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2018-05-25

今さら聞けない働き方改革とは?事例まとめ | 目的・課題・背景を簡単に解説

一億総活躍社会を目指す日本政府が提唱する働き方改革とは何か?企業事例をはじめ基本的な考え方から目的、課題などをまとめています。取り組みの背景、政府および日本企業、海外先進企業の事例を参考に、働き方改革を推進していきましょう。
書評経営者・経営幹部
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働き方改革とは何か?

「働き方改革実現会議」の開催(2016年9月26日内閣総理大臣決裁)がされてから一年以上が過ぎ、官公庁のみならず民間企業でも、その取り組みが多方面で推進されています。

そもそも「働き方改革」とは何か、政府や行政の施策、企業の取り組み、各組織の受けるメリットなどついて解説します。

政府の動き

「働き方改革実行計画」では、働く人の視点に立った働き方改革の意義、基本的な考え方が述べられています。

「日本経済再生」に向けて、「労働生産性」を改善する最良の手段が、働く人の視点に立った労働制度の抜本改革を行い、生産性向上の成果を働く人に分配することでること。これにより、賃金の上昇、需要の拡大を実現しようとしています。

また、雇用情勢が好転している中で、政労使が一体となって取り組んでいくことで、「スピードと実行」が中間層の厚みを増し、消費を押し上げ経済成長を早く実現できるとしています。

働き方改革実行計画とは | 9つのテーマに沿った政府改革案 | ボクシルマガジン
働き方改革実行計画とは、労働参加率向上、労働生産性向上、非正規の待遇改善、ワークライフバランス実現などを目的に、政...

一億総活躍社会とは

一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・ 家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」を目指すべく掲げられた目標です。

これを実現するには、多様な働き方を実現するとともに、中間層の厚みを増し、格差を是正しながら成長と分配の好循環を実現することが求められています


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働き方改革実現会議

「働き方改革実現会議 」は、総理が自ら議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まり、これまでよりレベルを上げて議論する場として10回の会議が開催されました。

内容は賃金、子育てとの両立、過労死に関することなど、幅広く議論されました。そして、「働き方改革実行計画(案)」(2017年3月28日)をとりまとめて終了となっています。

また、以下の記事では働き方改革実現会議についてより詳しく解説しています。

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労働生産性

「働き方改革」で一つの指標となる、労働生産性について正しく理解しておきましょう。

企業で問題にされる、労働生産性と国際的な比較で使われる労働生産性とでは、算出方法が異なります。

労働生産性は、次の式で計算することができます。

労働生産性=GDP/就業者数または(就業者数×労働時間)

購買力平価(PPP)換算になります。わかりやすく言えば「1人あたりGDP」です。

ただし、当該就業者数には、国外からの流入者は算入されないため、国外からの就労者の多い国の指標が高くなり、国外からの労働者の少ない日本は、比較的低い結果となってしまいます。

働き方改革がもたらす影響

働き方改革がもたらす影響はいくつかありますが、政府、企業、働く個々人の立場と労働人口の面から明らかにして行きましょう。

政府がかかげる目的

働き方改革の目的は、経済成長です。経済成長を通して、長期的に生活を豊かにすることを意図しています。政府は働き方改革の目的を次のように規定しています。

「アベノミクスの第2ステージでは、経済成長の隘路である少子高齢化に真正面から立ち向かう。広い意味での経済政策として、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くするという新たな経済社会システム創りに挑戦。」(内閣官房働き方改革実現推進室)

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企業が得るメリット

働き方改革の中心的命題である、労働生産性の向上は企業の収益改善に直結します。現在の売上高を少ない労働時間で実現できる施策を各企業とも懸命に模索中です。

その一つとして「副業容認」があります。残業が減った分、賃金低下を免れない労働者は別の「収入源」に頼らざるを得なくなります。

企業側は優秀な「人材を確保する」ことが必要です。優秀な人材であればあるほど、他企業からの誘いや会社を通さない形で直接仕事を依頼されるケースも多くなります。

「副業がダメなら会社を辞めよう?」と、より魅力的で自由度の高い会社に引き抜かれてしまうリスクを防げます。

以下の記事では副業の種類について解説しています。

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個人のメリット

働き方改革による、働く個々人のメリットは何でしょうか。それは、ワークライフバランスの実現です。

柔軟な勤務形態、在宅勤務などによって働く個々人としての時間が増え、私生活が充実します。子育てや介護などに時間を割くこともできるようになるでしょう。

家庭生活の充実は、働くうえで欠かせないモチベーションの維持・向上にもつながり、それによって生産性も高まります。

労働人口の増加

働き方改革による、労働力不足の解消には3つの対応策が考えられます。

  • 働き手を増やす
  • 出生率を上げて将来の働き手を増やす
  • 労働生産性を上げる

上記の2点は、労働人口増加の施策です。労働市場に参加していない女性や高齢者、障害者の雇用促進により増加させられます。

また、外国人労働者の雇用も課題です。これらの「量的拡大」と3番目の「質的拡大」によって、労働力不足の解消を目指しています。

働き方改革「5つの背景」

働き方改革が必要になった背景は、「団塊の世代」の高齢化で働き手が少なくなったことです。さらに「過労死」が話題にされる長時間労働、諸外国との比較による労働生産性の低さなどが要因です。

生産年齢人口の減少

「生産年齢人口」とは、簡単に言えば労働できる能力あるいは資格を持ちうる年齢層を指す言葉です。具体的には15~64歳の年齢層を指します。2016年に約7,600万人いた生産年齢人口は、2036年は6,200万人、2050年には5,000万人を割り込むと見込まれています。

外国人労働者

厚生労働省の発表によると、2017年10月末時点の外国人労働者数は127万8,670人です。外国人労働者の数は12年から急激に増加し5年間で約60万人増え、日本の雇用者総数の約2%を占める状況です。雇用事業所数も19万4,595か所と過去最高になっています。

テレワークの推進

テレワークとは、ICTを活用して時間と場所に束縛されない柔軟な働き方です。

テレワークが進めば、通勤をしなくても自宅やカフェで仕事をし、個々のライフスタイルに合わせた時間で柔軟に働くことが可能になります。効果としては、通勤時間や交通費などのコストカット、子育てや介護と仕事の両立、そして離職率低下による人材の確保などが期待できます。

また、以下の記事ではテレワークについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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正規雇用と非正規雇用

企業の正規雇用と非正規雇用の人が2016年に受け取った平均給与の差は315万円で、4年連続で差が広がっています。

人手不足などを背景に賃金水準が上がる中、正規と非正規の格差はますます拡大しており非正規社員の現状と格差を正確に理解しておく必要があります。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金の考え方は、 「正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用 労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」(首相官邸「同一労働同一賃金ガイドライン」)です。

わかりやすく言えば、同じ仕事をしているのであれば、どんな方にも同じ賃金を払うことです。同一労働同一賃金が実現されれば、非正規雇用者に経済的余裕が生まれ経済の活性化と、自分に合った働き方を選べます

働き方改革「3つの課題」

働き方改革の課題は何でしょうか。進んでいる企業とそうでない企業を比較すると、以下の4点が挙げられます。

意識の不足

「働き方改革」は企業にとって経営課題です。トップにこの意識がなく、ビジョンを持っていなければ社員は推進できません。また、トップが意識を持っていても、それを実行する社員に上手く伝わらなければ進みません。トップを含めた全社員の意識改革が第一歩です

経営層には数値的メリットを、社員には仕事が楽になることを「見える化」しなければなりません。

日本での評価の仕組み

効率的に仕事をこなしていても、毎日残業をしている人より給料が低いとモチベーションは下がります。この原因は、仕事の質より量で評価するという風習が残った人事評価制度です。

業務内容の可視化が進んでいない企業では、客観的評価軸が定まらないので「時間」評価のみに陥る悪しき傾向があります。最新のツールの利用などで質的評価など時間以外の評価の仕組みづくりも必要です

また、以下の記事では時間以外の評価の仕組みづくりに役立つクラウド人事評価システムを紹介しています。ぜひご覧ください。

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女性の労働環境

ダイバーシティが叫ばれ、社会的マイノリティの就業機会拡大の課題は労働力人口を増やすうえでも重要なことです。特に全人口の半分を占める女性の活躍が期待されています。

しかし現状では、出産や育児の関係で仕事を離れなければならないことが女性には多くあります。また職場復帰が叶わず、やむを得ず非正規雇用として働く割合も多いです。

社内保育施設の完備や男性の育児休暇の取得率向上、テレワークや在宅勤務の拡大などで女性が働きやすい環境整備が求めれています。

働き方改革の事例

「働き方改革」実現に役立つ企業事例5選をみてみましょう。外資では「イケア」「コストコ」、国内の著名な企業として「ソフトバンク」「ローソン」「リクルート」をピックアップします。

イケア・ジャパン

家具・インテリア・生活用品などの製造販売で世界で€364億(2016年)18万3千人が働くイケアの日本法人であるイケア・ジャパンでは2014年9月に新しい人事制度の運用が始まりました。

これにより、全社員を正社員へ転換し7割近くになるパートタイム労働者を「短時間勤務の正社員」へ転換が起こりました。また、同一労働同一賃金制度を導入し、職種ごとに仕事の内容や責任を持つ範囲が明文化され、仕事の内容が同一の場合に賃金は時給換算で算出されようになりました。

コストコホールセール・ジャパン

コストコは、米国シアトル発祥のウェアハウス・クラブ(会員制倉庫型卸売小売)チェーンです。創業は1976年で、日本には1998年に進出しました。現在の日本法人の従業員数はパートタイム・アルバイトを含めて、約8,500人です。

正社員とパートタイムを同じ「時給制」の下で処遇し、 「社内公募制度」でキャリアアップを図り、管理職の早期育成を実現しています。結果として社員は多様な働き方の選択肢によって、小売業の中でも低い離職率になっています。また、従業員の男女比率が半分、女性管理職の比率は3割前後にまであがっています。

ソフトバンク

2017年4月から働き方に関する3つの新施策を導入したソフトバンク。新制度導入には、「世の中の動き」と「事業の変化」がありました。

業務状況などに応じて始業時刻・終業時刻を日単位で変更できる「スーパーフレックス」、在宅勤務可能な回数を増加し対象となる社員の範囲も拡大した「在宅勤務の拡充・拡大」、自己成長機会への投資を目的に、全正社員に毎月1万円を給付する「Smart & Fun!支援金の給付」を実施しました。

2013年からの継続的な取り組みにより、2016年にかけて販管費率低減、業務工数30%減、残業削減20%などを実現できています。

ローソン

ローソンは、「ハッピーローソン保育園」を持ちます。2014年にコンビニ業界で初めて開設した事業所内保育施設です。

東洋大学によって開発された女性活躍を客観的に評価する指標「女性活躍インデックス」では、女性活躍企業の総合1位がローソンになっています。子育て支援への理解を含め、ダイバーシティ全体におよぶ研修を実施し、理解ある職場環境づくりを行っています。

男性の育児休職の取得促進も行い2016年度の取得率は80%まで上昇しました。ちなみに女性の取得率は100%です。

リクルートホールディングス

制度として従業員に平等な施策が用意されても、仕事の進め方や職場環境など、現場の個別具体的な問題を解決できなければ、活用は困難です。

グループ従業員数4万5,000名を擁するリクルートホールディングスでは、実際の失敗事例から改善をすすめ「個別最適化」のマネジメントを実施しています。

リクルートは、2016年から本格的にリモートワークを導入しました。リクルートが画期的なのは、リモートワークの対象者が、一部の社員だけでなく全社員であることです。社内に固定席を作らないフリーアドレス制導入で、社内勤務の社員でも相手の顔が見えないので、ビジネスチャットでやりとりすることとなり、在宅勤務者との垣根が無くなりました。

以下の記事では在宅勤務についてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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その他の働き方事例

本記事で紹介した企業以外にも、さまざま働き方改革の取り組みがあります。次の記事では、企業の働き方事例を紹介しています。

働き方改革事例4選 | 実現すべき具体的な取り組みと成功企業のポイント | ボクシルマガジン
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働き方の見直しが自分の生活を変える

仕事と生活の調和、ワークライフバランスが働き方改革の取り組みで実現されることが大切でしょう。労働環境の改善で過労死を生み出さない職場を作ることは企業だけでなく、政府にも大きな課題です。

いま、求められているのはワークライフバランスをとりながら、少子化の流れを変えて人口減少下でも多様な人材が仕事に就けることです。わが国の社会を持続可能で確かなものとするためには、働き方や生活に関するこれまでの考え方や制度の改革に挑戦する必要があるでしょう。

個々人の生活や、独身期、子育て期、中高年期、高齢期といったライフステージの各段階に応じて多様な働き方の選択を可能とし、仕事と生活の調和を実現しなければなりません。

働き方改革を単に労働生産性をあげるだけの取り組みにせず、仕事と生活を高い次元で両立させる取り組みにすることが肝心です

働き方改革での活用や人材不足の解決に!

働き方改革や人材不足の解決策として注目されているクラウドサービスについて知りたいという方もいるのではないでしょうか。

以下の記事では、クラウドサービスの人気カテゴリのシェア・市場調査の徹底解説や、無料トライアルありのサービス一覧をまとめています!
つねに最新版にアップデートしていますので、ぜひご覧ください。

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