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行政DX、マイナンバー、ガバメントクラウド 押さえておきたいデジタル庁の3つの重点施策

最終更新日:(記事の情報は現在から938日前のものです)
9月1日、菅首相肝いりのデジタル庁が発足しました。どんな施策を行い、暮らしや企業活動にはどんな影響があるのでしょうか。国がこれまで公表した資料から読み解きました。

デジタル社会形成の司令塔として、国のデジタル化を推進を図るデジタル庁が2021年9月1日、発足しました。新型コロナウイルス感染症への対策を講じるなかで浮き彫りになった行政のデジタル化の遅れを解消し、行政手続全般の迅速化が期待されます。

菅首相肝いりの新たな省庁は何を目指し、どういった方向性でデジタル化を図っていくのでしょうか。設立された背景やデジタル庁の役割、重点施策などを紹介します。
 

デジタル庁発足の背景は

出典:デジタル庁「デジタル庁設置法の概要」

デジタル庁発足が決まる前から、国はデジタル化を進めてきました。2000年に、全ての国民が情報通信技術を活用できる環境を整備することを目的としたe-Japan戦略を策定し、06年にはITの力で国民生活と産業競争力の向上を目指す「IT新改革戦略」を公表。

09年には、国民主役のデジタル社会実現に向けた将来ビション「i-Japan戦略2015」を打ち出し、13年には世界最先端IT国家創造宣言を発令し、デジタル国家創造に向けた指針を明確にしました。

しかしながら、IT推進の取り組みは停滞。2020年に発表された国際連合の「世界電子政府ランキング」では、14位に留まるなど、他国と比べてデジタル推進で遅れている実情が鮮明になっていたのです。

そんな中、昨年の新型コロナへの対応で、デジタル推進の遅れという課題がさまざまな形で明るみになりました。コロナ禍における地方自治体と省庁間の情報は錯綜し、種々の給付金の支給が遅延するといった問題が噴出しました。

政府はデジタル推進が遅れている要因の1つとして、推進役を担う内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の機能が弱く、関係省庁への影響力が限られていることがあると分析。地に足をつけた国・地方行政のデジタル化に取り組むために、デジタル庁を設立することになったのです。

デジタル庁は何をする?

出典:首相官邸「デジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会とりまとめ」

デジタル庁の第一の役割に挙げられるのが、各省庁でのデジタル化の推進です。IT総合戦略室とは異なり、デジタル庁は、勧告権など強力な総合調整機能を有し、全省庁横断的にデジタル化を進めます。13府省の中で、決裁文書の電子化率が低い防衛省や厚生労働省、法務省など、デジタル化が進まない省庁への強い働きかけが行われると考えられます。

デジタル・ガバナンス実行計画などに基づいた具体的な施策を打ち出すことも、大きな役割です。例えば、2021年4月時点で全国の交付枚数率が28.3%に留まるマイナンバー制度についても、同庁が業務を一元的に推進。これまでの担当省庁だった内閣官房と総務省に代わり、企画立案などを担います。

デジタル社会形成基本法とは

同庁は、これまでのIT基本法に代わる新法「デジタル社会形成基本法」に基づき、さまざまなデジタル制度の創設を図ります。具体的には、個人や法人を特定、識別するID制度や、情報とその発信者の真正性などを保証する認証制度を、各府省庁とともに企画・立案。また、人や法人、土地、建物、資格など社会の基本データを登録したデータベース「ベース・レジストリ」の整備と企画立案も行う方針です。

新型コロナ対応で課題だった国・地方行政のデジタル化も担います。総務省と連携し、地方自治体のデジタル基盤に関しては、全国規模のクラウド移行に向けて情報システムの統一・標準化に関する企画と総合調整を実行。政府全体の方針の策定と推進を担うほか、補助金の交付システムの統括、管理を行います。教育や医療、防災関係といった準公共部門のデジタル支援も行うとされています。
 

200人もの民間人を登用

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