ユニコーン企業も誕生! 未上場でも投資家から絶大な支持を得るHRテック企業とは?
前回記事「HRテック領域で上場企業が次々と誕生 カオナビ、ビジョナルなど注目5社の最新決算から成長度を読み解く」では、HRテックの領域で上場企業が続々誕生していることを理解していただくために、注目の5社を取り上げました。
今回も勢いのある上場4社をリストアップするとともに、未上場ではあるものの規格外の成長力を誇る企業をご紹介します。今までHRテックに注目されていなかった方も、これを機会に見方を大いに変えていただきたいと思っています。
代表的なHRテック企業の業績を読み解く
freee株式会社
同社は2012年の設立。資本金は100万円であったと、まさにスモールスタートでした。同社グループのミッションは、「スモールビジネスを、世界の主役に。」。中堅・中小企業の生産性が低いと言われる日本の課題を何とか解決したいという想いを持って2013年に「クラウド会計ソフトfreee」をリリースしました。こちらは、直感的なユーザー・インターフェースや帳簿の自動作成機能などが評価され、現在クラウド会計シェアではトップレベルのシェアを誇っています。
実は、同社はクラウド給与計算でも高いシェアを占めています。そのサービスが「freee人事労務」。給与計算や労務管理などの業務を効率化してくれると評判です。
東証マザーズに上場したのは2019年12月です。2021年6月期第三四半期連結累計期間における決算を見ると、売上高は約73億650万円(前年同期比49.5%)、経常損失が15億1300万円と赤字になりました。ただ、日本における会計や人事労務などの領域でのクラウドサービスの普及率は海外と比べてかなり低く、中長期的には利益構造が確立されていくと見込んでいます。
株式会社チームスピリット
チームスピリットは、1996年埼玉県北本市で設立された会社です。「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、勤怠管理・工数管理・経費精算などの機能を融合した働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を開発・提供しています。
同サービスの契約ライセンス数は31.3万、契約企業は1491社(いずれも、2021年5月末時点)と右肩上がりが続いており、同社の成長ぶりを物語っています。数年前に同社を取材で訪問したことがあるのですが、その時点でも担当者は「事業の拡大でオフィススペースを広げる予定です」と語っていました。
同社が東証マザーズに上場したのは、2018年8月です。2021年8月期第3四半期累計の連結業績を見ると、売上高は約21億5290万円(対前年比20.2%増)、経常利益が約2億260万円(対前年比15.2%減)という結果でした。
利益が伸び悩んだ理由としては、広告宣伝費や採用費の増加が上げられます。しかし、多様な働き方に伴って勤怠管理ニーズは高まっているうえ、安定性と成長性を実現できるサブスクリプション型の継続収益方式を採用しているので、このままの導入ペースが続けば、早々に利益を創出していけると思われます。
Fringe81
Fringe81は2012年11月の設立。「Reshape The World」というビジョンのもと、広告事業とSaaS事業の領域で様々なサービスを展開しています。
SaaS事業では「Unipos」というWEBサービスを提供しています。これは、従業員同士が「称賛のメッセージ」と「少額のインセンティブ」を送り合うことで組織内に称賛の文化を醸成していくというもの。エンゲージメントの向上や理念・行動指針の浸透などにつながるとあって、累計アカウント数は8万超、累計導入企業も536社(いずれも、2021年6月末時点)にまで拡大しています。
同社が東証マザーズに上場したのは、2017年6月。設立から5年にも満たないという驚異的なスピードでした。同社の業績を見ると、第9期(2021年3月期)の売上高は約19億6470万円、経常損失は約5億2800万円と残念ながら赤字でした。ただ、同社としてはサービスの認知度が向上してきたこともあって、負担の大きかった「Unipos」事業のマーケティングコストを大幅に削減するなどさまざまな取り組みを続けており、今後は広告事業が回復すれば黒字経営に移行できると予想しています。
未上場ながら時価総額がすごい企業がある
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