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テレワーク率2割で推移、ツール慣れも人間関係構築が課題に - 苦悩する人事

最終更新日:(記事の情報は現在から1221日前のものです)
5月以降、テレワークの実施率は2割前後で安定してきました。課題は残るもののツール利用に慣れ、オンラインでの情報共有にもなじんできたとみられます。人材採用に向けた面接やオンボーディングもオンライン化が進んでいますが、職場の人間関係を構築することが難しく、注意が必要です。

働き方はオフィスから在宅、そしてハイブリッドへ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響によって、オフィス勤務からテレワーク(リモートワーク)活用の在宅勤務へ一気に移行した企業が多くみられました。ただし、在宅勤務だけでは、仕事がうまく回らなかったり、生産性が上がらなかったりする弊害も指摘されています。

そのため、テレワーク中心の勤務制度を整備する企業が現れる一方で、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせるハイブリッドワークの評価が高まっています

在宅勤務は定番化

企業で働く人の意識は現在どのような状況でしょうか。日本生産性本部が10月初旬に実施した最新調査「第3回 働く人の意識調査」から、在宅勤務を含むテレワークに関する部分をみていきましょう。

テレワーク実施率は2割で推移

日本生産性本部の調査によると、テレワークの実施率は18.9%でした。31.5%あった5月中旬の第1回調査からは大幅に低下したものの、7月初旬に行われた第2回の20.2%と大差ありません。

5月末に緊急事態宣言が解除され、在宅勤務からオフィス勤務へと回帰する動きがみられました。ただ、その後は2割前後で推移していて、日本でもテレワークが定着しつつあるようです。

テレワークの実施率推移 出典:日本生産性本部 / 第3回 働く人の意識調査

在宅勤務時の効率については、10.2%が「効率が上がった」、40.3%が「やや上がった」と回答していて、半分の人が効率向上を実感していました。満足度についても、23.7%が「満足している」、45.2%が「どちらかと言えば満足している」と答え、7割弱が満足とのことです。いずれも、5月から7月に大きく変化し、7月と10月は同様の傾向を示しました。

自宅での勤務で効率が上がったか 出典:日本生産性本部 / 第3回 働く人の意識調査

日本生産性本部は、「テレワークに適合した職種・業務担当者の選別は、ある程度完了」していて「テレワーカー自身もテレワーク実施日と出勤日のバランスを取るなど、働き方に慣れてきた」と分析しています。

課題は残るが、環境整備進む

テレワークが定着したといっても、実施率はまだ約20%と決して高くありません。実施可能な業務であっても、何らかの課題があって踏み切れていないと考えられます。

テレワーク実施に対する課題を尋ねたところ、上位の「Wi-Fiなど、通信環境の整備」(44.7%)、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」(41.8%)を挙げた人の割合は、以前の調査と同じく、改善されていない状況です。これら課題の解決は、在宅勤務する人の自宅環境に働きかける必要があるため、難しいのかもしれません。

これに対し、5月の調査で課題とする人がもっとも多かった「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」(48.8%)は、7月に35.6%、10月に30.8%と順調に割合が下がっています。

そのほか「Web会議などのテレワーク用ツールの使い勝手改善」にも、同じ低下傾向が現れました。これは、各企業のICT担当者が努力した成果なのでしょう。「押印の廃止や決済手続きのデジタル化」を課題に挙げる人が少なくなっていて、政府が強く推進するとしているデジタル化や押印廃止といった取り組みも、追い風になったと思われます。

また、「営業・取引先との連絡・意思疎通をネットでできるような環境整備」「上司・同僚との連絡・意思疎通を適切に行えるような制度・仕組み」「家事・育児負担を軽減する制度や仕組み、家族の協力」「仕事のオン・オフを切り分けがしやすい制度や仕組み」にも改善がみられます。勤務制度なども、テレワークに適した環境へ変わってきました。

セキュリティ対策や働き過ぎといった解決すべき課題は残っていますが、環境整備には進展がみられます。

テレワークの課題 出典:日本生産性本部 / 第3回 働く人の意識調査

採用面接もオンラインが定着

徐々にではありますが、職場のオンライン化、リモート化は着実に進んでいることが分かりました。新たに職場へ入る人の場合は、どうでしょうか。

オンライン面接は9割弱

求職者と企業の面接は、オンライン面接が定番となっています。以前紹介したある調査では、オンライン面接の実施率は9割弱に達していました。

オンライン面接は、3密を避けられるうえ、面接時の移動が不要になって距離の制約から解放され、企業と求職者の双方にとって好ましい仕組みです。メリットが多く、ニューノーマル時代に適していることもあり、面接のオンライン化率が高まるのも当然の結果でしょう。

オンボーディングもオンラインに

この調査によると、オファー面談・入社後に行われるオンボーディングのオンライン化も、一部移行を含めると約8割に達しています。

パーソルキャリアが実施した、オンボーディングに関する詳しい調査「コロナ禍における中途採用者のオンボーディング実態調査」によると、ボーディングをオンライン化した企業の割合は、「入社前のオフィス見学」が40%、「人事・採用担当者との面談(入社前)」が52%、「配属先上司との面談(入社前)」が45%といった具合でした。

COVID-19の影響でオンボーディングに「何かしらの変更を行った」という回答のなかで大きな割合を占めていて、多くの項目でもっとも選ばれることの多い対策となっています。

正社員の中途採用者のオンボーディングを変更・中止したか 出典:パーソルキャリア / コロナ禍における中途採用者のオンボーディング実態調査

最大の課題は人間関係の構築

とはいえ、オンライン面接に対しては「入社後のオンボーディング対応が難しくなった」という悩みも聞こえてきます。

職場経験が比較的短い若者のあいだでは、雑談などを介した社内コミュニケーション円滑化や、対面による定期的なフィードバックを期待する声があります。そうした理由から、ハイブリッド型の働き方が好まれるようです。

ニューノーマル時代は3密を避けるため、ビデオ会議やeラーニングといった多種多様なオンラインツールを使いこなすことが求められます。こうしたオンライン化は無駄な移動を排除できる長所がある一方、人間関係の構築に支障が出るかもしれません。特に、新入社員や中途入社する人など、ある程度の関係性ができあがった職場に飛び込まざるを得ない人にとっては、職場での関係構築は難しいでしょう。

テレワークにしろオンライン面接、オンライン化オンボーディングにしろ、実施率を高めつつ効果を高めるには、人間関係の構築を上手に促すことが最大の課題なのかもしれません。

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