SaaS企業の96%がカスタマーサクセス投資を拡大 成果につながる数値目標は?
カスタマーサクセスに熱視線
何らかのサービスを使い続けてもらうには、顧客体験(CX)を常に改善し、顧客満足度(CS)を高める必要があります。この考え方自体は、目新しくありません。ただし、SaaSのようなサブスクリプション型サービスの利用がB2B市場で広まるとともに、CXだけでもCSだけでもない「カスタマーサクセス」という概念が重視されるようになりました。
カスタマーサクセスの目的は、顧客に寄り添って継続的かつ積極的にサポートすることで顧客を成功へと導き、顧客生涯価値(LTV)を最大化し、事業の収益を高めること。たとえば、カスタマーサポートの場合、顧客からの問い合わせに応える形で問題解決を図ります。一方のカスターサクセスでは、サービス提供側から顧客に働きかけ、課題解決や高い目標設定などを支援し、成功まで並走するイメージでしょうか。
売り切り型のソフトウェアと違い、サブスクリプション型サービスはCSの維持が重要です。サービスを導入しても効果に結びつかず、早い段階で解約されてしまうと、収益につながりません。
そのため、SaaS事業を手がける企業のあいだで、カスタマーサクセスに対する注目度が高まっています。
増えるカスタマーサクセス求人
カスタマーサクセスが注目されている事例の1つとして、営業人材の求人に関するデータをみてみましょう。
募集も応募も増加
転職サービス「doda」を手がけているパーソルキャリアの調査(※1)によると、dodaで「インサイドセールス」や「カスタマーサクセス」を目的とする営業職の募集が増加しているそうです。該当する求人の掲載数を2019年1月と2021年7月で比べたところ、約7.4倍に増えていました。
また、2021年7月時点でインサイドセールス/カスタマーサクセス営業職の1求人あたりの応募数は、営業職全体の1.3倍です。つまり、営業職を必要とする企業も目指す人材も、カスタマーサクセスというキーワードを意識するように変わって来ています。
※1 パーソルキャリア『転職サービス「doda」「”新しい時代に求められる営業職”に関する調査」を実施』
コロナ禍も影響
パーソルキャリアは変化の要因として、サブスクリプション型サービスへの転換が2019年ごろから加速し、SaaS系企業の成長が促進されたことで、インサイドセールスやカスタマーサクセスが重要視されるようになった、と考えています。
2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって、求人数は一時的に減りました。しかし、リモートワークで企業のSaaS導入が増え、非対面のオンライン商談も拡大しています。こうしたことから、カスタマーサクセスに対応可能な人材の求人が2020年9月ごろから急速に増えてた、としました。
この記事は会員限定です。 登録して続きをお読みください。
- 会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!