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[PR] SaaS企業の持続的成長に欠かせない新規事業創出のノウハウとは - SCTX2019特集

最終更新日:(記事の情報は現在から1614日前のものです)
スマートキャンプ主催ITカンファレンス「SCTX2019」では、“SaaS×〇〇”をテーマにステージセッションを実施。SaaS×新規事業として「SaaS企業の持続的成長を実現する新規事業経営」を掲げたセッションでは、サイバーセキュリティクラウド代表の大野氏とUniposを提供するFringe81代表の田中氏をゲストに、新規事業経営や企業の持続的成長を可能にするポイントについて語り合った。

<登壇者>
大野暉氏
サイバーセキュリティクラウド代表取締役。1990年生まれ。早稲田大学卒業。16歳時より個人事業主として起業家人生をスタート。複数社の起業及び事業譲渡の後現職。Web上のサイバー攻撃を遮断する「攻撃遮断くん」やAIを活用したAWS WAF自動運用サービス「WafCharm」などのSaaSサービスを提供。

田中弦氏
1999年にソフトバンクに入社。後にブロード・キャストコムの立ち上げやネットイヤーグループの創業に参画。さらに広告関連の企業を数社経験した後、2005年にFringe81を創業し代表取締役に就任。マネジメントバイアウトを受け独立し、2017年6月に東証マザーズ上場とともに、従業員同士が小額の成果給を送り合う「Unipos」をリリースしている。

<モデレーター>
古橋智史
1988年生まれ。立教大学卒業。みずほ銀行に入行後2012年にSpeeeに入社し、SEOサービスの新規開拓営業にて年間売上1億円を達成。ネットマイルで事業立ち上げを経験し、2014年6月にスマートキャンプを設立、代表取締役に就任。

企業の持続的成長は多くの起業家の課題

起業後には、事業を持続的、継続的に成長させることが一つの課題となる。創業とともに立ち上げた一つのサービス、商品だけでは規模の拡大は見込めない。成長し続ける経営を望むのなら、どのような企業でも新規事業への挑戦が必要になる。

ゲストは自社開発で新規事業を創出しているサイバーセキュリティクラウドの代表・大野暉氏と、既存事業と異なる展開のサービス「Unipos」をリリースし急成長中のFringe81代表・田中弦氏。それにモデレーターのスマートキャンプ代表・古橋智史を加え、企業の持続的成長の肝となる新規事業経営の勘所を探った。

異なる角度から新規事業を創出している2社の取り組み

新規事業を立ち上げる際、既存事業を補完するように展開していくのか、全く異なる領域の事業にするのか悩むところだ。そういった点で、サイバーセキュリティクラウドとFringe81の事例は、新規事業立ち上げのロールモデルとして参考になるだろう。

WebサイトやWebサーバーへのサイバー攻撃を可視化して遮断するセキュリティクラウドサービス「攻撃遮断くん」を提供するサイバーセキュリティクラウド。攻撃遮断くんは、導入社数・導入サイト数で国内シェア1位を獲得している。

※出典:「クラウド型WAFサービス」に関する市場調査/2019年6月16日時点。 <ESP総研調べ>(2019年5月〜2019年6月調査)

同社は2つ目のプロダクトとして、同じくクラウド型のセキュリティサービス「WafCharm」をリリースした。これはAIによって「AWS WAF」のルールを自動で運用するサービスだ。同社は今後もサイバーセキュリティに関連したサービスを開発していく予定だという。

一方で、既存事業とは大きく異なる新規事業を立ち上げたのがFringe81だ。2017年に上場した企業で、アドテクノロジー関連の事業を展開していたが新たにSaaS事業を開始。社員同士で評価しあいインセンティブを送り合うピアボーナス®のサービス「Unipos」をリリースし、分社化した。

※「ピアボーナス®」はUnipos株式会社の商標です。商標権者から使用許諾を得ています。

Unipos以前から数多くの事業を生み出してきた代表の田中氏は、新規事業創出の重要性について次のように語った。

田中:Fringe81はこれまで年に1~2個のペースで新規事業創出に取り組んできました。やはり、新規事業作り続けていかなければ、継続的な成長は見込めないというのは実感としてあります。しかし、新規事業が必ずしも成功するという保証はなく、クローズした事業も数十におよびます。ただ、クローズしてしまう事業も最終的にはプラスの影響を与えてくれます。事業を走らせた組織が残る。また同じ組織で新しいことをやり続けていく。すると一つの文化が生まれます。そしてどんどん新規事業の立ち上がりがスムーズになるのです。

拡大するサイバーセキュリティ市場でニッチな領域を狙う

新規事業を創出し続けることが重要というが、新しいサービスを生み出す際には大きな労力がかかる。マーケットを見極めてアイデアを練り、形にしていくのは容易ではない。

2020年には20兆円を超える市場に成長する見込みのサイバーセキュリティ。すでに多くのサービスがリリースされ、世界中に競合があることからスタートアップにはリスクの高い分野にも思える。

このような中で、これからもサイバーセキュリティ―に関連したサービスを開発していく予定の大野氏は、1年に1つのペースで新規事業に取り組んでいるという。競合ひしめく分野の中で、どのようにして新たなビジネスを生み出しているのだろうか。

大野:“サイバーセキュリティ分野でスタートアップをやるのはリスクが高い”とは自分自身では感じていません。確かに市場規模が大きく競合も多いのですが、全体のマーケットを細かく見るとさまざまなレイヤーが存在していて、レイヤーによってはブルーオーシャンが存在している、というのが実感です。想像力を持ってニッチな領域に入れば、新規事業は創出できると考えています。競合が多いというのも実は利点で、異なる階層でサイバーセキュリティサービスを展開する大手と共創して、顧客をシェアすることも考えられます。

未成熟な市場では

一見レッドオーシャンに見える市場でも、深く探ればブルーオーシャンがある。リスクもあるが、市場が成熟しているためサービスを認知してもらいやすいというのは確かにメリットだ。

反対に、ほぼ競合がいない市場で新規事業を展開する際には、市場を成長させていく役割も担わなければならない。競合がない市場ではいわゆるファーストペンギンのメリットが享受できるものの、利益を生むまでにはマーケティングしかり、人件費しかり、多大な投資が必要となる。

そして投資のためには資金調達が欠かせない。新規事業を始める際、資金調達の面で苦労する企業は多い。とくに既存事業と新規事業の内容が異なる場合、上場企業においては大株主、機関投資家などへの説明責任が伴う。

ほぼ競合がおらず、市場も成熟していないピアボーナス®を新規事業として選んだFringe81の資金調達は順調だったのだろうか。

田中:上場からこれまで黒字決算で順調に推移していたこともあり、Uniposを開発する際の説明ではポジティブな反応が多かったです。新規事業で赤字を出しても、しっかりと説明を行えば受け入れてもらえるということがわかりました。たとえ赤字を出しても、これまでの事業への評価や上場したことで得られた信用力が下支えになるんだなと。Uniposに関しては、3年間のコミットメントラインで28億円の資金調達も果たしました。上場企業においても、新規事業創出というチャレンジを繰り返して勝負できるとわかったのは大きな収穫です。

新規事業を成功させるための組織づくり

既存の事業を回しながら新規事業を立ち上げるためには、適切な人員配置が欠かせない。新規事業にはどのようなメンバーをいつアサインすればよいのか迷うところだ。

サイバーセキュリティクラウドの大野氏は、自身とCTOが先頭に立って新規事業を進め、投資者や市場の動きを見つつ売り上げが出てきたタイミングでメンバーをアサインしていったという。代表がある程度の道筋を立ててからメンバーに渡すことで、大枠から外れることなく、かつ低コストで開発が進められるメリットがある。

一方、これまで数多くの事業を手掛けてきた田中氏は、「立案者を責任者に据えないほうがいい」と語る。いわく、さまざまなアイデアを取り込みながら事業を創っていく段階の中で、立案者が自身のアイデアにこだわりすぎてしまうきらいがあるのだそうだ。

それと同時に、「プロダクト愛が強い人を事業責任者に据えるとうまくいきやすい」ともいう。つまり田中氏は、自身がアイデアを出したわけではないけれど、プロダクトに愛着を持って取り組める人を責任者にアサインしたほうがよいとしているのだ。

組織の規模は何が正解?

新規事業に取り組むチームの規模も気になるところだ。大野氏は当初、自身とCTOの2人体制で事業を進めていた。人を増やせばそれだけコストがかかる。はじめはミニマムに、利益を見込める段階になってからメンバーを増やし成長していく方法は確かに効率的だ。

田中氏はUniposの立ち上げ当初は5名で、事業が伸びそうだと感じた時点で30名まで増やし、2019年9月現在では55名にまで拡大しているという。

田中:いくつも事業を立ち上げてきた中で、1億円程度の規模の事業がことごとく失敗したという経験から、Uniposに関しては大きく投資をしています。会社の柱となる事業をもう一つ作ろうと考えたとき、投資額が大きくなるのは仕方がないのかなと。ごく初期は小さく、ペイしそうになったら投資を惜しまないようにしています。

新規事業のプロモーション事例

新規事業の立ち上げ時にはプロモーションも重要。BtoBは企業において意思決定の権限を持つ層へのアプローチが必要であることから、BtoCに比べて圧倒的にプロモーションが難しい。

そうした層に商品やサービスを印象付ける手法としては、やはりタクシー広告が有用のようだ。

タクシー広告はBtoBに効果的

田中:企業の上層部の方は、いつでもSNSをチェックしているわけではありませんし、検索もほとんどしないためリスディング広告もあまりヒットしません。広告の面では本当に苦労しています。もしタクシー広告がなかったら、相当厳しかったかもしれません。


大野:タクシー広告は当社でも利用しています。販売につなげるというよりは、SNSでも話題に上る不正アクセスはWebからのサイバー攻撃なのだという事実を訴えて、認知の向上を図りました。最近では、経営者同士の会話の中でサイバーセキュリティのリスクを意識しているという言葉も聞こえるようになり、タクシー広告の効果を感じました。

オウンドメディアは短期決戦で

オウンドメディアでの戦略については、両者ともに「重要」と認識していて、さらに「短期決戦」がカギを握ると答えた。

大野氏は、啓もう活動で認知を高めつつ、セキュリティを担当している当事者が検索でサービスにたどり着くようにオウンドメディアを展開した。「オウンドメディアは開設初期に作り上げてしまうのがおすすめ」といい、「3か月でクオリティの高い記事を100本(制作する)」と具体例も示した。

Uniposも同様にオウンドメディアを活用しており、メディア運用初期の段階では田中氏が記事制作まで行っていたという。オウンドメディアを始めたことで、問い合わせからの商談もスムーズに進むようになった。ある程度記事が充実した今でも、さまざまな観点からの記事づくりを行っている。検索ニーズに応えるような記事や、導入事例などの記事をこまめにアップしているそうだ。

新規事業を「継続させる」ために

SaaSという業態上、導入企業に継続してサービスを提供するためにも、事業の成長と持続に向けて取り組み続ける必要がある。最後に、ゲストの2人に事業の持続的成長を考えるうえで大切にしていることは何か伺った。

大野:私はマーケットの動きを見る人と、現場の運用を行う人とははっきりと分けるべきと考えています。サイバーセキュリティ市場はマーケットの変化が速く、現場をこなしながら次に何を作ればよいのかを考えるのは難しいでしょう。領域を分けて、それぞれが責任をもって取り組むことが大切だと考えています。また、2018年ごろからSaaS市場の伸びを大きく感じています。他社でも事業をどうSaaS化するのかを考えて動いているのではないでしょうか。当社でも、これから同様のSaaSサービスをあといくつくれるのかを考えているところです。


田中:事業の継承について考えることも重要ではないでしょうか。代表がいなくても成長していける会社は一つの理想です。そして代表が不在でも成長できる会社であるためには文化が必要で、文化を作り浸透させる、根付かせることで持続的成長が見込めるようになると考えています。もう一つ、新規事業の創出が目的になってしまい、最終的に持続的成長の部分がおろそかになってしまうケースも見られます。新規事業創出はあくまでも企業の持続的成長のための手段ということを忘れずにいたいものです。


どんな企業でも、新規事業を創出し成長させ続けるのには困難を伴う。競合が多いからといって決してマイナスではなく、サイバーセキュリティクラウドのように、ニッチなマーケットを狙う利点がある。一方で、未成熟市場に切り込んだUniposは、別事業の創出で培った「信用」で資金調達の壁を乗り越えた。

そして、立ち上げ時は「立案者ではなくプロダクト愛が強い人を責任者にすべき」という示唆。事業のフェーズにあわせて組織規模も拡大していくわけだが、どこかで大きくステップアップするタイミングがありそうだ。

立ち上げ、グロース、継続、そして継承。SaaSという業態上避けて通れない「(サービスや企業を)続ける」という課題には、やはり明確な答えはない。新規事業を立ち上げることではなく、企業を持続的に成長させることこそが本来の目的であることを、忘れてはならない。

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