IDC、国内IoT向けエッジマイクロデータセンター数予測を発表 2021年に約4倍見込み

IoTでは、センサーやデバイスなどの端末の近くでデータを分散処理することによって、端末利用者に対して高いレスポンスでサービスを提供することができる。
端末近くでデータ処理することを、「エッジコンピューティング」と呼び、クラウドサービスによる中央処理とは別に、こうした分散処理システムを配備するメリットに注目が集まっているようだ。
IDCでは、エッジコンピューティングを行うシステムの設置場所を「エッジIT」と呼び、さらにエッジITの中でもユーザー固有の業務処理を行うために、独立したスペースやフロアを設けてサーバー、ストレージ、IoTゲートウェイ/ネットワーク機器などのICT機器を設置する設備を、「エッジマイクロデータセンター」と呼称している。
同調査では、「コネクテッドカー」「製造オペレーション(工場)」という2つのIoTユースケースについて、国内で設置されるエッジマイクロデータセンターの数を推定している。
出典:プレスリリース
2017年末時点の国内エッジマイクロデータセンターは1,037か所。
主に製造オペレーションにおけるIoTの試験導入や、実証実験のためのエッジ拠点がその多くを占めているとのこと。
また、2021年末になると4,354か所と約4倍に増加する見込みだ。
製造オペレーションだけでなく、コネクテッドカーのためのエッジ拠点も増加するからだと同社は述べている。
コネクテッドカーのエッジ拠点では、都市部や幹線道路における映像/音響コンテンツなどの自動車向け配信サービス、すなわちインフォテイメントへの利用が増加傾向となるようだ。
エッジマイクロデータセンターの1か所あたりの設備規模はまだ小さく、平均的にみるとサーバーラック1本に収納可能な程度にとどまるとのこと。
したがって、エッジマイクロデータセンターのための新たなサーバールームを建設する必要性は少なく、主に既設のサーバールームやデータセンターの空きスペースに設置すれば済む場合が多いと同社は予測する。
ただし、2021年以降のエッジマイクロデータセンターについてIDCのITサービスリサーチマネージャーである伊藤 未明氏は以下のように述べている。
「2021年以降はミッションクリティカルなエッジ処理が増える可能性が高く、電源システムや冷却システムの増強が必要になる場合も増えるだろう」
今回の発表の詳細は、IDCが発行する「2017年 国内DX指向型データセンターファシリティ動向:エッジコンピューティングおよびコグニティブ/AIシステム」記載されている。