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DXレポート執筆の経産省官僚が語る 日本企業が今から取り組むべきアクションプランとは

記事の情報は2022-05-12時点のものです。
経済産業省の“DXレポート”の産みの親で、同省アーキテクチャ戦略企画室長の和泉憲明さんのインタビュー後編です。前編ではDXレポートを公表した思惑やDXの現状への受け止めを語って頂きました。後編では2020年に公表された「DXレポート2(中間取りまとめ)」の狙い、企業が成すべき取り組みなどを語ってもらいます。

【インタビュー】
和泉憲明氏 経済産業省商務情報政策局情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室長

平成8年12月 静岡大学情報学部 助手、平成14年4月 産業技術総合研究所(産総研)サイバーアシスト研究センター・研究員、産総研・情報技術研究部門・上級主任研究員などを経て平成29年8月 経済産業省商務情報政策局情報産業課企画官、令和2年7月より現職。
博士(工学)(慶應義塾大学)。これまで東京大学大学院・非常勤講師、北陸先端科学技術大学院大学・非常勤講師、大阪府立大学・文書解析・知識科学研究所・研究員などを兼務。

「低位安定」の世界から「デジタル企業」へ

ー「DXレポート2」で最も伝えたかったことは

「DXレポート2」で最も伝えたかったのは、DXを先送りしても何も良いことはないということです。まずお金で解決できることは、さっさとお金で解決してください。今すぐ決めるべきことは、どんどん決めてください。

その上で人材やプラットフォームをどう形成するか、エコシステムをどう形成するかです。確かに成果が出るまでには時間が掛かりますが、今すぐ始めないと市場競争に敗れてしますよと、3つの「今でしょ」を伝えたいです。

しかし、ベンダー企業が目先の金儲けの提案をして、ユーザー企業も「わかりやすい」という理由で発注するみたいなことをしていると、結果的にお互いがお互いにブレーキを掛け合って沈んでしまいます。これを私は「低位安定」と言っています。

クラウドでスケールする世界に行けるか

一方、クラウドとかインターネットの仕組みでどんどんスケールしていくような世界、それを我々は「デジタル産業」と呼んでいます。そういう「低位安定」の世界から「デジタル産業」としてスケールする世界に変わっていくことが重要だと伝えたかったのです。

結局は経営なのです。経営者が今の延長でよいのか、今の市場でよいのか、新しい市場に打って出るのかという決断がポイントではないかと思っています。ある方は「決断できない経営者は足がのろい」と言いました。本当にそう思います。

一階のビジネスは従来通りの縦割り、あるいは多重下請け構造。対して、二階はクラウドでスケールする世界、要するにクラウドインフラを増強すればその分だけビジネスが拡大する世界。その一階から二階へという変革が重要なのではないでしょうか。

それはアルファベットスープではない?

ー日本企業でなかなかDX推進が加速しない理由は

典型的なのはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)への取組の差です。米国西海岸の投資家は、「RPAを攻めの道具だ」「ロボットが入ることでオフィスに革命を起こすことになる」などという捉え方をします。

ところが、日本の経営者は「難しい定義はどうでも良い。すぐに成果(コストメリット)が出るかが重要なんだ」と言いがちです。その話を米国西海岸の投資家にしたら、「それはアルファベットスープだな」と言われました。

アルファベットスープとは、アルファベットの形をしたマカロニが入っているスープのことです。ダメなITベンダーにはそういう傾向があります。要するに、ERPだRPAだなどとアルファベットの入ったスープを、「今度こそ本命です」と言いながらもてなしてきます。

つまり、いつまでたっても前菜しかでてこない、メインディシュに辿りつかない、ということを揶揄しているわけです。要するに、本質を議論せず、表層でものごとを論じてしまうので、結果、既存の延長でしか考えられない、ということが課題なのです。

先ほどDXを明治維新に例える人がいると言いましたが、維新の戦士は江戸時代の侍に学んでいたでしょうか。もしそうであったら、時代は何も変わっていなかったのでは。変革を起こそうとしている経営者が先例を求めているうちは、明治維新はできなかったと思います。

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