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最新SaaSトレンドは? SaaS業界レポート著者が徹底解説【BOXIL SaaS資料請求動向】

最終更新日:(記事の情報は現在から815日前のものです)
導入が進む注目のSaaSカテゴリや検討すべきSaaSは?『SaaS業界レポート2021』筆者が、レポート掲載の「BOXIL SaaS資料請求数から見るユーザー動向」をもとに、SaaS活用トレンドを詳しく解説します。

コロナ禍によりSaaSが大きな注目を浴びた2020年。そして、ブームから定着へ向けて舵を切り始めた2021年。2022年以降へ向けてSaaS活用トレンドはどう変化しているのでしょうか。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」の資料請求動向から、最新SaaSトレンドを読み解きます。

※本記事は『SaaS業界レポート2021』(2021年12月発刊)をもとに、同レポートでは触れられなかった情報を加えて詳細を解説するものです
※2022年12月5日追記:最新版『SaaS業界レポート2022』発刊に伴い、2021年版の配布は終了しました。最新版をダウンロードしご覧ください
※2023年10月11日追記:最新版『SaaS業界レポート2023』発刊に伴い、2022年版の配布は終了しました。最新版をダウンロードしご覧ください

※ダウンロードは無料

SaaS業界レポート2021では、「BOXIL SaaS資料請求数から見るユーザー動向」として、3つのトピックを紹介しました。

  1. 職種領域ごとの動向
  2. 電子契約サービス資料請求動向
  3. アフターコロナで注目のカテゴリ

これらは、対象期間中にBOXIL SaaSで資料請求を行なった人のうち、オーガニック経由(Google検索など)でサイトに訪れた人の人数を集計しており、ユーザー企業の関心の変化がわかるデータとして紹介しています。

1.職種領域ごとの動向

まずは職種領域ごとの動向。BOXIL SaaS掲載サービスを「Collaboration」「Marketing&Sales」「HR」「Back Office」の大領域にわけ、それぞれの資料請求人数の変化をまとめました。

BOXIL SaaS資料請求動向/SaaS業界レポート2021より 「BOXIL SaaS」資料請求動向/スマートキャンプ株式会社『SaaS業界レポート2021』2021/12/1

左側の大きな数字が2021年と2020年の比較、カッコ内の数字が昨年発刊の『SaaS業界レポート2020』に掲載した2020年と2019年の比較です。

全体的にみると、2021年は前年2020年と比べ低調に推移しています。2020年は急な在宅勤務要請でSaaS導入意欲が旺盛だったことに比べ、2021年以降は揺り戻しがきている状況です。緊急対応が落ち着き、改めて本質的な業務改善へ向けて導入SaaSを見極める動きが本格化していると考えています。

領域ごとに動向をみていきましょう。

Collaboration

Collaboration(コラボレーション)は、Web会議システムビジネスチャットツールなどコミュニケーション用SaaSが多く含まれます。そのため、テレワーク実施にあたって緊急度が高く、2020年は2019年比で約12%増加しました。2021年は一転、-20%という結果に。Web会議システムの資料請求数が激減した影響が大きく出ています。

一方で、出社とテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を前提とした業務環境構築から、コミュニケーション方法の試行錯誤が続いており、新たなカテゴリのSaaSが利用され始めています。詳細は、SaaS業界レポート2021内「SaaS業界の7つのトレンド」で解説しているほか、同「SaaSカオスマップ」でも新カテゴリを作成し各サービスを紹介しています。

Marketing&Sales

Marketing&Sales(マーケティング・営業)は、2021年も昨年に続き減少しました。オフィスの固定電話をクラウド化するPBXや、コールセンターをクラウド化するシステム群の導入が活発でしたが、一巡し落ち着いたほか、出社に戻す企業も多いことが背景にあると考えています。

そんな状況下でも伸長しているのはオンラインマーケティング関連のSaaS。Webサイト上に設置するチャットボットや、メールマーケティング用の配信ツール、顧客情報を管理するツールなど、オンラインでの関係構築を担うSaaSは引き続き導入検討が活発です。

HR

HR(人事)は昨年もっとも落ち込みの大きかった領域です。Web会議システムや電子契約サービスなど緊急度の高いツール群への投資が優先されたため、後回しにされていたためです。

2021年も引き続きマイナスではありましたが、実は夏以降急激に復調傾向にあり、マイナス一桁台まで戻ってきました。特に動意づいているのが人事評価関連のSaaS。背景には、人事制度の見直しという大きなトレンドがあります。

人事でシステム導入増加、DX推進派も75%に - 目標管理や評価、人材管理をツールで効率よく
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Back Office

Back Office(バックオフィス)は2020年に続き20%以上伸びました。けん引しているのは、電子契約サービスです(詳細は後述します)。この領域は法改正などの影響を大きく受けるため、行政のハンコレス、ペーパーレス促進の動きから、引き続きトレンドが続いていると考えています。

2022年以降も、改正・電子帳簿保存法試行(22年1月)、インボイス制度開始(23年10月)など、優先度の高い制度変更が目白押し。SaaSを活用すると、高頻度の変更にもスムーズに対応できる利点があります。導入・刷新を検討する好機といえるでしょう。

2.電子契約サービス資料請求動向

コロナ禍で需要が大きく変動したSaaSとして、電子契約サービスを取り上げています。

2020年4〜6月にかけて、“はんこ出社”問題から注目度が急上昇した電子契約サービス。夏以降落ち着いたものの、商慣習や法をも変える大きなトレンドとなり、2021年もコロナ前と比べて2倍以上で推移しています。多くの方が「クラウドサイン」やら「DocuSign」やら、◯◯サイン・契約と名乗るサービスに一度は出会ったことがあるのではないでしょうか。

BOXIL SaaS資料請求動向、電子契約サービス/SaaS業界レポート2021より 「BOXIL SaaS」資料請求動向/スマートキャンプ株式会社『SaaS業界レポート2021』2021/12/1

電子契約とは、電子ファイルへの電子署名をもって紙への押印に相当する効力を持たせる仕組みです。「名前を入力するだけ」に見えてしまい不安になるかもしれませんが、本人が間違いなくその日時に“押印”したこと、押印後改ざんされていないことなどを、さまざまな技術と法規制で証明しています。

「契約書」以外にも紙とハンコ頼みのビジネスシーンは大量にあります。人事労務手続き、請求書や領収書のやりとり、社内稟議、エトセトラエトセトラ……。会社が行政へ提出する書類にもハンコが必要です。コロナ禍で出社が制限される中でもこうした業務に携わる部門は出社を余儀なくされ、“押印のためだけに出社するのはいかがなものか”という声が大きくなりました。

政府もハンコレスへ注力し、昨年9月に発足したデジタル庁のもと、押印や書面による手続きの見直しを進めると表明しています。関連するところでは、通称“デジタル改革関連法”が試行されました。例えば不動産業界では賃貸契約などで電子契約が解禁される予定で、不動産業界特化型の電子契約サービスや、その他SaaSの活用が活発です。

当初はテレワーク対応のため急激に盛り上がった電子契約サービスも、一時的なトレンドで終わらず当たり前に使われるものとなりつつあります。契約書が電子化されたことで、契約書のレビューや管理を効率化するサービスのニーズも強まり、契約業務全般のDXが大きく動いています。

3.アフターコロナで注目のカテゴリ

コロナ禍で日本のデジタル化は一気に3〜5年進んだといわれています。10年分に相当する変化が1年で起きた、とする声もあるくらいです。

出社に戻す企業もありますが、世界的にリモート勤務を定番とするトレンドは変わらず、出社とテレワークを併存させる「ハイブリッドワーク」の模索が続いています。ハイブリッドワークへ対応するにはSaaSの活用が欠かせません。

ハイブリッドの何が大変って、オフィス勤務者とリモート勤務者それぞれに別々の手段で対応する必要が出てくるため、かかる手間や使う頭が増えることでしょう。あらゆるところで新たなSaaS導入や制度の見直しも必要になります。

SaaS業界レポートでは、アフターコロナを見据えて動意づいているカテゴリとして、「電話関連システム」「プロジェクト管理ツール」「人事評価・タレントマネジメントシステム」の3つを紹介しています。

BOXIL SaaS資料請求動向、アフターコロナで注目のカテゴリ/SaaS業界レポート2021 「BOXIL SaaS」資料請求動向/スマートキャンプ株式会社『SaaS業界レポート2021』2021/12/1

電話関連システム

まず電話。出社禁止とともにオフィスの固定電話が機能しなくなりました。外線は対応不可と割り切り、内線にかわって普通の電話を使い、代表番号だけは誰かの携帯電話へ転送する? みなさんの会社はどうでしょうか(電話番のために出社している方、お疲れさまです)。

テレワーク中の電話対応に使えるツール比較

電話関連システムには、電話回線の代わりにインターネット回線を使う「クラウドPBX」や、PCで電話対応を行えるようにするクラウド型の「CTI」、そのほかコールセンター向けに提供される一連のシステムなどが含まれます。

オフィスの電話回線に捉われない構成にすることで自宅などで対応できるようになるほか、多くはインターネット回線を使うため、コスト削減効果も期待できます。さらに、顧客管理をクラウド化し共有データベース化できたり、通話内容を録音し分析できたり、従来の電話では難しかったきめ細やかな対応ができるメリットもあります。

蓄積された通話ログ、顧客データの分析活用が進めば、デジタルの利点をフルに活用した業務改善につながると期待されています。

プロジェクト管理ツール

プロジェクト管理ツールは、スケジュール可視化、予算管理、タスク・工数管理などの機能を持ちます。SaaS型を使うことでどこからでもアクセスできるようになり、オフィス勤務者、リモート勤務者、はたまた外注先など、関係者が多くても効率よく情報共有できるようになると期待できます。

テレワークで進捗や仕上がりが見えづらくなり、より細かい粒度での管理が求められているほか、可視化することで情報共有の精度や効率を高める狙いがあります。東京都を中心に緊急事態宣言の続いた1〜6月に資料請求したユーザーが多く、やはりテレワーク下でのプロジェクト進行に課題があったのではないか、と推測しています。

ツールによってタスク管理が得意だったり、収支管理が充実していたりと幅広く、選定が難しいツールの一つだと感じています。操作感やデザインの好みが如実にわかれますし。多くが無料トライアルを用意しているので、まずは使ってみるのがおすすめです。

人事評価・タレントマネジメントシステム

働き方が変わった結果、“伝統的”人事制度のひずみが表面化しました。コミュニケーション、教育・研修、待遇、キャリア、メンタルヘルス。課題が山積するなか、人事戦略のアップデートが求められています。そこで活用が進んでいるのが、人事評価システムやタレントマネジメントシステムです。

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人事評価システムは、目標・進捗管理機能、MBO評価機能、ソーシャル・360度評価機能、ワークフロー管理機能などを備えています。手続きの効率化に加え、データの一元管理が可能となり、蓄積したデータを活用した人事戦略の最適化にもつながります。

またタレントマネジメントシステムは、従業員の職歴やスキル、経験などを管理・分析し、最適な人材配置検討に役立てるものです。データベース化して一覧性を高めつつ、AI等を活用し最適な配置を提案してくれるSaaSもあります。

どちらも、単なる人事情報を管理するにとどまらず、適切な配置・育成で組織を強くしようとする狙いがあります。「ジョブ型」と呼ばれる職務最適化人事制度と相性がよく、日本でも活用が進むと考えられます。

2022年のSaaSトレンドは

2022年も引き続き新型コロナウイルスの影響を受け、厳しい環境に置かれる企業も多いでしょう。

ただ一つよい影響があったとすれば、デジタルの活用に“慣れた”人が増え、現場を含むSaaS利用のハードルが下がりました。なじんだ働き方を変えるには苦労も資金も必要ですが、SaaSを活用することで、日本中、あるいは世界中のベストプラクティスを自社に取り入れ、業務効率化を進められるチャンスがある、という利点を実感できる土台が整いつつあると感じています。

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