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2018-01-23

働き方改革に本当に意味はあるのか | 実態と生産性停滞 - 事例に見る成功へのポイント

長時間労働の是正や非正規社員の待遇差改善、労働環境の整備を軸とした「働き方改革」実現に取り組んでいると思います。しかし、その実態は成果が見えないものであり、生産性も停滞したままです。その現実と事例から学べるポイントを紹介していきます。
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働き方改革は本当に成果をあげているのか?

長時間労働などによる過労や、それにともなう精神疾患などが社会問題となり、大きく報道されたことで「働き方改革」という言葉は、企業にとって切り離せないキーワードとなりました。

当然のことながら、あなたの企業でも「働き方改革」に取り組んでいると思いますが、一部を除いて大きな成果をあげているという声が聞こえてこないのが実態ではないでしょうか。

実際、働き方改革が語られる際にセットで言及される「労働生産性の向上」ですが、日本人の年間労働時間が年々減少しているにもかかわらず、1980年代以降、日本の労働生産性はOEDC加盟諸国中の20位前後に低迷しており、数字での効果も確認できない状況です。

ではなぜ、働き方改革は取り組みに対する成果を感じられないのでしょうか。

「働き方改革」とは

「職場の労働環境を整備し、生産性を向上させる」という意味においての働き方改革は、従来より各企業単位で行われていました。
言葉自体が広く知れ渡るようになったのは、政府主導で行われた「働き方改革実現会議」からだといえます。

安倍首相を議長に、経団連や連合が参加して開催された働き方改革実現会議では、最終的に以下のテーマが提示され、法整備を含め、順次実行に移されてきています。

  • 非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)
  • 賃金引き上げ/労働生産性向上
  • 長時間労働の是正
  • 転職・再就職支援・人材育成
  • テレワークなどの柔軟な働き方
  • 女性・若者が活躍できる環境整備
  • 高齢者の就業促進
  • 子育て・介護と仕事の両立
  • 外国人人材の受入れ

以下の記事では、働き方改革についてさらに詳しく解説しています。

働き方改革とは?多様な価値観や生き方を反映した新しい労働環境への取り組み | ボクシルマガジン
2016年9月に総理官邸で第1回「働き方改革実現会議」が開催され、日本における働き方改革に関する政策の検討が始まり...

医師の働き方改革に緊急対策案

こうした状況のなか、厚生労働省では新たに医師の働き方改革に関しての緊急対策案を推進することも決定しています。

これは「服薬の指導」や「検査の説明」などの業務を、看護師に任せていくとするもので、すべての職種で最も長時間労働の割合が多いといわれている、医師の労働時間短縮を目指したものです。

また、女性医師への柔軟な働き方推進も盛り込まれており、全国の病院に対して速やかな実施を求めていくとされています。

長時間労働是正の現実

このように、政府主導の働き方改革では「長時間労働の是正」「柔軟な働き方」「非正規雇用の処遇改善」「賃金引き上げ・労働生産性向上」の4つが大きな柱となっており、実際に対策を行う企業側でも、これらを認識していると思われます。

しかし、多くの企業ではこれらのテーマが「残業をなくす」「仕事の効率をあげる」ということに落とし込むだけになっているのが現実でしょう。

つまり「定時で社内を消灯」「PCを定時で強制終了」「業務の明確化による細分化」などを具体策として実行する企業が多くなっているのです。

これがもたらすのは「サービス残業の増加」であり「収入の減少」「部署間のコミュニケーション分断」、それによって社員のモチベーションが下がることによる「労働生産性の低下」です。

こうした事態が起こっている理由には、働き方改革を「だれのために、何のために行うのか」というその本質が理解されないまま、政府の指針にしたがっているだけ、という構図があることが考えられるでしょう。

働き方改革実行計画とは | 9つのテーマに沿った政府改革案 | ボクシルマガジン
働き方改革実行計画とは、労働参加率向上、労働生産性向上、非正規の待遇改善、ワークライフバランス実現などを目的に、政...

日本の労働生産性はなぜ低いのか

それでは、働き方改革が政府主導で推進されるようになったのはなぜでしょうか。
働き方改革実現会議のメンバーを見ても理解できるように、テーマの選定は間違っていないとしても、現場の労働者の意見が十分に吸い上げられたうえで、具体策が推進されているとはいえません。

国際的に低迷する日本の労働生産性を向上させ、国際競争力を維持する、という点に焦点が合わされているようにも思えます。

しかし、ここでいう国際社会での労働生産性は、一般的に活用される労働生産性とは少し意味合いが異なっているのです。

物的・付加価値労働生産性

一般的に、生産性とは「生産物」を生み出すために、どのくらいの「リソース」が投じられたかの比率を表すものです。投入されたリソースが少ない、もしくは生産物の価値が高いと、高い生産性を示すようになります。

これを労働に当てはめたものが労働生産性であり、生み出す生産物が「物的」なものなのか「付加価値」なのかによって「物的労働生産性」「付加価値労働生産性」の2つに分けられます。

それぞれの数値は、生産量・付加価値額を労働量で割ることによって算出可能です。この労働生産性を向上させるには「生産物の価値を高める」「付加価値を高める」ことを目指しつつ、「業務効率化」「経営効率の改善」などで投入コストを抑えていく必要があります。

国際社会での「日本の労働生産性」

これに対して、国際社会での「日本の労働生産性」を算出するケースでは、GDP(国内総生産)が生産物の基準となります。

つまり、「日本の労働生産性=GDP/就業者数」、または「就業者数×労働時間」となり、「1人あたりのGDP」を表していることになります。

GDPを付加価値だと捉えるならば、この算出方法は日本全体の労働生産性を表すのに適当だといえ、実際、現実とそれほど剥離した結果にはなりませんが、この数値が国際社会のなかで低迷しているのです。

「日本の労働生産性」には産業構造も関係

しかし、冒頭でも触れたように日本人の労働時間が減少傾向にあるなか、労働生産性の低迷はバブル期を含めてOEDC諸国20位前後と、常に低迷した状態にあるのです。

これには「生産量の減少」と「付加価値を高められない」という現実のほかに、就業者の定義に、4割にもおよぶ非正規雇用が含まれることによる「賃金上昇の低迷」や「付加価値の低いサービス業が多い」という、雇用事情や産業構造も関係していると思われます。

もちろん、さらなる業務効率化などによって労働生産性を向上させる余地はあるかもしれません。
しかし、働き方改革を成功させるのは、個々の企業や労働者のみの努力でどうにかなるものでもない、ということがいえるでしょう。

残業がなくならない構造とは

このように、雇用事情や産業構造と関連する「日本の労働生産性低迷」は、働き方改革で課題となる「長時間労働」とも密接に関係してきます。

長時間労働の企業は生産性が低い

一般的に、生産性の低い企業ほど長時間労働になりがちな構造を持っているといえます。

つまり、付加価値を生産物に転嫁できないため仕事の単価が安くなりがちであり、利益が確保できないため人件費を捻出できないことから、多くの社員を雇用できなくなります。

これが「担当者一人あたりの仕事量増加」をもたらし、結果的に「長時間労働」せざるを得なくなるのです。長時間労働を是正するためのインターバル制度については以下の記事をご覧ください。

インターバル制度とは | 長時間労働を是正するその効果と必要性 | ボクシルマガジン
インターバル制度とは、勤務終業から次の始業まで一定の休息時間を設けるもので、これにより長時間労働を是正して労働時間...

雇用構造とシステム

これは、多くの企業が当然のように行ってきた「新卒一括採用」に象徴される、日本の雇用構造とも関係します。

新卒一括採用がもたらすことは、人材を育てながら業務を遂行していくことであり、そのため「人に仕事を割り振る」ことが業務の基本となります。

これは新たなビジネスモデルの創出などで仕事を創りだし、創出した「仕事に人を割り当てる」という構造を持つ、アメリカなどとは対照的だといえます。

新卒一括採用とは | メリット・デメリット・問題点・見直しは必要か? | ボクシルマガジン
近年では新卒一括採用に対する見直しが始まりました。海外から見たら実に特殊である日本独自の雇用慣行である新卒一括採用...

仕事の絶対量

さらに日本の場合、人材育成という名目のもと頻繁な配置替えや出向、転勤などが行われており、担当する業務の境界が曖昧になりがちです。これが一人あたりが担当する仕事の絶対量増加につながり、労働時間と残業が増えていくことになるのです。

実際、企業・労働者双方を対象にしたアンケートでは、「仕事量が多い」「クライアントからの急ぎ案件が多い」などが、残業理由の多数を占めており、上司の力量不足によるマネジメントの問題や、まわりが残業しているから帰れないなどは、10%以下にとどまっています。

働き方改革を成功させるには

ここまで、働き方改革に関する実態や、労働生産性低迷の要因、それが長時間労働におよぼす影響などを解説してきました。

本来の意味での働き方改革を実現するためには、政府の掲げるテーマすべてを含め、統合的に抜本的に企業の経済活動改革を行っていく、という心構えと決意が必要なことがわかります。

そのために重要となるポイントを検証してみましょう。

業務プロセスの効率化

バブル崩壊後の経済低迷期を含め、長い間取り組まれてきた業務プロセスの効率化ですが、欧米のビジネスパーソンから見れば、まだまだ合理化できる部分が多そうです。

その一例として、報告中心の会議やだれも読まない報告書の提出義務、承認までのプロセスやルールの複雑さなどが挙げられますが、これは上述した日本の雇用構造にも関係していそうです。
企業全体で業務の棚卸しを真剣に行うと同時に、構造改革にも着手していく必要があるでしょう。

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効率化ツールへの投資

旧来の業務手法に慣れ親しんだ経営層に顕著ですが、業務を効率化するソフトウェアなどのツール導入を疑問視している傾向が伺えます。

確かに、こういったツールは直接利益を生み出さない場合が多く、投資に見合う効果を定量化しづらい面がありますが、それを人手による長時間労働で解決できると考えているのであれば、それはナンセンスでしょう。業務を効率化するツールが、最終的にどのような効果を生み出すのか、粘り強く訴えかけることのできる、キーマンの存在が必要かもしれません。

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時間管理を含めた意識改革

上述した2つのポイントにも関連しますが、日本人には「何よりも時間が大切だ」という意識が薄い面が見られます。時間管理の意識を強く持つことで、ムダなこと、意味のないことは排除する方向に進み、結果的に合理化への道が開かれることになります。

この意識改革の部分は、企業側、労働者側双方にとって一番大きな課題であるといえるでしょう。

ダイバーシティ推進

長時間労働を排除し、労働生産性を向上させるためには、アウトプットされる「物的」「付加価値」を高めていく必要があります。

これを実現するためには、多様な考え方を受け入れるダイバーシティを推進していく必要があり、それが有効に機能する、あらゆる意見を受け入れる労働環境整備が重要となります。

日本の大企業から、真のイノベーションが起こらないといわれているのは、これが実現されていないためだともいえ、雇用構造から考え直していく時期に来ているのかもしれません。

企業トップの明確なビジョン

これらのことを考え合わせ、本来の意味での働き方改革を実行していくのに、経営トップによる主導は欠かせないポイントになります。

対処療法のように問題解決を行うのではなく、明確なビジョンを掲げ、それを実現していくために、何を実行すればいいのかを指し示す、強いリーダーシップが求められるのです。

サイボウズの働き方改革

働き方改革に成功事例を求める際、よく取り上げられる企業の一つにサイボウズがあります。

具体的な施策と、それによる効果にばかり目がいきがちですが、実はサイボウズの働き方改革が成功した大きな要因に、代表自らが問題意識を持っていたということがあり、経営のあり方と直結した改革が行われているのが大きな特徴といえます。

同社のWebでも特集されているその内容を、ポイントを押さえて紹介してみましょう。

参考:働き方改革は「楽しければ成功、楽しくなければ失敗」

多様性にあわせた斬新な制度

kintoneやOffice10などのグループウェア開発で知られるサイボウズは、2006年前後から自社の働き方改革を進めています。

社員が自分にあった働き方を選択できる「選択型人事制度」や、同社での仕事を復業とする人材を募集する「復業採用」など、多様な働き方を実現する数々の制度を実施しています。

代表である青野氏は、近年「夫婦別姓」を訴えていることでも知られており、その姿勢から、働き方だけでない、人々の多様性を求め、そして認めていることが伺えます。

きっかけは離職率の高さ

こうした姿勢持つ同氏が、自社の働き方改革を行うきっかけとなったのは「社員の離職率の高さ」でした。

この状況が意味するところは「何かが問題になっているのが理由」だと考え、すべての社員から要望を聞き出すことを開始、できることから実現していくことになったのです。

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包み隠さずいえる文化

働き方改革を実現させていく過程で、青野氏自身が提案を行うこともあったようですが、あえなく却下されることも多く、社員の多様性を制度に反映させていくのと同時に、代表であっても包み隠さず意見のいえる、オープンな文化も醸成されていきました。

これは新たなビジネスモデルや、新サービスを生み出す際の大きな原動力となっており、多様性の重視が付加価値の向上につながっている一例といえるでしょう。

ビジョンと理念だけが残る

こうした多様性を受け入れ、個々に自由な働き方を許容するうえで、見失ってはいけないものが「ビジョン」と「理念」であり、ここが明確になっていないと企業はバラバラになってしまうとも青野氏は発言しています。

多くの大企業では、この部分が末端まで浸透していないケースが多く、真の働き方改革を実現するうえでのヒントとなるのかもしれません。

働き方改革は経営改革と同義語

サイボウズの事例からも、真の意味での働き方改革を実現していくのは、経営改革を構造から行っていくのと同義語であることがわかります。

顧客の嗜好が多様化し、市場の変化が激しくなっている現代では、時代のニーズに則したビジネスモデルの変革が避けられないものであり、これを実行していくことが、結果的に働き方改革につながっていくのかもしれません。

場当たり的な対処療法では、時間の経過とともに、なし崩し的にもとの状態に戻ってしまうことも考えられ、企業を構成する全社員とともに、経営トップの意識改革が期待される状況だといえるでしょう。

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