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2018-01-25

テレワークへの変革はどう進むのか | 運用事例に学ぶ経営戦略の重要性

自宅での在宅勤務やサテライトオフィス・モバイルワークを活用するテレワーク推進が叫ばれていますが、その普及は停滞しているのが現状です。その理由はどこにあるのか?成功へのポイントは?運用事例から見る経営戦略の重要性について解説します。
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テレワークとは

テレワークとは、時間や場所を問わない柔軟な働き方のことを意味し、離れた場所という意味の「Tele」と、働く「Work」を組み合わせた造語です。

インターネットを中心としたネットワークインフラの高速化を基盤に、コンピューターやモバイルデバイスを活用して業務を行うワークスタイルとなりますが、その歴史は意外に古く、1970年代にアメリカで進められた在宅勤務が起源とされています。

テレワークの3つの主な種類

主に仕事をする場所やワークスタイルによって、テレワークはいくつかの種類に分類できます。

  • 在宅勤務自宅で仕事を行う
  • サテライトオフィス本社以外に用意されたワーキングスペースで仕事を行う
  • モバイルワーク:移動中営業先などで仕事を行う

このように、テレワークを採用することにより、なんらかの事情で出社が難しい従業員を在宅で勤務させたり、これらを組み合わせたりすることによって、業務の効率化を図れます。

雇用型と自営型

テレワークを行う労働者をテレワーカーと呼びますが、このワークスタイルは企業に属する人材が行う雇用型とは別に、自営型として個人が仕事を行う際にも有効な手法です。

その種類は雇用型と同様ですが、自営型では以下のように呼称が異なるケースが多くなります。

  • 在宅勤務に対して「在宅ワーク」
  • サテライトオフィスに対して共有型オフィスによる「SOHO
  • モバイルワークに対して「ノマドワーク

個人事業主が自宅をSOHOとするケースもありますが、フリーランサーが在宅ワークを行う場合と区別されることも多いようです。

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働き方改革でのテレワーク推進

上述したように、テレワークは業務効率化やワークライフバランスに優れた柔軟な働き方が可能というメリットがあり、働き方改革の柱として推進されています。

具体的には、2020年までに「週1日以上終日在宅勤務を行う雇用型在宅テレワーカーを、全労働者の10%まで拡大」という目標が掲げられており、制度の採用企業も2012年比で3倍増が目指されています。

以下の記事では、メリット・デメリットを含めてより詳しくテレワークを解説しています。

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テレワーク普及はなぜ停滞しているのか

しかし、2009年まで順調に伸びていたテレワーク採用企業の比率は、2012年には減少に転じてしまい、近年ようやく増加傾向にはあるものの、普及が進んでいるとはいえないのが現状です。

その現状と理由を調査結果から見てみましょう。

テレワーク採用企業は14.2%?

下図は、国土交通省が就業者40,000人のサンプルを対象に行った、2016年度のWeb調査結果をグラフ化したものであり、それぞれ「テレワーク制度を採用している企業の割合」と「採用の有無による制度の利用実態」を表しています。

出典:国土交通省 平成28年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果の概要

これによると、テレワーク採用企業の比率は「制度自体は認められていないが容認」「トライアル」を含めても14.2%にとどまっており、総務省発表による2009年の採用比率19.0%にも届いていないのが現状です。

反面、制度が採用されているケースでのテレワーク利用者は、全体の半数を超えており、従業員側に好評な一方、企業側の慎重な姿勢が伺えます。

テレワークをしない理由とは

逆にいうと、半数に近い従業員が「制度があるにもかかわらずテレワークを行っていない」ことにもなります。下図は、その理由をグラフ化したものです。

出典:国土交通省 平成28年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果の概要

テレワークを行わない理由で、もっとも多かったのは「仕事内容がなじまない」ですが、「手続きが煩雑」「他の従業員に気兼ねする」の合計がそれに匹敵するほどの割合となっており、組織内の事情や調和を重視する傾向が見られます。

テレワークを採用しない理由

それでは、85%にもおよぶ企業がテレワークを採用しない理由には、どのようなものがあるのでしょうか。

下図は、企業の人事担当者を対象とした調査結果をグラフ化したものであり、テレワークを採用しない理由を複数回答で得たものです。

出典:エンジャパン 人事担当者に聞く「テレワーク」実態調査

ここでも「仕事内容が適していない」という回答がもっとも多くなっていますが、「必要性を感じない」「勤怠管理・評価が困難」「取引先対応」を課題とする回答も多くなっており、テレワークのメリットや意義を疑問視している傾向が大きいともいえるでしょう。

テレワークとダイバーシティ

このような傾向が大きくなるのは、テレワーク推進がワークライフバランスの改善のみに焦点があわされている、ということが要因として挙げられるのではないでしょうか。

テレワーク推進に関連して話題とされる言葉に、多様な価値観を持つ人材を受け入れる「ダイバーシティ」がありますが、これらは本来、セットで推進されるべきものであるにもかかわらず、多くの企業で「別プロジェクト」として扱われていることからも推察できます。

つまり、多くの企業で目的が明確にされないまま、ワークスタイルとしての「テレワーク」を採用したことにより、デメリット面ばかりが顕在化し、結果、効果が確認できないまま採用中止になってしまったのが現状ではないかと思われます。

しかし、採用中止もしくは採用検討までにもいたらない企業があるなか、テレワークによって大きな効果を得ている企業も存在します。その違いはどこにあるのでしょうか。

IBMのテレワーク運用事例

コンピューター関連製品・サービスの提供を行うIBMでは、全従業員を対象としたテレワークが標準化されていますが、世界170か国に拠点を持つ業界の巨人であるがゆえに、そこにいたるまでにはさまざまな紆余曲折が存在していました。

「One IBM」という構造改革

1990年代以降、コンピューター関連の状況激変により、IBMは業績不振に見舞われ、2度に渡る大規模な構造改革を実施してきました。

そのひとつが、世界各国のビジネスプロセスを統合する「One IBM」であり、グローバルに加速する、ビジネスの競争環境変化に対応することでした。

この結果、直接会ったことのない各国従業員と業務を進めていく必要が生じ、時差の関係を含め、従来のように会社に出社するという業務形態が実態にそぐわなくなってきたのです。

コミュニケーションツール強化

こうした実態に対し、IBMは「勤務時間・場所に柔軟性を確保する」ことで対応を決定、企業の目的に則したワークスタイル変革を実施します。

これを円滑に実現するために行われたのは、コミュニケーションツールの強化と活用です。IBMが活用しているツールは、具体的には以下のとおりです。

これらは、従業員全員が日常的に使用できるように整備されています。

働く場所の整備

これと同時に進められたのが「働く場所の整備」です。

在宅勤務やモバイルワークでの課題解消はもちろんのこと、サテライトオフィスの整備と同時に、本社オフィスのフリーアドレス化(専用のデスクを持たず、自由な席で仕事を行う)も進められ、全従業員に公平な利用機会が与えられました。

また「フレックスタイム制」「裁量勤務制度」「e-ワーク制度」「ホームオフィス制度」などの勤務制度を整備、従業員個々の業務内容によって、柔軟に選択することを可能としたのです。

求められる自己管理

結果的にテレワークというワークスタイルへ移行したIBMですが、効率的で自由な働き方が実現する一方で、当然、従業員自身の自己管理も求められ、きちんと結果を出すことが必須となります。

しかし、IBMではこうした働き方はすっかり定着しており、経験の浅い人材には、それを浸透させるためのコーチングにも尽力しているそうです。

こうした成功の要因としては、経営陣を含めた全従業員が「企業をよりよくしていくためにはどうしたらよいか」という考えが最優先されていることが挙げられ、それを実現するための効率的な手段として、業務改善を行ってきた結果がテレワークなのだといえるでしょう。

ネットワンシステムズのテレワーク運用事例

ネットワーク基盤の設計・構築・運用を行う、国内最大手のネットワーク・インテグレーターであるネットワンシステムズでも、2011年から全従業員を対象としたテレワーク制度を採用、2016年には、日本テレワーク協会が行う「テレワーク推進賞」の奨励賞を受賞しています。

経営戦略としてのテレワーク導入

ネットワンシステムズでは、業務における明確なメリットを見いだしたうえで「ICTを活用したワークスタイル変革」を経営戦略とし、テレワーク推進を実施するようになるます。

テレワークが定着した現在では、残業抑制、ペーパーレス化、出張・移動費削減など、定量化可能な効果が確認できているほか、コミュニケーションの質・量が高まる、女性従業員の出産・子育てからの復職が早いなど、数字に表れないプラス面が大きいということです。

フリーアドレスオフィスへ転換

ポイントとなったのは、適用範囲を全従業員としたこと、モバイルワークやフレックスタイムの導入など、勤務スタイルの選択肢を増やしたことであり、他のスタッフに気兼ねなく柔軟な働き方が可能になったことです。

また、勤務制度の整理とポジティブなメッセージによる意識改革を行うと同時に、オフィス移転を機にフリーアドレス化を行い、環境整備面でも従業員のモチベーションを高めていきました。

ツールを最大限活用したコミュニケーション

懸念された従業員間のコミュニケーションでは、応答可能状況が可視化されるプレゼンスを利用することによって、従来以上に最適な意思疎通が可能となり、ビデオ会議やチャット、電話を使い分け、質・量ともに効率的なコミュニケーションも実現しています。

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ワンオンワン面談促進

テレワークで懸念されるもうひとつの課題、従業員の評価に関して、ネットワンシステムズではどのように解決しているのでしょうか。これは3か月ごとに管理職によって行われるワンオンワン面談を促進することによって解決されています。

この場で目標設定や能力開発、キャリアプランなどを話し合えるほか、これを促進することによって、管理職自身のコミュニケーション強化にも役立っており、組織全体のつながりを強化することにつながっています。


その他、働き方改革を実行して成功した企業の例は以下からご覧ください。

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テレワークへの変革成功のカギ

上記で紹介した企業は、どちらも情報通信関連を業務としており、テレワークとの相性がよいという側面を持っていたのかもしれません。

しかし、両者の運用事例には共通する点も多く、テレワーク成功へのカギが隠されているともいえるでしょう。

明確な企業戦略と目的

すでに解説したように、多くの企業ではテレワークをひとつの側面でしか捉えていない傾向があり、「なぜテレワークを採用するのか」という目的が明確にされておらず、企業戦略とも直結していないといえます。

つまり、テレワークは働き方のひとつであるに過ぎず、ワークスタイル変革を前提に経営戦略を変えていくのは無理があるということです。

もちろん、従業員のワークライフバランス改善を経営戦略とする、という選択肢もあるかもしれませんが、あくまでも企業が生き残っていくうえで、業務改善を行った結果がテレワークである、というスタンスが必要なのではないでしょうか。

コミュニケーションツールの活用

企業がテレワーク採用を中止するデメリットのひとつに、従業員間でのコミュニケーション不足が挙げられます。

しかし、複数のツールを活用することによって、これを克服しているのが両社の特徴でもあり、有効な活用法を模索してくことがテレワーク成功のポイントともいえるでしょう。

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勤務制度を含めた環境整備

テレワークを採用しない理由でも挙げられていましたが、従業員の勤怠管理や評価が困難だということも、企業が二の足を踏む要因です。

また、従業員側でも他のスタッフに気兼ねする、などが制度を利用しない要因になっていますが、これらも対象を全従業員とする、勤務制度の整備を行うなどで解決できる課題だといえます。

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全従業員の意識改革

こうした変化を推進していくためには、経営陣を含め、企業を形成する全従業員の意識改革が必要となります。

これは経営戦略と直結した認識の共有を前提に、なぜテレワーク推進が必要になるのか、そのために何が必要になるのかを、すべての関係者が考えていくことが重要です。

真の働き方改革をもたらすテレワーク

あらゆる企業にデジタルトランスフォーメーションが求められ、競争の激化する市場を生き抜いていくことが必要となる現在、自社が生み出す製品やサービスにどのような「付加価値」を与えられるかは、企業にとって重要な意味を持っているといえるでしょう。

これを実現していくためには、従来の価値観とは異なる新たな視点が必要となり、そのためダイバーシティが注目されているのだともいえます。

こうした多様な価値観を受け入れるには、テレワークをセットにして考える必要があることは上述したとおりであり、分離して考えるべきでないことはもちろん、これによって自社の経営戦略を市場変化にあわせていく必要もあるのです。

企業の進むべき方向がどうあるべきか、これを前提にテレワーク推進が行われるようになれば、それは真の意味での働き方改革を実現するものなのかもしれません。

テレワークを含めて、働き方改革を成功させたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

働き方改革に本当に意味はあるのか | 実態と生産性停滞 - 事例に見る成功へのポイント | ボクシルマガジン
長時間労働の是正や非正規社員の待遇差改善、労働環境の整備を軸とした「働き方改革」実現に取り組んでいると思います。し...

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