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データクレンジングとは?進め方やメリット、ツールのおすすめ

最終更新日:(記事の情報は現在から505日前のものです)
データクレンジング(data cleansing)は、日本語に訳すとデータを調整や整理することです。そんなデータクレンジングの進め方やメリット、おすすめのツールを紹介。データクリーニングや名寄せとの違いも解説します。

データクレンジングとは

データクレンジングは、データベースの各種データのうち、不正確なデータや無関係なデータを整理・標準化し、スムーズに活用できるよう調整することをさします。

不正確なデータとは、次のような表記が微妙に異なるもののことです。

  • 正式名称と通称
  • 俗称の混同
  • 全角・半角の違い
  • 名前の異体字の間違い
  • 住所の表記方法の違い

データクレンジングでは、このように回答者によって粒度の異なるデータを、一定の基準にもとづいて修正・削除します。

データクレンジングの必要性

データクレンジングがなされていないと、検索しても出てこなかったり重複して抽出されてしまったりします。そのためSFACRMMAツールといったデータを大量に利用する各種ツールで、重複して営業をかけたりメール送信をもらしたりしかねません。

データクレンジングをすることで、企業データの一貫性・信頼性・価値の向上につながり、全体的な品質向上にもつなげられます。また、これらの重複したデータはダーティーデータと呼ばれ、企業にとっては大きなコスト負担にもつながります。

企業が扱うデータは年々増加しており、データクレンジングは急務だといえるでしょう。

データクリーニングとの違い

データクレンジングとデータクリーニングに違いはありません。英語の意味からみてもデータクレンジングのcleanseは「清める」、データクリーニングのcleanは日本語に訳すと「掃除する」であり、ほぼ同義です。

名寄せとの違い

データクレンジングはデータの表記ゆれや粒度を調整するのに対して、名寄せは複数のデータ元から一つのデータベースに集約します。

データクレンジングの中に名寄せを含ませるケースもあるものの、大半の場合はデータを整えるのがデータクレンジング、まとめるのが名寄せといった形で使い分けしているでしょう。

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データクレンジングの流れ・進め方

データクレンジングの具体的な進め方を解説します。なお、データクレンジングの方法は実施する企業ごとに違うことがほとんどのため、一例として捉えるようにしてください。

1. 各種データの取り込み

まずデータを取り込む必要があります。これまで運用してきたWordやExcel、Googleスプレッドシートなどのファイルや、CSVやXMLファイル、あるいはログファイルなどのさまざま形式のファイルを整理・整形するために、いったんデータベースに取り込んでください。

一つのデータベースにまとめることで、これまで把握できていなかったデータ同士の関連性が得られるようにもなります。

これまで別々の場所で個別に管理していたデータは、相互の関係性が希薄です。なんの処置も施さずに統合すると、大きな不具合が生じることや、データの質が著しく低下する恐れがあります。そのため、データの取り込みには一定の配慮が必要です。

2. 一定の基準にしたがってデータの整形

取り込んだデータは、一定の基準にしたがって整形していきましょう。

たとえば複数登録されてしまっている同一企業名を一つの企業名に統一(名寄せ)したり、個人名を姓名に分離したりします。また旧町名や合併前の表記になっている旧住所を新住所へ変更といった、細かいクレンジング処理を加えていきます。

とくに数値情報は全角表記だと数値として認識できず計算ができないため、必ず数値として変換しましょう。Excelの場合、表記ゆれの統一はPHONETIC関数やSUBSTITUTE関数、数値の変換にはIF関数を使うのが便利です。Excelのデータクレンジングに関しては、総務省から手順書が公開されているため、こちらも参考にしてください。

その後同一のテーブル項目の結合や、データ分析に適した形に分割するなどの処理を施していきます。これによってさまざまなデータ分析が可能になり、データ運用のスピードや精度が向上します。

3. データを活用するために整理し直す

次にデータを整理します。クレンジング処理を施したデータは、販促活動や受注活動に活用できるようにするために、一定のルールのもとで抽出してリスト化していきます。データは上述の処理によって一元化されているため、そのまま必要に応じて販促活動や顧客フォロー用のリストとして活用しましょう。

厳密に言えばこれはクレンジング後の処理ですが、最終的に有用なデータとして活用していくためには、後々どういう使い方をするのかを考えて整形処理を施さなくてはなりません。

データクレンジングのメリット

概要を説明したところで、データクレンジングをするメリットについて説明します。

分析精度の改善

データクレンジングの最大のメリットとして挙げられるのは、分析精度の改善です。データクレンジングを行う場合の主な目的は、顧客管理システムにおける各種データの形式を統一・整理し、顧客管理作業の効率を高めることにあります。

事実、顧客データベースをもとにしたマーケティングを実施するためには、定期的なデータクレンジングは必要不可欠です。

データ形式の違うものを統一したり、別々の場所で管理していたデータを統合したりする際に起こる不整合や、単純な入力ミスによる質の低下を改善し、汎用性が高くスムーズなデータ運用を実現します。

生産性の向上

また、データの最適化は企業全体の生産性も向上させられます。

近年は、新規顧客の獲得が難しく、多くの企業は既存顧客の収益向上に力点を置くようになっています。そうなると、顧客にしっかりとフォローアップをするためのフォーマット化された顧客データが必要です。

また、労働時間を適正化するためにも、データの逐次修正といった無駄な作業を減らして労働生産性を向上したいニーズがあります。そういった企業のパフォーマンスの向上にも、データクレンジング技術は寄与します。

開発費と保守費の削減

データクレンジングは、開発費や保守費などコスト面でも大きなメリットがあります。誤ったデータやバラバラなフォーマットのデータ蓄積は、無駄な運用コストを発生させるだけでなく、顧客との継続的なつながりの維持を困難にしてしまいます。

たとえば、既存顧客へのアプローチにDMを使う企業は多いですが、データに不具合があるために顧客宛の書類が届かなかったり、届け先を間違えてしまったりすれば、顧客に不信感をもたれる原因となるでしょう。

しかしデータクレンジングを行うことで、日ごろの入力ミスや誤表記によって生じたデータの不備の修正や標準化処理を施し、貴重な顧客データの精度を高められます

質の高い顧客分析やCRMを実現

データクレンジングを行うことで、精度の高い顧客分析やCRMが実現可能となります。企業の扱う各種データのなかには、かなりの頻度で重複データや住所の不備、普通の電話回線データなどが存在するものです。

これらのデータの修正を行うことで、ミスのない正確な顧客アプローチができるようになり、継続的な利益につなげられるようになります。また、自社のターゲットの適合する顧客の絞り込みを行う際にも、無駄な費用や時間的コストを削減可能になります。

なお、顧客分析やCRMについては、次の記事で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。

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データクレンジングにはツールの導入がおすすめ

このようにメリットが多いデータクレンジングですが、これを手作業のみで行うのはあまりおすすめできません。前述したように、効率的に行うには関数といった知識が必要であり、今後も扱うデータの増加が予想される現代では、関数を使ったとしても膨大なデータを手作業のみでクレンジングするのは難しいからです。

加えて手作業で行うと、人的ミスを引き起こしやすくデータクレンジングを行う意味も無くなります。そのため、データクレンジングツールやRPAなどの導入がおすすめ。データクレンジングの作業を自動化させ、業務効率を向上させましょう。

また、ツールを導入する場合は効果を最大限に発揮できるよう、体制づくりを進めることも重要。データ入力の方法をマニュアル化、本社と支店のデータベースの統合なども同時に進めて、データをクリーンな状態に保てるようにしてください。

データクレンジングツールの選び方

データクレンジングツールを選ぶ際には、「企業情報の保有数」「保管可能な情報項目」「コスト」に注目して選ぶようにしましょう。

企業情報の保有数

データクレンジングツール・ソフトが保有している企業情報の数をチェックしましょう。データクレンジングツールは、正確な情報を精査するために、社内で独自の企業情報を保有しています。

保有している企業情報の数が多ければ多いほど、自動的に保管してくれます。最低でも100万件以上保有しているツールを選んでおくと安心です。

補完可能な情報項目

補完可能な項目をチェックしておきましょう。企業名・電話番号・住所のほかに、資本金や売上高など日ごろから使うことが多い項目が含まれていれば、データクレンジングがやりやすくなります。

コスト

データクレンジングツールは、フリーから有料のものまでさまざまです。データの量がそこまで多くなければ、フリーでも十分データクレンジングが可能です。コスト面が見合うか、よくシミュレーションしてみましょう。

データクレンジングツール5選

最後に、代表的なデータクレンジングツールをいくつか紹介しておきます。

FORCAS - 株式会社ユーザベース

FORCAS
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BOXIL SaaS AWARD 2021 Autumn マーケティング部門受賞
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ボクシルSaaSのデータを元に表示しています
提供企業様でご不明点がある方はこちら

  • 顧客データを自動で名寄せしデータクレンジングの手間を削減
  • 企業の属性に合わせた独自のキャンペーンで商談獲得率を改善
  • 有望な潜在顧客を発見し、インサイドセールスの生産性を向上

FORCASは、データ分析に基づいて有望な潜在顧客を発見し、戦略的なB2Bマーケティングの実現を強力にサポートしてくれるツールです。いわゆるABM(アカウントベースドマーケティング)の実行をサポートし、詳細なデータ分析を根拠とした説得力のある顧客アプローチを実現してくれます。

また、マーケティングオートメーション(MA)やSFAとの連携により、より効率的なリードナーチャリングのサポートも可能です。

ユーソナー(uSonar) - ユーソナー株式会社

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ボクシルSaaSのデータを元に表示しています
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  • 網羅率99.7%の事業所、拠点単位データ
  • 年間2,000万の企業情報項目をチェック、更新
  • 86項目の属性付与でより正確なターゲティングが可能

uSonarは、全国820万拠点の企業データベースを搭載した顧客データ統合プラットフォームです。搭載情報をもとに、企業が保有する顧客データやリードデータをデータクレンジング可能です。

有価証券報告書や企業ホームページなどの情報を収集し、年間2,000万の項目をチェック、更新しています。社名変更や合併、倒産情報、表記ゆれなど顧客情報の自動補正により、名寄せとデータクレンジングに対応します。

uSonar公式サイトより(2022年11月24日閲覧)

Talend Data Preparation

  • スクラビングにかけていた時間を本来の分析作業へ
  • データ使用の加速化を実現
  • 信頼できるセルフサービスアクセスを拡張

Talend Data Preparationは、組織全体でのデータの活用を推進してくれるデータクレンジングツールです。機械学習ベースのガイドとサンプリング技術を活用し、データ内のエラーをすばやく識別し、あらゆるサイズのデータセットに変更を適用できます。

データアナリストにとって、効率的でスピーディなデータクレンジングツールはいまや必要不可欠なツールです。短い時間で必要なデータをエクスポートすることが必要なアナリストにとっては、とくに強い味方となってくれるツールです。

Cloud Dataprep by Trifacta

  • ビジュアルな対話形式、使いやすさ
  • 迅速なデータ準備
  • フルマネージドで強力

Cloud Dataprep by Trifactaは、分析用の構造化データと非構造化データを視覚的に探索し、クレンジング処理ができるデータ処理サービスです。サーバーレスでどのような規模でも稼動でき、管理用のインフラを整える必要はありません。

数秒でデータを視覚的に探索して操作できる点は大きなメリットで、データの分布とパターンを瞬時に把握できるようになります。

Tableau Prep Builder

  • 直感的に理解できるインターフェース
  • スマートな機能で作業を迅速化
  • Tableau Desktop、Tableau Server、Tableau Online とのスムーズな共有機能

Tableau Prep Builderは、何度も繰り返し行うことになるスペルミスの修正や、エンティティの照合などの単純作業を強力に支援してくれるツールです。データ内のエラーや外れ値も自動で表示してくれます。

連携した3つのビューでデータの全体像がわかり、問題を修正すれば、すぐに結果を確認できます。面倒な単調作業にかかる時間を減らすことにより、データ分析により多くの時間がかけられるようになるでしょう。

データクレンジングを実践し、情報活用の効率化を図る

データクレンジングの基本的な考え方から、具体的なプロセスについて簡単に説明してきました。

ビジネスに積極的にデータを活用していきたいというニーズは増えています。しかし、そこで問題となるのが、分析に利用するデータの整備です。データクレンジングは未整備のデータをすぐに活用できるデータに変換するプロセスであり、ビジネスへのデータの活用を強力にバックアップしてくれます。

地味な作業に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にクレンジング前後のデータに触れてみることで、効果を実感できるでしょう。

データクレンジングと似た概念にETLが存在します。DWHBIツールを利用する際に登場する言葉で、似たような意味を持っているので合わせて確認すると理解が深まるでしょう。

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