男性社員の育児休業取得率100%達成、積水ハウスが「イクメン白書」発表

公開日:
2019年9月19日、積水ハウスが同日を「育休を考える日」と記念日制定して「イクメンフォーラム2019」を開催した。同社は男性の育児休業取得率100%達成企業で、全国の小学生以下の子どもを持つ一般の20代〜50代の男女9,400人を対象とした調査を実施し「イクメン白書」も発表した。
総務・人事

積水ハウスの「イクメン休業」制度

住宅メーカー大手の積水ハウスが、「男性の育休完全取得」を宣言したのは2018年9月のことだった。3歳未満の子どもをもつ全社員を対象に、子どもが3歳になるまでに育休を1か月以上取得する「イクメン休業」制度を開始した。

きっかけは、仲井社長がスマートタウン見学で訪れたスウェーデンの首都ストックホルムで見かけた光景「ラテ・ダッド」。育児にいそしむ男性が、子どもと一緒に公園へ行く前に喫茶店で一息つく姿のことだ。

積水ハウスは、「『わが家』を世界一幸せな場所にする」を掲げている。仲井社長は、平日昼間の公園でベビーカーを押している方のほとんどが男性、という光景に衝撃を受けると同時に、「お客さまに幸せを提供するためには社員も幸せであるべき」だと考えたという。

「自分の仕事がわが子にとって誇れるものかを考えるようになった。わが社の社員が幸せにならなければ、お客さまに幸せを提供することはできない」(仲井社長)

1年の取り組みを経て、同社は男性社員の育児休業取得率100%を達成した。男性の育休取得率がわずか6.16%の日本において驚異的な数値だ。

積水ハウスは、9月19日を「育休を考える日」と記念日制定。同日、産官学で考える「イクンフォーラム2019」を開催して、全国の小学生以下の子どもを持つ一般の20代〜50代の男女9,400人を対象とした調査結果をまとめた「イクメン白書」も発表した。

「育休を考える日」登録証を授与された積水ハウス仲井社長

「イクメン白書2019」の概要・トピックス

イクメン白書2019」では、全国47都道府県の小学生以下の子どもを持つ一般の20代〜50代の男女9,400人を対象として調査が行われた。

調査で測定した「イクメン力」には、4つの指標を設けた。(1)配偶者評価(夫が行う家事・育児の数、夫はイクメンと思うか)、(2)育休取得日数、(3)家事育児時間、(4)家事育児参加幸福感。

イクメン力の都道府県ランキングでは、1位「島根県」205点、2位「沖縄県」194点、3位「鳥取県」180点という結果だった。

「イクメン白書 2019」より

また同調査では、男性の育休制度に8割が賛成するも、実際に取得するとなると男女ともにやや消極的であることも判明。

「イクメン白書 2019」より

育児休業中の給料・手当や、業務の調整、直属の上長による理解・サポートなどが、男性の育休取得推進に欠かせないことが浮き彫りとなった。

「イクメン白書 2019」より

男性の育休取得は「ボウリングの一番ピン」

「イクメンフォーラム2019」有識者パネルディスカッションで積水ハウス 執行役員 ダイバーシティ推進部長 伊藤みどり氏は、「イクメン休業」の取り組みを振り返り、支店長の中では反対する方もいたと吐露。

「イクメンフォーラム2019」登壇者 左から積水ハウス執行役員伊藤みどり氏、NPO法人ファザーリング・ジャパン安藤哲也氏、積水ハウス代表取締役社長仲井嘉浩氏、中央大学ビジネススクール大学院戦略経営研究科准教授高村 静氏、厚生労働省雇用環境・均等局 職業生活両立課長尾田進氏

イクメン休業対象者の中には、支店長も含まれたし、組織におけるリーダー層や"稼ぎ頭"も少なくなかった。「店長がいないと売り上げが落ちるのでは」という不安の声が上がったという。

顧客との打ち合わせが土日に行われることが多いという業務特性にも触れ、「担当者が育休で顧客に迷惑をかけたら顧客理解を得られない」という思い込みがあったことも明らかにした。

「まず、店長が先に休業取得しました。すると、他部署連携しないとだめだ、部下に権限を委譲しよう、と仕事のやり方が変わっていったのです。店長代理を支えようと部下たちも頑張る。新しいリーダー像を若手が見ていくとことも、希望につながる。イクメン休業制度は、組織を強くするという面で好影響が多く、売上も落ちないどころか前年比を上回る店舗もあり、反対していた支店長もいまではイクメン休業は素晴らしいと言ってくれています」(伊藤氏)

事前に休業取得計画書を作成し、担当者代理の設定、他部署との連携、顧客説明まで組織一丸となって行った結果、危惧していた顧客の理解も得られた。「家族を大事にしない人からは買いたくない」と、顧客が自ら有給を取得して打ち合わせを行い、同社男性社員の育児休業取得を応援してくれるケースもあったという。

モデレーターを務めたNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏は、「男性の育休取得は、ボウリングの一番ピンだ」と指摘する。

男性が家事育児に参加することで、家族が円満になり、職場の生産性が上がり、社会全体として子供を産み育てられる、また女性が安心して仕事を続けられる環境が整っていく。

2025年以降は「大介護時代」が待ち受けている日本。男性の育児休業取得に取り組むことは、採用に有利だなど目先の効果よりも、さまざまな事情を抱えた人のマネジメント、本当に強い組織づくりのトレーニングになるのではないだろうか。

この記事が良かったら、いいね!をしてください!最新情報をお届けします!
御社のサービスを
ボクシルに掲載しませんか?
月間1000万PV
掲載社数3,000
商談発生60,000件以上
この記事とあわせて読まれている記事