医療DXビジネスに一般企業が参入するためには? 「医療DXツール.com」運営の歯科医・柴田育さんに聞く
前回記事「なぜ今、医療DXが注目されるのか 医療SaaSプラットフォームを立ち上げた歯科医・柴田育さんに聞く」では、医療DXが医療従事者、患者双方にもたらすメリットや、普及が期待されるカテゴリーについて聞きました。
後編では、一般向けSaaSとの違い、今後の医療DXの展望などについて解説して頂きました。
医療向けSaaSと一般企業向けSaaSの違い
ー 医療用のSaaSと一般企業向けのSaaS、どんな違いはあるのでしょうか。
大きな違いは、対象とする事業所の規模と求められるサポートの2つだと思います。
1つ目の規模については、実は医療機関は「個人事業主」としての開業か、医療法人として開業するかの2通りがあります。もちろん一般人だと医療機関の開設はできません。医師や歯科医師、薬剤師など医療機関の開設できる資格のある者が、個人事業主として医療機関を開設します。
割合としては、クリニック(一般診療所)は約40%、歯科医院だと約80%が個人開業です。全体的に「個人事業主」の割合がかなり高いのです。(※厚生労働省 平成 29 年(2017) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 /表3 開設者別にみた施設数より)
個人事業主に対応しているか
しかしながら、一般企業向けSaaSは、「個人事業主」に対応していないものも多いはずです。まずはこのサービス対象への規模感が一般企業向けのSaaSとの大きな違いかと思います。
このため医療機関向けSaaSは、上場企業向け、中小企業向けというよりは、小規模な組織にも対応できるサービスでないとユーザー数を増やすのは難しいと考えられます。美容室や飲食店など店舗向けに強いSaaSは、医療機関にも相性が良さそうです。
医療機関にも色々なタイプがあり、保険診療のみ、自費診療のみ、診療科などと細分化され、業務内容も診療内容によって変わります。一般企業に比べると、規模が大きくはない割に多様であることも大きな違いです。
逆に言えば、これから参入する場合には、この部分こそ差別化しやすいポイントになりそうです。
「呼ばれたらすぐ行く」くらいのサポート
ー 求められるサポート体制も一般企業向けとは違うのでしょうか
そうなんです。最近はクラウド型の電子カルテやレセコンも増えてきました。個人事業主規模でも院内にサーバーを構築することもありますが、そういった規模だとITの専属部門はない場合の方が多いと予想されます。
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