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スタートアップにとってSaaSモデルはなぜ有効か?|BOXIL SaaS AWARD 2019 特集 Vol.6

スタートアップはなぜSaaSモデルを採用すべきか。本記事では「BOXIL SaaS AWARD 2019」で審査員を務めていただいた福井俊平氏に、SaaSに投資する理由、スタートアップにとってSaaSモデルの相性が良い理由、そして今後のSaaS業界のトレンドについて語っていただきました。
SaaS業界レポート by ボクシル
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Archetype Ventures, Managing Partner
福井 俊平 氏
2005年にNTT Data入社。企画営業を担当後、2008年の起業・会社経営を経て、2010 年よりPepperdine University MBA Programへ入学(Entrepreneurship専攻)。その間、ロサンゼルスのNPOにて映画祭“LA EigaFest”の立ち上げや、サンフランシスコのVCでのインターン経験を経て、2013年にアーキタイプベンチャーズの立ち上げ、B2B Tech特化型のファンドの組成・運営を行う。1号ファンド2号ファンド合わせて31社の投資支援を実施。

SaaSは課題解決の手段

SaaS領域への投資としては、5年前にオフライン・デジタル広告の効果分析SaaSを提供する「Xica」への投資からスタートしていて、これまでに20社以上に投資してきました。全体の投資支援実績としては31社ですので、3分の2以上がSaaSの要素を持ったスタートアップへの投資になります。

基本的には「どれだけ世の中の課題解決につながるか?」を見ていて、課題解決の手段としてSaaSのモデルがあり、SaaSだから投資しているのではなく結果としてSaaSへの投資が増えてきました。BtoB企業が抱える生産性向上をはじめとした課題をスタートアップが解決するためにはビジネスモデルとテクノロジーがポイントで、SaaSモデルはいずれも満たしているためです。

ビジネスモデルとテクノロジーによる課題解決

ビジネスモデルの観点では、継続課金型であることがSaaSの強みだと思っています。たとえば受託サービスの場合案件が終わるたびにリテンション活動が必要になり、契約の獲得・維持コストがとても高くなりますが、SaaSの場合は基本的に自動更新で継続課金されますのでコストを抑えられます。中長期的に顧客の課題解決をしていくために、資本力の小さいスタートアップにとって継続課金型でコストを抑えつつサービス改善に投資できるSaaSのモデルは非常に有効です。

テクノロジーの観点では、たとえばBtoB企業の意思決定やPDCAサイクルを効率的かつ高度に実行するためには、やはりデータが鍵になってきます。データを蓄積して、ディープラーニングなどの分析手法によって付加価値につなげていくというのはSaaSと相性がいいと思っていますし、だからこそDeep Tech×SaaSへの投資は多くなっています。

BOXIL SaaS AWARD 2018 表彰式のパネルディスカッションでSaaSモデルのメリットを語る

SaaSプロダクトに完成形無し

生産性向上はもちろんですが、SaaSはより良い未来をSaaS企業とユーザーが一緒になって実現していける部分に大きな価値があると思っています。「SaaSプロダクトに完成形無し」とよく言いますが、クラウドを通じて提供されるSaaSはオンプレミスと異なりどんどんアップデートされていきます。そのためユーザビリティや付加価値が高まっていきますし、そういったより良い未来を一緒につくるという思考を共有することが重要です。

また、SaaSはオンプレミスのような特定の企業のため、つまり1対1ではなく、より多くの企業のために1対Nの発想でサービスを進化させていきますので、SaaS企業として対Nの課題解決方法を定義し、そのベストプラクティスを提供できるところに価値があります。これはユーザーにとってSaaSを活用する大きな価値だと思います。

課題解決に向き合うイノベーターを表彰したい

やはり世の中の、より大きい課題をきっちり解決しているかという観点で表彰したいです。もちろん売上や会社の規模が大きいことは課題解決しているからこそだと思いますが、純粋に現時点で売上や会社規模が大きなSaaSを表彰したいわけではなく、しっかりと課題と向き合って解決しているSaaSを評価したいです。

SaaS市場はこれからますます盛り上がっていく市場で、これまではオンプレミスのリプレイスが中心でしたが、今後は既存のSaaSをより課題解決につながる新しいSaaSがリプレイスしていくことも起こり得ます。投資家として、こういった次なるイノベーターに期待したいと思っています。

地方企業賞として株式会社アトラエ「wevox」を表彰

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Deep TechとSaaSの組み合わせが増えていく

今後はクラウド上のソフトウェアとして完結するのではなく、たとえばハードウェアとソフトウェアを組み合わせることで課題解決を実現するSaaSが増えていくと思います。検査装置を例にとると、装置だけで完結するのではなく画像解析のソフトウェアがあるからこそ医療や製造の現場の課題を解決できるなどです。

このハードとソフトの組み合わせは一昨年ぐらいからトレンドになってきていて、すでに投資支援もしています。これまでに投資したサービスでは、オフィスのトイレにセンサーをつけて社員の体調分析・管理をサポートする「SYMAX」や車両にスティックを刺して動態管理を行う「Hacobu」があります。ハードが増える分ビジネスとしての難しさは上がりますがとても面白い領域だと思います。

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