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オクト×SmartHR - SaaSベンチャーを支える人材の選択「SaaS企業の急成長を支える最初の100人」

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ALL STAR SAAS CONFERENCE TOKYO2019が、11月7日に開催された。「SaaS企業の急成長を支える最初の100人」のセッションでは、オクトの稲田氏、SmartHRの宮田氏を迎え、それぞれの「最初の100人」までのステップと人材戦略について語り合った。

<登壇者>
稲田 武夫氏 オクト 代表取締役
リクルートにて人事・開発・新規事業開発に従事。2014年オクト設立、「現場監督や職人さんの働くを幸せにしたい」という思いで、施工管理クラウドANDPADを開発。1,600社を超える建築企業様が利用する業界特化型SaaSに成長。日々全国の施工現場のIT化と向き合っている。

宮田 昇始氏 SmartHR 代表取締役CEO
2013年に株式会社KUFU(現SmartHR)を創業。2015年に自身の闘病経験をもとにしたクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を公開。利用企業数は公開後4年で30,000社を突破。2019年にはシリーズCラウンドで海外投資家などから62億円の資金調達。

<モデレーター>
前田ヒロ氏 ALL STAR SAAS FANDマネージングパートナー
2010年にスタートアップの育成プログラム「Open Network Lab」をデジタルガレージ、カカクコムと共同設立。のちに、BEENOSのインキュベーション本部長、東南アジアなどを拠点とする「BEENEXT」を設立し、世界のスタートアップ100社以上に投資を実行。2019年SaaSベンチャーに特化した投資と支援行うALL STAR SAAS FUNDを設立。

SaaS企業には多くの人材が必要

SaaS事業を推進するためには、多くの人材を採用しなければならない。SaaSサービスには、システムの開発担当はもちろん、プロダクトの管理者やマーケティング、営業、カスタマーサクセス、カスタマーサポートなど、それぞれスキルを持った担当者の力が不可欠だからだ。

とはいえ、創業当初から数十人規模を雇用するのは現実的ではない。少人数から段階を踏んでスタッフを増やすことになるだろう。SaaS業界で急成長をとげている企業は、創業からどのようにして人材を確保してきたのだろうか。

建築現場のプロジェクト管理ソフトウェアANDPADを提供するオクト代表の稲田氏と、クラウド人事労務ソフトSmartHRを提供するSmartHR代表の宮田氏が、「最初の100人」までの採用と拡大する組織の中で見えてきた課題について語り合った。

最初の10人を採用した当時の動きは

前田:まずはお2人に、最初の10人の採用基準についてお聞きします。

稲田:最初の10人のほとんどは友人でした。この10人はまさに「今の会社を作り上げたメンバー」で、現在でも中核スタッフとして活躍してくれています。

宮田:創業から最初の10人の採用については、特に基準は設けていませんでした。「開発力が足りない」となればエンジニアを、「引き合いが増えた」となれば営業をというように、いわゆるリファラル採用で集めたメンバーです。価値観を理解している人や実力のある友人を巻き込んでいきました。職種としては、エンジニアに注力していました。

前田:当時、代表としてどのような業務に取り組んでいましたか?

稲田:平日の昼間は営業をして、夜や土日はプロダクトマネージャーとして動いていました。毎週土曜はエンジニアを集めて、週ごとに出た要望を整理するという感じでした。

宮田:創業当時は私と共同創業者の内藤の2人だったので、共同創業者の内藤がコードを書いて、それ以外は私が担当するという状況でした。10名まで増えた時点で、プロダクトはスタッフに任せて、私は営業とマーケティングを主に担当していました。

前田:宮田さんのように、SaaSで初期段階からプロダクトを任せてしまうケースは珍しいです。思い入れの強いプロダクトを「安心して任せられる人材」とはどのような方だったのでしょう。

宮田:共同創業者の内藤と、入社当時から抜群の設計力と巻き込み力を発揮していた現CTOの芹澤、当社に来るまでは人事労務を15年ほど担当していたドメインエキスパートの副島、「この3人がいればプロダクトは安心」だと感じプロダクトを離れました。

SaaSに欠かせないカスタマーサクセス、最初の1人は

前田:SaaS企業にとってカスタマーサクセスは重要な役割を担っています。最初のカスタマーサクセスの採用について教えてください。

宮田:当時、ヒロさんに「カスタマーサクセスが重要」といわれたのですが日本ではまだカスタマーサクセスという言葉が浸透しておらず、どのような仕事なのかを調べました。

その結果、セールスエンジニアやWebディレクターがカスタマーサクセスに向いているのではと感じて、Web制作会社の役員をしていた友人を採用しました。彼は役員でありながら自身も手を動かすWebディレクターのような仕事をしていたので、向いていると思い声をかけました。

稲田:現在サポート兼カスタマーサクセスを行っている社員が入社して、カスタマーサクセスにつながった形です。もともとオンライン英会話のCS対応をしていた方で、「ユーザーの満足度を高めて解約を低減させる」というスタンスで業務にあたってくれていました。

当初の営業担当の採用について

前田:営業についてはどうでしょう?

稲田:とにかく足を動かす仕事なので、順応性や行動力、キャッチアップ能力を重視しました。創業当初に採用したのは、元求人関連の営業の責任者として500名の部下を持っていた方です。

宮田:TechCrunch Tokyo 2015で最優秀賞を取った後、急にリードが100件ぐらい入ってまさに“猫の手も借りたい”状況になり、すぐ営業を採用しようとしました。採用したのは、SmartHRがまだ世に知られていない段階ですごく熱量のある文章を送ってくれた方がいたのを思い出して、すぐに連絡して採用しました。

組織拡大のターン - 25人に増えたメンバーの内訳と評価制度について

前田:スライドの従業員の内訳をみると、営業5人、エンジニア7~8人という部分は2社に共通していますが、大きく差が開いているのがマーケティング担当です。SmartHRは3.5人、一方オクトは0人だったとのこと。

宮田:はじめはオールマイティにマーケティング業務をしてくれる方を採用して、後に3名に増えたときに、オンライン広告担当、オウンドメディア担当、展示会などオフライン担当というように役割を分担しました。

稲田:当社の場合は、製造業ではオンラインに人がいないということもあり、マーケティングよりも営業に力を入れた結果、マーケティング担当が不在になった形です。

前田:組織が25人に拡大した当時、お2人はどのような業務にあたっていましたか?

宮田:COO(最高執行責任者)とCFO(最高財務責任者)のような仕事をしていました。私は、どちらかと言うとプロダクトの方が得意で、ビジネスに詳しい訳ではなく、不安を感じながら進んでいた記憶があります。

稲田:25人くらいの規模になった段階で、自分が営業をすることはほとんどなくなりました。当時は開発のプロダクトマネジメントと、資金調達関連の業務にあたっていました。

前田:25名になると一気に組織然としてくるところかと思います。評価制度は導入していましたか?

宮田:9名の頃から作り始めた評価制度を17名の頃にスタートさせました。実際に昇給・降給が発生したのが25名のタイミングです。後からでは導入しにくい評価制度を早めに入れたのは正解でした。

最初の50人に到達するとどのような変化が起こったのか

前田:最初の50人に到達して、組織はどのように変化しましたか?

宮田:私が兼務していたCOOとCFOを採用したことが一番大きな変化だったと思います。それまで私が感覚で行っていたことがCOOの加入でサイエンス寄りになりました。当時は全社員と毎月やっていた1on1ミーティングを入社してから日が浅いメンバーに絞ったのも50人規模のタイミングです。

稲田:当社では50人の段階で営業を増員しました。営業がオンボーディングを兼務していたこともあり、企画1人、インサイドセールスが1~2人、残り15人がフィールドセールスの合計18名体制になりました。社員4~5名ごとに1名のマネージャー、さらに上に営業部長を置いて、営業チームを階層的な組織にしたのもこの頃です。

組織が大きくなった分、中途で採用したメンバーがカルチャーに合わずに苦労したこともありました。

最初の100人、2社のメンバー構成にさらに大きな開きが

前田:いよいよ最初の100人。まずはSmartHRのメンバー構成を見ると、マーケティングが13名に増えていますが、マーケティング担当はどんな業務をしているのでしょうか?

宮田:マーケティングチームは、マーケ関連のデザインを担当するデザイナー3名と、他に分類できなかったメンバー2名を含めて13名で、純粋なマーケティングチームは8名でした。マネージャー1名、オンライン広告2人、展示会やテレビなどオフライン広告3人、オウンドメディア1人、広報1名。

100名規模になった段階で、プロダクトもPM(プロダクトマネージャー)を増員しました。25名規模の頃は専属のPMは必要ないという判断でした。それが70~80名規模になると、プロダクトの変化もあって一気に開発の難易度が増して、PMを入れないと回らなくなったという背景がありました。

前田:稲田さんのほうはやはり営業がかなり多いですね。これもオンボーディングを営業が兼務していることが関係しているのでしょうか。

稲田:そうですね。オンボーディングを兼務していることもありますし、営業にマーケティング的な考えと動きを任せているのも営業会社並みに営業担当が多い理由です。建築業界のSaaSは、業界の特徴から一般的なSaaSのマーケティング戦略とは大きく異なる点があります。

建築業界には、都道府県単位で経済圏やコミュニティが存在しているので、営業が「この圏内でどうマーケティングしていくのか」考えて、地域に特化した話題を提供するなどの工夫が必要です。そのため、当社では営業がマーケティングとオンボーディングも担当しています。

これからの課題について

前田:組織が拡大していく中で、お2人が苦労されたことはありますか?

稲田:今は商品を開発するためのプロダクトマネージャーが不足している状況です。開発生産性を向上させるために、プロダクトマネージャーがあと5~6名欲しいですね。

宮田:100人に到達した段階で、横の伝達が難しくなることを体感しました。たとえば、あるチームが課題解決のために邁進すると、他のチームに大きな負荷がかかる、別のチームにしわ寄せが行ってしまう。部署間の意思疎通が難しくなってしまう。結果、クオリティが保てなくなってしまうことがありました。

前田:こういった課題を解決するために、代表はどのような動きをしたらよいのでしょう。

稲田:100名規模になると、ある程度代表の手が空いてくるので、「どこかにほころびがないか」目を行き渡らせて、芽が小さいうちに課題を摘み取っていくことが必要だと考えます。

300人規模の組織を見据えて

前田:最後に、300人規模の組織づくりに向けて感じている課題やこれから着手したいことなどありますか?

宮田:新入社員へのオンボーディングがチームによって差があるので、そこの差をなくしていく必要があります。もう一つ、現在は職種に関係なく全体で同じ人事評価を採用していますが、職種ごとの評価制度が必要なのではと感じています。

稲田:エンジニアの人数が少ないうちは、建築業界を経験してきた営業に感化される形で、業界未経験者でも「課題解決のために何をするべきか」を考えて業務に取り組んでくれていました。現在、エンジニアやプロダクトが増えたことで、組織全体で業界への理解度、理解のスピードが落ちてきているのが気になります。これからは、プロダクトと営業のバランスを取って、組織全体で業界に高い理解度を持てるようにしていきたいです。

組織人数で変化する社内の課題を解決するために

2社ともに、最初の10人までは事業を回すための最低人数で最大効率化を目指しながら、スポット的に必要な人材を投入していたようだ。

25人、50人、100人と拡大する組織の中で、代表としての自身の役割の変化にも柔軟に対応しつつ、組織内の課題を解決するために尽力していかなければならない。創業当時と業務内容は変わっても、苦労や厳しさは同等か、それ以上になるだろう。

クライアントの課題解決を担うSaaS事業に取り組む企業の代表は、求められるプロダクトを開発してリリースするだけでなく、自社の急成長によって生まれる内部の課題とも向き合い続けていく必要がありそうだ。

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