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HRテック第一人者「大企業こそ『2025年の崖』に落ちる」 プロスポーツ型人事を実現するには

最終更新日:(記事の情報は現在から1116日前のものです)
日本でも盛り上がりつつあるHRテック市場。しかし、この領域の第一人者である慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏は、「日本での取り組みは十分ではない」と語ります。日本企業におけるHRテックの現状と課題、さらなる活用に向けてアドバイスをお聞きしました。

【慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授 岩本隆氏】
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ(株)、日本ルーセント・テクノロジー(株)、ノキア・ジャパン(株)、(株)ドリームインキュベータを経て、2012年6月より現職。

大企業ではまだまだお試しレベル

―前回記事「【導入事例50件を分析】人事管理システムの導入目的と決め手となった理由とは? 意外な盲点も」では、人事管理システムの代表的なサービスベンダー8社(HRBrain、カオナビ、タレントパレット、ヒトマワリ、WiMS/SaaS人事考課システム、HRMOSタレントマネジメント、MINAGINE人事評価システム)の導入事例50社から、企業が得たメリットをランキングにしました。この結果をどう受け止めますか。

第1位:人事業務の効率化(27社)
第2位:適材適所の人材配置(12社)
第3位:戦略的な人材育成(11社)
第4位:従業員の納得度・意識向上(8社)
第5位:組織力の強化(4社)
第6位:ミスの削減(3社)
第6位:ペーパーレス化(3社)
第8位:コスト削減(2社)

岩本:この結果だけを見ると「メリットを実感している企業が多い」とか「割と上手く使えている」という印象です。ただ、実態としては「導入したけれどあまり使っていない」という話も良く聞きます。

大企業では通常、人事管理システムはそれぞれの業務領域に合わせて縦割りでオンプレミスなシステムが入っています。しかも、グループ会社もあるので、場合によっては10数社のシステムが入っていたりします。それを入れ替えるのはかなり難しいといえます。上記のようなクラウドサービスは、トライアル的な意味も含めてアドオンで使っているという会社がほとんどです。

一方、欧米の企業では人事管理システム全般をすべてクラウドで一元化しようとします。日本企業では、経営トップでもなかなかそんな意思決定ができず、クラウドはお試しレベルになってしまうのかもしれません。本質的な課題は解決されてはいませんが、それでも人事はクラウドサービス、特にタレントマネジメントシステムはだいぶ使いこなせるようになってきたのではと感じました。

企業の人材配置はプロスポーツ化

―そもそも、HRテックのメリットはどこにあるとお考えですか。

岩本:データの活用ができることです。今までは活用というよりも、記録に重きが置かれていました。

2010年代に入り、人事のデータを活用することで、人材のパフォーマンスを最大化させていく動きが出てきました。プロスポーツと同様です。本人が有する経験やスキルに基づいて最適配置をしたり、戦略的な育成をしたりと、個々のタレントを活かすことが企業でも求められています。

日本の大企業は年功序列なので、個々のパフォーマンスやポテンシャルの最大化について、それほど考えなくてもこれまでは通用してきました。でも今は、画一的なモノ作りでなく、顧客の多様なニーズ・要望に応えたコトづくりを進めていかないと、企業も利益を創出できなくなってきています。それでタレントマネジメント、すなわち人材の個別化が重要性を高めているのです。それには、人材データを活用していく必要があります。

特に経営トップからすると、人材をいかに活用するかは深刻な課題です。どこにどんな人材がいるのかを把握し、抜擢しないといけません。本当は、経営トップこそがタレントマネジメントシステムを使いこなしていかないといけないのでしょう。

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