このギグエコノミーを仲介するプラットフォームが充実してきており、ウェブを通じてだれでも仕事を受注できる環境が整備されました。
労働者の選択
ギグエコノミーは「単発の仕事」という面からみると日雇い労働者と変わらないため、社会的弱者の方が選択するイメージが強いですが、実は現在ではスキルのある労働者が積極的にギグエコノミーを選択し始めているのです。
その理由としては、自分の価値を最大限に発揮するなら、雇われるよりフリーランスを続けた方が収入が増えるということが挙げられます。
2019年には労働力の半分がギグエコノミーを選択すると言われていたほどで、今後ますます優秀な人材は企業で雇われることをやめ、ギグエコノミーを選択していくでしょう。
企業の選択
ギグエコノミーが拡がっていくことは、個人だけではなく企業にとってもメリットがあります。
なぜなら、スキルのある労働者を雇うのではなく単発で使うことで、リスクや固定費を抑えることにつながるからです。
実際にアメリカでは企業と労働者の考え方が変化し始めた結果、アメリカの労働力率の低下が起こっています。
ギグエコノミーは労働者になにをもたらすのか
具体的にギグエコノミーという経済形態で働くことで、労働者は何を得られるのでしょうか。労働者の得られるメリットを2つ紹介します。
オンデマンドで柔軟な働き方
まず一つ目は、オンデマンドで柔軟な働き方が実現できることです。現在では、仲介プラットフォームが充実したことによって、オンデマンドワークの受注ハードルを下げ、柔軟な働き方を可能にしました。そのため、主婦でも子育てをしながら在宅で働けるようになりました。
望む人生を獲得するハードルの低下
ITが発達する前までは、家から出て労働をすることが一般的な成功を掴むためには必須でした。しかし、現在では従来の一般的な成功の概念に捕われる必要がなくなり、自分で仕事の場所を選択して働けるようになりました。
そのため、自分が実現したい望む人生を手に入れることのハードルも一気に下がりました。
ギグエコノミーが抱える課題
ここまでの解説では、ギグエコノミーが労働者に与えるものはメリットしかないように感じますが、実はギグエコノミーが抱える課題もあるのです。ギグエコノミーが抱える課題を3つ紹介します。
社会からの孤立
ギグエコノミーでは、74%のワーカーが受注する仕事関連の人と会ったことがないというデータがあります。
これは在宅ですべてが完結してしまうこともあり、社会とのつながりが希薄になりがちということを意味します。
そのため、人と会う機会が減ることで社会から孤立していると感じ、モチベーションの継続が難しいという課題があります。
労働者保護システムからの隔離
ギグエコノミーは、会社としての雇用があるわけではないため、労働法の保護などが受けられていない現状があります。
たとえば、配車サービスのウーバーでは、運転者を従業員ではなく個人事業主として扱っているため、ウーバーの収入で生計を立てる運転者たちは、労働者の権利を守り、待遇の改善を求めています。
このようにギゴエコノミーでは、労働者保護システムからの隔離の課題もあります。
新たな貧困の創出
クラウドソーシングなどでは、最低賃金が保証されていないこともあり、ワーカーたちは最低賃金を下回る賃金でも仕事を受けざるを得ない現状があります。
ギグエコノミーという経済形態には発注者と受注者の間に雇用契約があるわけではなく、双方が同意のうえで仕事を進めていくものです。
そのため受注者側が納得しなければ仕事をする必要はありませんが、仕事を選べない人たちにとっては受けざるを得ないのです。
このような状況は、仕事の需要に対する労働者の供給過多が原因とされており、新たな貧困形態が創出されています。
ギグエコノミーが当然の時代にどう備えるか
以上がギグエコノミーと、インターネットを通じた働き方とその問題点についてでした。
今後ギグエコノミーが増えていくことが予想される中で、自分自身がどのような働き方を実現したいかを今一度、一人ひとりが考える必要があります。
これまで企業に属することが一般的だと考えていた人も、これを機会にギグエコノミーが当然の時代に向けてまずは考え方から変えていきませんか。