家でもクラウド使ってる? 公私でコミュニケーションツールに差 - 企業利用から拡大するか
コロナがICT普及を促進
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、企業の活動や人々の生活を大きく変えました。そして、この変化に対応するため、多種多様なテクノロジーを使ってコミュニケーション不足を解消したり、移動制限の問題に対処したりしています。こうした動きは、特に企業において顕著でした。
これに対し、クラウドストレージサービスを提供しているDropbox Japanは、一般の消費者を含めて「コロナ禍におけるテクノロジー利用動向調査」を実施しました。厄介者の新型コロナウイルスですが、ICTの普及には一役買ったようです。
コミュニケーションへの不満に世代差
パンデミック以降に対人コミュニケーションで不便を感じたことがあるかどうか質問したところ、全体では18.4%が「ある」、33.1%が「ときどきある」と答え、過半数がコミュニケーションに不自由さを感じていました。
年代別と男女別でみると、不自由の感じ方には差があるようです。「ある」と「ときどきある」の合計が50.0%を超えていたのは以下のカテゴリーで、女性の多さが目立ちます。職業別では、多くの学生(68.4%)が不便を感じていました。
- 男性20代以下:54.1%
- 女性20代以下:67.1%
- 女性30代:57.7%
- 女性50代:50.6%
- 女性60代:57.5%
具体的に不便さを感じている項目は、外食や飲み会の減少、友人や知人、家族、親戚と会う機会の減少、人と知り合う機会の減少などが多く挙げられています。
ただし、こちらの集計結果も年代別と性別で傾向が異なっていて、女性は個人的なコミュニケーションが難しくなったと答える人が多いのに対し、男性は職場や取引先の人と会う機会が少なくなったという項目を選ぶ人が多くなりました。
コミュニケーション不足の対策は?
こうしたコミュニケーション不足を感じた人は、どのような対策をとったのでしょうか。「プライベートで行った対策」と「仕事で行った対策」に分けて尋ねたところ、主な対策は以下のような結果となり、プライベートと仕事で異なる傾向になりました。また、「特にない」という回答は、プライベートで24.6%と高く、仕事では47.5%もあって最多項目です。
●プライベートで行った対策
- コミュニケーションツール(LINEやSlackなど、各種メッセージングサービス):42.1%
- 電話:32.6%
- メール:25.9%
- ビデオ通話システム(ZoomやSkypeなど):18.4%
- オンライン飲み会や食事会:13.6%
●仕事で行った対策
- メール:27.1%
- ビデオ通話システム:25.4%
- コミュニケーションツール:21.8%
- 電話:18.8%
こちらも年代別、男女別で調べると、男性はコミュニケーションツール、メール、電話、ビデオ通話システムが全体に比べ多い状況です。
一方の女性は、仕事だと「特にない」という回答が多くみられます。プライベートだと、比較的若い世代はコミュニケーションツール、SNS、ビデオ通話システム、オンライン飲み会や食事会などの対策を活用していて、60代はメールと電話に集中していました。
学生はコミュニケーションツールとビデオ通話システムのほか、SNSを活用した人が多く、ほかのカテゴリとの違いが顕著に表れました。
コロナ禍でICTが再評価
年代や性別、職業によって活用しているツールの種類や活用度合いは異なりますが、プライベートでも仕事でも、ICTの利用が広がっているようです。
COVID-19パンデミック以降に意識がどう変化したか尋ねた質問に対しては、「スマートフォン、タブレット、パソコンなどのデバイスの便利さを改めて認識した」という回答が63.8%でもっとも多くなりました。特に、20代以下の女性は85.8%、学生は84.2%が、デバイスの利便性を再認識しています。コミュニケーション不足が、思わぬ結果をもたらしました。
家庭でのクラウド活用も当たり前に
ところが、ICTの活用は限定的で、仕事や生活のあらゆる場面で頼っている、というは状況でありません。
さまざまなデータをどのように保存しているか尋ねたところ、DropboxやGoogle Drive、iCloudといったクラウドストレージは写真や動画の保管でやや多くの人が利用している程度にとどまり、ほかの用途での活用は限られていました。今のところ、パソコン(45.9%)やスマートフォン(62.7%)に写真や動画を入れている人が多い状況です。
そこでDropbox Japanは、大切なデータを保管する際に重視する条件を調べました。すると「必要な時にいつでも保管した情報・データを閲覧・利用できる」(56.1%)および「長期にわたって保管できる」(55.8%)という、クラウドストレージと親和性の高い項目が重要視されていたといいます。
確かに、企業では以前からクラウドの利用が増えていて、そうしたメリットが評価されています。企業でクラウドを使い慣れ、その恩恵を実感した人は、プライベートでも活用しようと考えるでしょう。さらに、音楽や映像のストリーミング配信サービスを使う人が増え、PCやスマートフォンにデータを保存せず必要なときにオンデマンドでアクセスするというスタイルになれた人も大勢います。これも、クラウド普及を後押しします。
家庭向けのサービスであっても、これからクラウド対応が当たり前になりそうです。
※調査出典:Dropbox Japan「コロナ禍におけるテクノロジー利用動向調査」の結果を発表」2021/9/14確認